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2022/10/22 11:30

新技術を採用した次世代高画質テレビ「新有機EL」VS「ミニLED」いま買うならどっち?

2022年の新作テレビは、革新的な技術を投入したモデルが大豊作で、市場はにわかに活気づいています。今回は2人の専門家にパワープッシュする「新有機EL」「ミニLED」を聞きました!

※こちらは「GetNavi」 2022年9月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

モノ知りインフルエンサー

テクニカルライター

湯浅顕人さん

本誌AV機器のテスターとしておなじみ。AV以外にもPC・ガジェットやアウトドアなど幅広いジャンルに精通。

デジタル・メディア評論家

麻倉怜士さん

執筆活動のほか、大学講師を務めるなど多方面で活躍。本誌でも「麻倉怜士のデジタル進化論」を連載中。

 

実力比較表

↑それぞれのメリットとデメリットは解消されつつあり、画質・機能はほぼ互角といえる。設置性はより薄い有機EL、寿命は画面の焼き付きの少ない液晶に軍配が上がる

 

その1【ミニLED】明るく高コントラストな映像が楽しめる

今季は「液晶」「有機EL」ともに”新しいパネル”を採用したモデルが登場して話題になっています。液晶においては、極小のLEDを敷き詰めたバックライトを使った「ミニLED」です。

 

「有機ELのように、黒い部分を“白浮き”なく黒く表現できるコントラストの高さ、そして液晶テレビの“白い部分(明るい部分)の再現性”が見事です」(湯浅さん)

【ミニLED液晶テレビ】

2022年秋発売予定

東芝

4K液晶レグザ55Z870L

実売価格30万8000円

同社で初めて「Mini LED広色域量子ドット液晶パネル」を搭載。多数のLEDを緻密に配置することで従来比約2倍の高輝度化を実現するとともに、純度の高い色再現が可能に。最大70Wのマルチアンプで合計7つのスピーカーを駆動し、臨場感溢れる音が楽しめます。

SPEC●チューナー:BS4K/110度CS4K×2、地デジ×9、BS/110度CS×3●接続端子:HDMI×4、USB×4ほか●音声最大出力:70W●サイズ/質量:W1233×H742×D313mm/21.5kg(スタンド含む)

 

↑「重低音立体音響システムZP」を搭載。重低音バズーカほか7つのスピーカーを70Wのアンプで駆動し、迫力の音に

 

↑新開発の「Mini LED広色域量子ドット液晶パネル」のイメージ。広色域量子ドットの採用により、人の目の色域の広さに迫る純度の高い色再現が可能になりました

 

↑どんなコンテンツも高精細に描く「レグザエンジンZRⅡ」を搭載。フレームレートの低いネット動画も高画質処理を施すことで滑らかに再生できます

 

液晶の明るさと有機ELの黒再現を両立させたい人に

バックライトに従来の液晶テレビのLEDよりもはるかに小さい「ミニLED」を採用。きめ細かな光量の調整が可能になり、黒の再現(コントラスト比)を高められます。液晶の明るさはそのままに、有機ELに迫る黒再現も楽しみたい人にオススメです。

 

ヒットアナリティックス:低コストで生産でき今後の低価格化に期待

いずれのメーカーも“第1世代”であり、最先端の技術で独自性も高い。また、VODの普及で高画質な4K映像が増え、高画質テレビの需要は高まっています。まだ量産体制ができておらず高価ですが、比較的低コストで生産が可能なので、今後の低価格化に期待できます。

 

その2【新有機EL】純度の高い発色と広視野角が魅力

有機ELは量子ドット技術を搭載した「QD-OLED」に注目。

 

「格段に発色が良く、明部の色抜けも少なく、視野角が広いなどの長所があります。国内でこのパネルを使ったのは現在ソニーだけですが、今後他社もハイエンド機に採用してくるでしょう」(麻倉さん)

【新有機ELテレビ】

2022年7月発売

ソニー

ブラビア4K有機ELテレビXRJ-55A95K

実売価格47万3000円

RGB(赤・緑・青)が独立して発色する新しい有機ELパネル「QD-OLED」を搭載。認知特性プロセッサー「XR」による映像信号処理技術との組み合わせにより、明るく自然で鮮やかな色彩表現を実現しました。パネルを振動させて音を出す独自の音響技術を採用し、画と音がシンクロします。

SPEC●チューナー:BS4K/110度CS4K×3、地デジ/BS/110度CS×3●接続端子:HDMI×4ほか●音声最大出力:60W●サイズ/質量:W1225×H728×D280mm(※)/31.0kg(スタンド含む)
※:フロントポジション設置の場合

 

↑認知特性プロセッサーの画質処理と、高純度の発色が可能なパネルにより色再現領域を拡大。自然で色鮮やかな色彩表現を実現

 

↑QD-OLEDパネルの採用により、従来の有機ELを上回る広い視野角を実現。壁掛け設置などで斜めから見ても明るく色鮮やかな映像を楽しめます

 

↑快適な視聴をサポートする「ブラビアカム」が付属。自動画音質調整やビデオチャット、ジェスチャーコントロールなど多彩な機能を備えます

 

有機ELに明るさとさらなる高画質を求める人に

これまで有機ELパネルはどこのメーカーも「白色OLED」一択でしたが、新有機EL(QD-OLED)が誕生し今季から選択肢に加わりました。QD-OLEDは明部の色再現に優れ、視野角がより広いのが特徴。究極の有機EL画質を堪能したい人は要注目です。

 

ヒットアナリティックス:国内はソニーのみだが他社の参入が待たれる

これまでとは異なる有機ELパネルで先進性は抜群。画質コンシャスなユーザーからは支持されるはずです。現状国内で製品化しているのはソニー1社でまだ高価ですが、将来的に他メーカーも参入すれば価格も下がり、高画質テレビのカテゴリーとして確立されるでしょう。