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2017/7/9 14:00

食事制限だけじゃダメ! 筋力を上げてプヨプヨお腹とおさらばしよう

『DIET VILLAGE』というドキュメンタリー特番が大好きだ。かなり太めの8人の男女が1ヵ月の共同生活でダイエットに取り組み、全員で合計100キロの減量を実現できれば100万円をゲットするという企画である。

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エキスパートの言葉の重み

参加者の驚異のプロフィールを紹介する。身長168センチ・体重173キロの男性。買ったばかりの服がたった7日で破れる女性。体重100キロ超えで、お腹がお尻みたいな形になっちゃった女性。男性2人・女性6人から成るチームが見せる過酷なダイエット合宿の日々は、想像以上にドラマチックだ。

 

しかし、筆者の意識はドラマチックな側面ではなく、むしろ番組に出演しているトレーナーさんたちのアドバイスの言葉に向いている。サーキットトレーニングやプールエクササイズ、ランニング、そしてウェイトを使った動きなど、バラエティーに富んだメニューについてのひと言は、週3~4でジムに通っている筆者にとって聞き逃すことができないのだ。

 

俺の骨盤がズレてるって?

『DIET VILLAGE』を見て気持ちがすっかり盛り上がり、ウェイトトレーニングのクラスでいつもより大きい負荷をかけ、ランニングマシンの傾斜もきつくして、さらにサーキットトレーニングのクラスに出て自分を追い込んだら、やってしまった。

 

クラスの途中で左のふくらはぎにピリッとした感覚が走ったのを放っておいたら、2日くらい経って歩き方が変になるほどの痛みになった。そこで、生まれて初めて整体に行くことにした。

 

「骨盤がズレてますね」

 

よく聞く言葉だ。でも、自分が言われるとは思わなかった。そもそも「俺は骨盤がズレてるんじゃないか」なんていう疑いが脳裏をかすめたこともない。先生は、筆者の骨盤をさまざまな方向に押し広げたり、逆に押し込んだりしながら教えてくれた。

 

「関節のかみ合わせが悪いから骨盤のズレが生じるんです。決まった部位の筋肉を押し込むと、噛み合わせが良くなって動きがスムーズになります」

 

決まった部位の筋肉とは、いわゆるインナーマッスル(内転筋)だ。コア(体幹部)を支え、姿勢をよくし、体全体をスムーズに動かす働きがある。それだけではない。インナーマッスルの状態をよくしておくことが、ぜい肉を落とす過程につながるらしい。筋肉がムキムキになるトレーニング方法ではないが、いわゆる“細マッチョ体型”への近道になりえる。

 

鍛えるなら体幹部と骨盤周辺

トレーニングはしたい。でも、どうしても痛みをかばってしまうから、ベストな効果は期待できない。そんな話を顔見知りのパーソナルトレーナーにしてみたら、『痩筋力 確実に痩せる筋トレ術』(石井直方・著/学研プラス・刊)という本を勧められた。

 

自分で言うのもなんだが、筆者は目立って太目なわけではない。ただ、お腹周りが気になって仕方がない。夏は特にそういう思いが強くなる。だから、「確実に痩せる」と言われるとどうしても反応してしまう。この本のまえがきに、こんな文章がある。

 

バレリーナの身体と言えば、おそらくどなたもあこがれるのではないでしょうか。その美しくしなやかな身体の秘密は、体幹、骨盤から脚にかけての、しっかりと発達した筋肉にあります。

(『痩筋力 確実に痩せる筋トレ術』より引用)

 

これは、石井さんがとあるテレビ番組の企画でバレリーナの筋肉のMRI画像を見た時についての話である。スリムな外見からはとても想像できないほど筋肉の発達がすごいらしい。特に大腰筋、脊柱起立筋といった体幹の筋肉や、腸骨筋、中臀筋、梨状筋など骨盤周囲の深部筋肉の発達が著しかった。

 

著者の石井さんは、こうした筋肉群を中心にした“痩せるために絶対に必要な筋肉の力=痩筋力”を上げることを独自のトレーニングメニューの目標としている。

 

しなやかで機能的、そしてけがをしにくいスリムな身体を作る鍵は、体幹部と骨盤周辺の筋コンディショニングにある。これについては、お世話になっている整体の先生にも、パーソナルトレーナーにも確認した。あとは実行するだけだ。

 

何はともあれ筋トレだ

さらに示しておきたいひとことがある。

 

筋肉不足が肥満のすべての原因とは言いません。しかし、年を経るにしたがって太ってきた、おなかが気になってきた、という人は、筋肉不足、つまり痩筋力不足を疑ってしかるべきだと思います。

(『痩筋力 確実に痩せる筋トレ術』より引用)

 

痩筋力は、どうやって上げていけばいいのか。原則は、「筋トレ・有酸素運動・食事制限」の三本柱で行っていくことだという。三本柱の中でプライオリティを作ってから取り組むことが成功の秘訣らしい。

 

石井さんは、筋トレからスタートすることを勧めている。それは、活動的に動くための準備、体のメンテナンスとしての意味合いが強いからだ。

 

体を動かすのは大好きだ。ただ、これまでの自分なりの方法論が絶対に正しかったと自信を持って言うことはできない。これからは、骨盤周辺のインナーマッスルのトレーニングを強く意識して、自分を追い込んでいくことにした。パーソナルトレーナーにも、しかるべきメニューを作ってもらってある。

 

これで、お人好しなお腹とはおさらばだ!

 

(文:宇佐和通)

 

【参考文献】

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痩筋力 確実に痩せる筋トレ術

著者:石井直方

出版社:学研プラス

痩せない人は「痩筋力」が足りなかった! 痩せるためには、食事制限よりジョギングより、筋トレからが正解です。1日10分、週2回のかんたんなエクササイズで太らない体になる方法を、トレーニング理論の第一人者が伝授する。