本・書籍
2017/9/16 18:00

ジャイアントパンダはなぜ“ジャイアント”なのか? その秘密はあの人気者の存在にあった!

上野動物園の赤ちゃんパンダが生後3か月になった。

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足をふんばって動いている姿、口を開けて笑顔のように見える表情、お母さんパンダのシンシンに甘える姿……どれもこれも可愛すぎる!

 

この月末には名前が決まるようだし、また、12月中旬以降には一般公開される予定とのことだから今からとても楽しみだ。公開されたら絶対に会いに行きたいと思っている。

 

胴と鉄を食べる白熊?

「パンダ」と聞けば、誰もが白黒の毛がふわふわした可愛いジャイアントパンダを想像する。ところが元祖パンダは別にいるという驚きの事実を教えてくれる本に出会った。

 

『知ってびっくり! 生き物発見物語』(今泉忠明・監修/学研プラス・刊)がそれ。

 

四千年ほど前の中国の神話に、神の使いとしてジャイアントパンダらしき生物が描かれている。これが、ジャイアンパンダの一番古い記録だという。その後、約2700年から1700年前に書かれた中国の地理の本『山海経』には、「銅と鉄を食べる、熊に似た白と黒の動物がいる」と書かれていたそうだ。ジャイアントパンダは笹のような固い植物を食べるので、それが銅と鉄を食べると大袈裟に表現されたようだ。

 

また、日本の古い記録では、1300年ほど前に、中国の皇帝から日本の天皇に「白熊2頭と、毛皮約70枚が送られた」という話が書かれているそうで、この“白熊”がジャイアントパンダのことだといわれているそうだ。

 

元祖パンダは“レッサーパンダ”だった!

ジャイアントパンダが世界に広く知られるようになったのは実はわずか150年前のことだという。1869年、フランスのダヴィド神父は、キリスト教の布教活動で中国を旅していたとき、四川省のある村の大地主の家で、今まで見たことがない動物の毛皮を目にした。

 

「おや、この白と黒の毛皮は何という動物のものですか。」

「これは、山の奥地にすむ『白熊』だよ。」

大地主の返事を聞いて、ダヴィド神父はこの『白熊』という動物の生きたすがたを見たいと思いました。

(『知ってびっくり! 生き物発見物語』から引用)

 

神父は白熊を捕まえてきてほしいと頼んだが、猟師が捕まえた白熊は残念ながら死んでいた。それでも神父はこの発見を、パリの博物館で働くアルフォンス教授に手紙で知らせ、一緒に骨と毛皮の一部を送ったのだ。

 

その結果、ダヴィド神父が見た白熊は、一八七〇年にこれまでヨーロッパでは未発見の「新種」としてみとめられ、「ジャイアントパンダ」と名づけられたのです。

(『知ってびっくり! 生き物発見物語』から引用)

 

新種なのになぜ、あえて頭にジャイアントをくっつけたのかというと、それ以前にすでに「パンダ」と呼ばれている動物がいたのだ。それはレッサーパンダ。レッサーパンダは1825年にすでに発見され、そもそもは「パンダ」と呼ばれていた。が、その後、ジャイアントパンダのほうがよく知られるようになってしまったため、レッサー(より小さい)を頭にくっつけてレッサーパンダと呼ぶようになった、とのことだ。

 

噂の未知生物はいるかもしれない

本書によると、最新の研究によれば、地球上にはおよそ777万種の動物がいると予測されているが、そのうち見つかっているのは、約95万種。つまりは、ほとんどが未確認なのだ。

 

ということは、噂の未知生物は、もしかしたらまだ発見されていないだけで、本当に存在するかもしれないのだ。

 

たとえば、あのネッシーも。ネス湖にはいると噂され続けているネッシーは6500万年前に絶滅した水中で暮らす首長竜の生き残りだと言われている。記録されているだけで4000人以上が目撃し、写真や映像も撮られているため、ネッシーは存在すると考える科学者や生物学者もいる。

 

また、ヒマラヤやロシアの山中にいる雪男のイエティという獣人については、2011年にロシアで行われた科学者の国際会議ではイエティがいる確率は95%以上と発表された。

 

さらに、日本ではツチノコ。全長40センチほどのこの未知生物の目撃情報が全国のあちこちであり、つかまえた人には賞金が出るという地域もあるそうだ。

 

残念なことに、ネッシーやイエティ、ツチノコのような未知生物は、その標本となる実物が発見されていません。だからといって、「いない」とはいえません。なぜなら、これまで新種として発見されてきた、マウンテンゴリラやコモドオオトカゲなど、いずれも「怪獣のような生き物がいる」と、人々にうわさされてきたものが、本当に見つかったからです。

(『知ってびっくり! 生き物発見物語』から引用)

 

この先、未知生物の発見!のニュースにみんなが驚く可能性は十分にあるのだ。

 

生き物発見のお話

この本には、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、それぞれの生き物が発見された場所、経緯が詳しく紹介されている。哺乳類では、西表島にしかいないヤマネコ、西遊記孫悟空のモデルになったキンシコウ、そして絶滅した農耕の守り神だったニホンオオカミなど17の動物が取り上げられている。

 

そのほか、みんなが追い求めた神の鳥ゴクラクチョウの話、ヨーロッパの化石種が日本で生きていたオオサンショウウオの話、魚市場で大発見のシーラカンスの話、さらには、ツチブタ、タスマニアオオカミなどなど、今まで知らなかった生き物の秘密が明らかになる!

 

(文:沼口祐子)

 

【文献紹介】

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知ってびっくり!生き物発見物語

監修:今泉忠明

出版社:学研プラス

ジャイアントパンダやシーラカンスなど、今は誰でも知っている生き物も、発見されるまで人々の決死の努力のすえ見つかったもの、逆に全く偶然に見つかったものなど、様々な面白いエピソードがある。それら約30種の発見物語を、読みやすいお話にした読み物。

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