本・書籍
2018/1/1 11:00

今年こそ”上陸”できるのか? 「情熱大陸」出演に執拗にこだわり続けた漫画家にオファーが来たのか聞いてみた

謹賀新年。ウエルカム2018年。

これから初詣に出かけ、「今年こそ痩せたい!」「恋人を作る!」など、何か抱負を神様の前で宣言する人もいるだろう。

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そんななか、神様はおろかドラゴンボールが7つ揃ったら現れる神龍(シェンロン)にさえも、こう土下座して頼むと公言している一人の男がいる。

 

情熱大陸に出させてください!」と。

 

彼の名は、宮川サトシ。1978年生まれ、故郷・岐阜をこよなく愛する漫画家だ。

 

 

叶えたい願いはひとつ、「情熱大陸に出ること」

「情熱大陸」といえば、もはや国民的人気番組といっても過言ではないだろう。TBS系列局で毎週日曜夜にオンエアされている、密着ドキュメンタリー番組である。葉加瀬太郎氏のテーマ曲を聞けば、「ああ、あれか!」と思い浮かぶ人も多いはずだ。

 

クローズアップする人物に四六時中密着して、普段見せない姿や表情、ほかでは話したことがない秘話などを引き出す内容が、大きな魅力である。そんな「情熱大陸」に出演することをイメージし、モチベーションを維持することで、デビューから今日まで漫画を描き続けてきたという宮川氏。もはや「情熱大陸」に振り回されているといっても過言ではない彼の日常を、『情熱大陸への執拗な情熱』(幻冬舎・刊)から覗いてみる。

 

 

「情熱大陸に出たい人」あるある

特筆すべきは、情熱大陸に出演することを「上陸する」と表現している点だ。そして、「大陸さま」を意識して、日々を送る。

 

・車の運転時は、左折しながら質問に受け答えできるように訓練を重ねる

・洗濯物をたたむときは、自らナレーションを当てる

・時には、大陸さまに興味がないような素振りをしてみる

・あえて質素な自分を演出するために、富士そばでは「かけ」のみを注文

・上陸したときにエピソードを披露するため、下積み時代からいくつかのネタを用意している

・「情熱大陸を好きになったきっかけは何ですか?」と問われたら、「逆に聞きますけど、毎日食べてる白いご飯を好きになったきっかけなんて覚えてます?」と答える

 

情熱大陸に出たい一心で単行本まで出版してしまったのだから、ある意味すでに上陸しかけているのではないかと思うのだが、あくまで宮川氏はストイックに大陸さまを追い求め続ける。

 

 

単行本発売から半年。現在の上陸状況を宮川氏に突撃取材してみた!

実は宮川氏は、私の高校時代の同級生である。
昔から、他の同級生とはひと味ちがうユニークな人だなぁという印象があった。当時他校からも恐れられていた厳格な英語教師も、先日の同窓会で「宮川くんはねー、考え方が人と違うと思っとったわ。ちょっと怖いと思うこともあったくらいやて!」と、彼の稀有な才能の片鱗を感じ取っていたようだ。

 

卒業後は久しく会っていないが、SNSでたまに連絡をとっているので、最近の上陸状況について訪ねてみた。

 

すると、こんな事実を教えてくれた。なんと、宮川氏が「大陸神」と仰ぐMBS企画の初代プロデューサーに会ったというのだ! 大陸神が自ら『情熱大陸への執拗な情熱』を持参してきてくれて、サインまで求められたとのこと。

 

「情熱大陸を20年やってるけど、出演することを『上陸』と表現したのはあなたが初めてだった、って言われちゃったよ。大阪に来たら連絡ください、MBS企画の社長室へ案内します、たこ焼きでも一緒に食べましょうって!」

 

こ、これは、上陸目前か。ついに、彼の夢が叶うのか!

 

「ただ、オファーはまだ来てないんだけどね……」

 

やはり、上陸は一筋縄ではいかないようだ。

 

けれど、彼のここ1、2年の活躍は目覚ましい。大手企業でのエッセイや育児誌での連載、原作を手がける漫画のアニメ化など、確実に上陸の気配を感じる。

 

「情熱大陸に出たい」という願いを、人は笑うだろうか。だが、宮川氏を見ていると、自分の人生、もうひと花咲かせてやる!という強いパッションを感じる。私も負けていられないぞと思わされるのだ。

 

情熱大陸への情熱に感化されたので、新年の願い事はちょっと大きめのやつを設定、今年も一年やってやるぞ!と決意した元旦の朝である。

 

 

【著書紹介】

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情熱大陸への執拗な情熱

著者:宮川サトシ
出版社:幻冬舎

もし、ドラゴンボールが7つ揃ったら、僕は神龍に土下座してこう頼むだろう。巨万の富や永遠の命、そんなつまらないものではなく、TBS系列局で毎週放送されている人間密着ドキュメンタリー番組、あの「情熱大陸」に自分を出させてくださいとーー(冒頭より)。情熱大陸に執拗な情熱を燃やし、いつ出演オファーがきてもいいように、日々「情熱大陸」っぽい生活を送る漫画家・宮川サトシ。情熱大陸に出演することを「上陸」とよび、お酒はアサヒビールのスーパードライ(番組スポンサー)しか飲まず、情熱大陸っぽい食事を「大陸メシ」と表現する、かつてない爆笑偏愛漫画。

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