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2018/1/11 17:00

「幕末」には改元が8回もありました。江戸時代末期の元号を学ぶついでに『西郷どん』のおさらいをしませんか?

「元号」について注目が集まっています。今上天皇の生前退位にともない、約30年ぶりの「改元」が閣議決定されました。2019年5月1日に元号が改められます。

 

ことし2018年のNHK大河ドラマは『西郷どん』です。西郷隆盛といえば幕末(江戸時代末期)の英雄です。幕末といえば「孝明天皇」在位の時代ですが、じつは8回も改元がおこなわれました。
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8つの元号

明治から現代は、天皇一代に元号ひとつという『一世一元制』ですが、江戸時代はそれとは異なり、国の安泰を願って、何かといえばすぐ元号が変わりました。

のちの幕末史を彩る「英雄」たちが生まれた《天保》から、江戸時代最後の元号《慶応》まで、実に8つの元号が存在します(そのうち7つが孝明天皇在位に重なります)。

(『決定版 幕末のすべて』から引用)

 

決定版 幕末のすべて』(脇坂昌宏・著/学研プラス・刊)という本があります。天保、弘化、嘉永、安政、万延、文久、元治、慶応、という「元号」に着目することで、混迷をきわめた幕末期をスッキリ!と理解できる歴史ガイドブックです。

 

2018年1月からスタートする『NHK大河ドラマ 西郷どん』をより深く楽しむために、激動の30年間をおさらいしましょう!
 

天保(てんぽう)

天保年間は、有名な維新志士たちが世に生を受けた時代です。

天保2年  孝明天皇
天保3年  芹沢鴨
天保4年  桂小五郎、山南敬助
天保5年  近藤勇、岩崎弥太郎
天保6年  坂本龍馬、土方歳三、篤姫
天保7年  榎本武揚
天保8年  徳川慶喜、三条実美
天保9年  中岡慎太郎、後藤象二郎、グラバー
天保10年 高杉晋作
天保11年 久坂玄瑞
天保12年 伊藤博文

 

天保のひとつ前は「文政」という元号です。『西郷どん』の主役、西郷隆盛は「文政10年」生まれです。

 

文政6年  勝海舟
文政7年  徳川家定
文政8年  岩倉具視
文政10年 西郷隆盛、山内容堂、ジョン万次郎
文政11年 松平春嶽
文政12年 武市半平太
文政13年 吉田松陰、大久保利通

天保元年

2010年のNHK大河ドラマ『龍馬伝』では、近藤正臣さんが「怪物・容堂」を熱演していました。松平春嶽は夏八木勲さんが演じていました。すばらしい演技でした。実際は、ふたりとも大政奉還の頃でさえ40代前半です。

 

文政と天保は、まさに「幕末」のはじまりと言える元号です。
 

弘化(こうか)

ペリー提督による黒船来航は、つぎの元号である「嘉永」です。しかし、その約7年前である「弘化3年」に、アメリカのビッドル司令官率いる軍艦が、通商をもとめて浦賀にやってきた事件がありました。

 

この事件によって、水戸藩や薩摩藩など一部の大名たちは、外国の先端技術にもとづく軍事力に強い危機感をおぼえます。
 

嘉永(かえい)

嘉永6年。アメリカ合衆国大統領の親書をたずさえたペリー提督が、軍艦4隻(そのうち蒸気船2隻)を率いて浦賀沖にあらわれます。通商のために開国をせまる内容でした。

 

この嘉永年間が、江戸幕府(徳川将軍家)にとってのターニングポイントです。なぜなら、幕府首脳は「開国」あるいは「拒絶」を決めかねて、旗本や全国の外様大名たちに意見を求めてしまったからです。財政面や人材面において、すでに独断できるほどのリーダーシップを失っていたということが理解できます。
 

安政(あんせい)

日米和親条約が締結されます。開港、水や食糧や燃料の提供、関税自主権の不在、居留地の治外法権、最恵国待遇などの不平等条約でした。アメリカだけでなく、イギリスやフランスやロシアとも和親条約を締結せざるを得なくなります。

 

幕府がよりにもよって不利な条件で「開国」を受け入れてしまったことで、尊王(反幕府)・攘夷(外国人の排斥)運動が盛んになります。

 

安政5年。大老・井伊直弼が「安政の大獄」を断行します。有力大名から浪士にいたるまで、幕府に逆らう尊皇攘夷派をぎびしく処罰するものでした。思想弾圧です。
 

万延(まんえん)

万延元年3月3日。大老・井伊直弼が、尊皇攘夷浪士に襲撃されて命を奪われます。いわゆる「桜田門外の変」です。危機感をおぼえた幕府は、国内情勢の安定をはかるために「公武合体」を提案します。
 

文久(ぶんきゅう)

公武合体とは、孝明天皇の妹である和宮内親王を、第十四代将軍・徳川家茂の正室に迎えようというものでした。公家と武家の関係を深める、いわゆる「政略結婚」です。尊皇攘夷派の急進的な動きには朝廷もビビっていたので、双方の利害が一致しました。

 

和宮降嫁(かずのみや・こうか)は、2008年のNHK大河ドラマ『篤姫』でも描かれています。堀北真希さんが演じる和宮内親王が江戸城の大奥にやって来るくだりは、血なまぐさい幕末史に「一服の清涼剤」を添えるイベントでした。
 

元治(げんじ)

倒幕派である長州藩士・高杉晋作が、品川御殿山に建設中だった「イギリス公使館」を焼き討ちします。さらに長州藩は、朝廷から幕府勢力を排除するために京都市内で挙兵しますが、薩摩藩や会津藩によって阻止されてしまい、頼みの朝廷からも「朝敵」扱いを受けてしまいます。

 

文久から元治年間にかけて、過激な尊皇攘夷派による天誅(てんちゅう)が横行しました。幕府要人の暗殺です。過激な倒幕派に対抗するため、新撰組が結成されました。暗殺には暗殺で対抗する、というわけです。幕末の血なまぐさいイメージは、この時代にもとづきます。

 

 

慶応(けいおう)

慶應2年。不倶戴天の敵同士だった「長州藩」と「薩摩藩」による秘密盟約が成立します。薩長同盟です。弱体化した幕府に見切りをつけた薩摩藩は、裏でこっそり長州藩を支援します。そのおかげで、幕府の威信をかけた「第二次長州征討」は長州藩の圧勝に終わりました。そのあとは、大政奉還まで一直線です。

 

今回のおさらいでは、幕末を題材にしているNHK大河ドラマを引き合いに出しました。

 

『篤姫』では、江戸幕府を「紋切り型の悪者」として描かずに、為政者としての重責に苦しむ幕閣(阿部正弘や井伊直弼)、徳川将軍家に寄り添った描写が新鮮でした。

 

『龍馬伝』では、勤王(尊王)を標榜しながらも、「藩あってこその武士」という旧来の発想から抜け出せなかった土佐勤王党の武市半平太の描きかたが見事でした。いわゆる「薩長土肥」以外の二百数十藩は、どうすれば正しいのかを決めかねて、大森南朋さんが演じた武市半平太のような苦悩を抱えながら幕末を過ごしていたからです。

 

今度は、どのような切り口で「幕末」を楽しませてくれるのでしょうか。2018年のNHK大河ドラマ『西郷どん』には期待しています。

 

 

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