本・書籍
2015/10/27 0:00

はるかぜちゃんから学ぶ、子どもを信じるということ。

子どもに何歳から携帯を持たせるか。我が子が小学生にもなると、どの家庭も必ずやこの問題に直面する。

 

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MMD研究所の調査によると、小学校高学年の携帯電話所有率は4割だとか。小1ですら持たせているが11.2%、持たせる予定の家庭も含めると3割強という結果だ。事実、各携帯会社もキッズ向け端末のラインナップを強化している傾向にある。
とはいえ、あくまでも通話手段と防犯目的で持たせたいという親が大多数を占め、インターネットやLINE、SNSなどに関しては否定的な意見が多い。

 

もっともである。昨今、SNS内で知り合った他人とのトラブルやストーカー事件、LINEによるいじめなど、インターネット関連の事件が多発している。以前であれば起こり得なかったものばかり。それが、インターネットや携帯の普及に伴い、小さな子どもまでが巻き込まれる恐れが出てきているのだから。

 

我が子を守りたい。そのためには携帯を持たせたい。でも、勝手にいろいろなサイトにアクセスし、親が把握できない交友関係を築き上げていく、ひいては犯罪に巻き込まれることは避けたい。現在の親たちは、そうした葛藤を抱えている。

 

 

子どもならではの目線で、子どもらしからぬ意見を突きつける子ども

 

携帯は子どもに必要な存在であり、遠ざけたい存在でもある。そんな大人たちの悩みに、直球で意見を投げかけた子がいた。

 

春名風花(はるな ふうか)。
この名前を聞いてピンとこなくても、「はるかぜちゃん」と聞けば、ああ、あの早泣きが得意な子役の女の子!と記憶している人は少なくないだろう。また、2006年に朝日新聞の「いじめと君」という連載で掲載された、「いじめている君へ」というはるかぜちゃんのコラムは、かなり話題となった。

 

フォロワー数16万人以上の彼女のTwitter(現在ではブログに移行したため、残念ながら過去のツイートも見ることができない)からツイートをまとめた書籍『はるかぜちゃんのしっぽ(ω)』(春名風花・著/太田出版・刊)。この中でもはるかぜちゃんは、子どもの目線でありながら、子どもらしからぬ表現で、様々な問題を投じてくる。当時小学生ながら大人顔負けの、いやそこらの大人以上の文章力と表現力を持ち、紡ぎだされる言葉の数々はどれも真っ当で痛快だ。

 

人類が先の未来にゆくためには、子どもは、自分より先に生まれた人が発見したりやってみてることを、その大人が子どもだった時より早い時期に、全部いっぺんやってみなくちゃダメと思う(ω)
(中略)
いいことも悪いことも、大人が発見したことでいまたのしくやってることを、ぼくたちが早い時期に経験できたら、ぼくたちは大人になった時、いまの大人より先の、いまの大人が誰も見たことない未来が見れるかもと思う(ω)

『はるかぜちゃんのしっぽ(ω)』より引用

 

自分たちが子どもの頃はなかった、と理由だけで、子どもから携帯を取り上げてもいいのかな?とはるかぜちゃんは問う。人は生まれてから死ぬまでの時間が限られているのだから、今の大人たちがこれまでに経験してきたことを、自分はできるだけ小さなうちに終わらせたい、と。

 

 

怖がってばかりじゃ、世界は広がらない

 

携帯から繋がるネット環境を恐れる大人たちに対しては、はるかぜちゃんはこう述べる。

 

字の向こうにちゃんと人がいることをわすれやすいから、ネットはこわいし、子どもはやるなとゆわれるのと思う(ω)でも字も、携帯も、パソコンも、人が人とつながりたくて、人がつくったのに、使わないのちょうもったいないと思う(ω)
(中略)
道あるってたって学校まじめにいってたって、悪い人にさらわれたり殺されたりする時はするし、こわがってばっかしじゃもったいないです(ω)

『はるかぜちゃんのしっぽ(ω)』より引用

 

事実、はるかぜちゃんは、ネットがなかったら、自分のような子どもの意見を真剣に聞いてもらえることなどなかった、年齢関係なく、思うままの意見が言えるネットの世界が大好きだと、本書の中で述べている。
そしてまた、彼女がネットで様々な意見を発信してくれたおかげで、我々大人が忘れていたこと、想像もできなかったことにハッと気付くことができたのだから、やはりインターネットに感謝、とも私は思うのだ。頭ごなしに携帯やネットを子どもは禁止!としていたら、こんな気付きは無かったわけだから。

 

 

子どもをもっと信じてみようよ?

 

携帯やインターネットだけではない。
ルールばかりの世の中に対しては「決まりは作り過ぎると余計におかしくなる。ルールを実際に使って大人に守られてみると、守られている気分がまったくしない。ただ決まりだから、と言うのではなく、そのルールができた過程が知りたい。子どもを守る様々なルール、理由は納得できるけど、たくさんの鍵をかけられて閉じ込められているようで苦しい」と訴える。

 

勝ち負けを決めると負けた子がかわいそうだから、かけっこはやめましょう。本が盗まれるといけないから、図書室には授業の時間以外は入れない。怪我をした子が出たから、その遊具は撤去。仲間外れがないように、いじめが起きないように、休み時間はクラス全員で遊びましょう。子どもはそんなこと知らなくていいの。まだ小学生だからこんなことはできるわけないでしょ、やらなくていいの。……

 

何かあったら困るから。子どもが傷つかないよう、怪我をしないよう、事件に巻き込まれないようにと、危険から遠ざけようとすることは、同時に、子どもの経験値を下げたり、可能性からも遠ざけてしまってはいないだろうか。◯歳だからまだ出来ない、理解できるわけがないと、親の感覚だけで勝手に決めつけてはいないだろうか。

 

「できる」という前提で接していくこと。子どもを信じるということ。もちろん信じているからといって自由放任ではいけないが。大切なのは、親が先に先に都合の良い方向へ誘導し管理するではなく、子どもの意志を尊重し、ある程度は任せる、その上で見守り、サポートすること。子どもを育てていく中で大切なことを、はるかぜちゃんから改めて教わった気がする。

 

(文・水谷 花楓)

 

 

【文献紹介】

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はるかぜちゃんのしっぽ(ω)
著者:春名風花
出版社:太田出版

Twitterで話題沸騰中のはるかぜちゃんこと、春名風花が、1年間にわたってつぶやき続けてきた1万5千(2011年8月1日現在)を超えるツイートの中から厳選したつぶやきをまとめました!さらに各ツイートに今の気持ちをコメントとして掲載。子どもも大人も夢中になるはるかぜちゃんワールドへようこそ!

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