友人同士の飲み会なら誰がどこに座ろうと、そんなに気にする人はいないだろう。しかし、これが上司や取引先との接待となると、そうはいかない。お客様が座る場所である「上座」とお客様を迎える側の「下座」を、自分の立場によって瞬時に判断しなければならないのだ。
この春から社会人デビューする人はもちろん、キャリアを積んでいても意外と知らない「上座」のマナーを『お仕事のマナーとコツ』(西出博子・監修/学研プラス・刊)より紹介していこう。
和室・洋室での上座
和室の料亭などで食事といった場合、上座はどこかというと床の間の前。もし床の間が無い場合は、入り口から遠い席が上座となる。洋室でも基本的に同じで、入り口から一番遠い席が上座で、反対に入り口に近い席が下座となる。自分が一番下っ端という場合は、出入り口に近く、雑用をこなすという意味がある下座に座ろう。
そして一見、席次が関係なさそうな円卓にも上座・下座があるので要注意!
円卓の場合も入り口から一番遠い席が最上位の上座になるので、格上の人がいる場合はウッカリ座らないようにしたいものだ。
意外と知らない車の上座
車の場合、押さえておきたいポイントとして、自家用車かタクシーなど運転手付きの車かによって、上座と下座が全く違ってくる。まず、自家用車の場合は最上位の上座が助手席になり、運転手後ろの後部座席が2番目、3番目は助手席後ろの後部座席、4番目は後部座席真ん中となる。
一方、タクシーやハイヤーなどの運転手付きの車だと、最上位の上座は運転手後ろの後部座席となり、2番目は助手席後ろの後部座席、3番目は後部座席真ん中、4番目が助手席となるのだ。ただし、場合によっては移動車の中の上座・下座より、到着してからの降りる順番などが重要視される事もあるので臨機応変に対応したいところだ。
ちなみに、列車や飛行機では進行方向の窓側の席が上座で、通路側が下座になる。席が3つ並んでいる場合は真ん中が下座。これも、人によっては窓側よりお手洗いなどに行きやすい通路側を好む人もいるので、あくまで基本の形として覚えておきたい。
こうした上座・下座以外にも『お仕事のマナーとコツ』には、飲み会でのお酌の仕方や接待の作法、はたまたクレーム対応の仕方まで、社会人生活に必要なマナーがギッシリ詰まっている。仕事で恥をかきたくない人は必読の一冊だ。
(文:凧家キクエ)
【文献紹介】
お仕事のマナーとコツ
著者:西出博子(監修) 伊藤美樹(絵)
出版社:学研プラス
企業勤めの人、専門職、販売員、アルバイトなど、すべての仕事に携わる人に向けた、実践的マナー本。仕事の基本的なマナーから、職場の人間関係を快適にし、仕事の段取りを円滑にするための仕事術までを、オールカラーのイラストでわかりやすく紹介。