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2018/3/12 16:53

チャーハンで酒を飲む。孤独のグルメ指南本『ひとり飲み飯 肴かな』レビュー

友人皆無。一生独身。唯我独尊(ゆいがどくそん)。

 

ひとり飲み飯 肴かな』(久住昌之・著/日本文芸社・刊)は、おひとりさま酒食エッセイです。著者は、『孤独のグルメ』原作者。ひとりメシ、ひとり酒を楽しむためのテクニックが満載です!

チャーハン de 焼酎ロック

腹がへっているけれど、お酒も飲みたい。そんな気分のときには、炭水化物メニューの肴(さかな)を選びます。自宅ですぐに作れるものなら、お好み焼き・チヂミなどの「粉もん」が好きです。ビールやチューハイを合わせます。

 

『孤独のグルメ』の原作者・久住昌之さんは、チャーハンをアテに焼酎を飲むことがあるそうです。

 

チャーハンを食べながらだと、自然に焼酎を飲むペースも落ちるし、胃にもやさしい。酔うカーブも当然なだらかになる。
チャーハンの軽い油分、卵、ネギが、冷たくて味の引き締まった焼酎に合う。

(『ひとり飲み飯 肴かな』から引用)

 

久住さんいわく「ウマい焼酎を飲ませる店の常連客は、シメにチャーハンを頼んでいる」。焼酎好きの人なら思い当たるかもしれません。

 

作るのが面倒なときは、コンビニで冷凍食品を買います。最近の冷凍チャーハンは「角切りチャーシュー」がたくさん入っているので、宝探し気分で飲むことができます。

 

 

焼きそば de ホッピー

酒が飲みたい。でも、腹がペコちゃん。すきっ腹にアルコールは良くない。でも、米粒の気分じゃない。そんなときは、味が濃い「めん類」で決まりです。近ごろは「汁なし担々麺」という選択肢もありますが、今回は「ソース焼きそば」を推します。

 

とにかく、焼きそばの作り方は、色々あるんだ。それは知ってる。野菜や肉は炒めて1回出して、それから麺を炒めて、最後に合わせるとか。蓋して蒸すとか。
でもなんというか、どうやって作っても、なんとなくでき上がっちゃうところが焼きそばのよさだ。頂上に至る道が限りなくたくさんある山だ。

(『ひとり飲み飯 肴かな』から引用)

 

酒飲みが「ホッピー」と言うとき、それは《ホッピーの焼酎割り》を指しています。自分好みの濃さ(アルコール度数)でビール風味を味わえるものです。人気の秘密は「安く酔える」こと。

 

そして、ホッピーに遅れること数十年。安く酔えるという理由から、最近では「高アルコールビール」「ストロング系ビール」というジャンルが盛り上がっています。

 

アサヒ『アサヒ グランマイルド』(7%)、キリン『のどごしストロング』(7%)、サントリー『頂<いただき>』(8%)など、おなじみの発泡酒や第3のビールとおなじ価格帯に据え置いて、「安く酔いたい」というニーズに応えるべく開発されたようです。

 

アルコール度数が5%〜6%のビールでは、濃いめのソース焼きそばに負けることがあります。《ホッピーの焼酎割り》ならば、焼きそばの仕上がりにあわせてアルコール濃度をカスタマイズできます。最高の組み合わせです。

 

ソース焼きそばで酒を飲む人がいるなら、おいしいパンをつまんで酒を飲みたい人もいます。
たとえば、ウイスキーと相性が良いのは……

 

○○○○○○ de 水割り

サンドウィッチで酒を飲む。ビールのアテにするなら、「ハムサンド」「カツサンド」の2択です。

 

久住昌之さんの場合、「ツナトーストサンド」をお供にウイスキーの水割りを飲むそうです。銘柄は、サントリー『オールド』がお気に入り。

 

トーストサンドはできたても香ばしくておいしいけど、冷めてパンの表面のパリパリ感がなくなっても、また別のおいしさがある。
ボクの好きなのはツナのトーストサンド。ツナ缶を容器にあけ、タマネギをみじん切りにしたのを加え、黒胡椒と塩を軽く振って、マヨネーズで和えて、準備完了。

(『ひとり飲み飯 肴かな』から引用)

 

トーストサンドは2度楽しめます。「焼きたて」と「作り置き」です。久住さんは、3枚の食パンをつかって、余すところなくトーストサンドを満喫しています。つぎのとおりです。

 

まず、食パン2枚をつかってサンドウィッチを作ります。トースターで炙ったあと、それをポリエチレンラップに包んで寝かせておきます。余ったツナマヨペーストは、もう1枚の食パンに塗ります。スライスチーズを加えれば、とろける熱々のチーズ&ツナトーストが楽しめます。

 

そして、お待ちかね。時間を置いて「しっとり感」が高まったツナトーストサンドを取り出します。原理はわかりませんが、しばらく寝かしたトーストサンドは「モチモチ」しています。特に、端っこ(パンの耳)が肉々しい歯ごたえになります。噛めば噛むほど「うまみ」を味わえる調理法です。

 

 

ひとり酒食を100倍楽しむ!

これまで紹介した『ひとり飲み飯 肴かな』は、その名のとおり「おひとりさま」でも酒を楽しむための指南書です。

 

第1部「孤独の飲み飯」は、21通りの組み合わせを評論した酒食エッセイになっています。

著者の久住さんは、漫画原作者として優れているだけでなく、飲食にまつわる「意識の流れ」を綴ったグルメエッセイにも定評があります。飲食シーンだけならばジェイムズ・ジョイスに匹敵するかもしれません。

 

第2部「今夜もひとり居酒屋で」、第3部「これ喰ってシメ!」は、著者の洞察力によって《発見》された、市井のささやかなる食文化をスケッチしたものです。食いしん坊はもちろんのこと、『孤独のグルメ』を生み出した著者の頭のなかに興味がある人にもオススメします。

 

【著書紹介】

 

ひとり飲み飯 肴かな

著者:久住昌之
出版社:日本文芸社

ベストセラー『孤独のグルメ』『花のズボラ飯』『食の軍師』の原作、共作で食漫画に新風を吹き込む久住昌之氏が、ひとり酒とその肴となる飯の機微を、ときにファンキーに、ときにリリカルに綴った愉しいイラスト&エッセイ集。第1部「孤独の飲み飯」、第2部「今夜もひとり居酒屋で」、文庫化にあたって新たに収録される第3部「これ喰ってシメ!」に加え、巻中付録として実弟のイラストレーター&絵本作家・久住卓也氏との兄弟ユニットQ.B.B.による「幼稚な大人」マンガを掲載。「食の陣立て」にこだわる著者の面目躍如たるバラエティー溢れる一冊です。飲むほどに、食べるほどに、ひとりでもヨイここち!QUSUMIワールド全開の、楽しいイラストエッセイ集です。だらしない(?)酒好きならわかる、「あー、楽しくなってきちゃった」気分を存分に味わえる、そんな一冊です。
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