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2018/3/26 16:30

ディープラーニングって何? いまから学ぶなら『人工知能は人間を超えるか』が、わかりやすくて面白かった

ディープラーニングの衝撃

ディープラーニングは、データをもとに、コンピュータみずからが特徴量をつくり出す。
(中略)
ディープラーニングは、人工知能の分野でこれまで解けなかった「特徴表現をコンピュータ自らが獲得する」という問題にひとつの解を提示した。つまり、大きな壁にひとつの穴を穿(うが)ったということである。

(『人工知能は人間を超えるか』から引用)

 

「隣り合った都道府県は天気が似ている」というのが、日本の天気データから読み取れる「特徴」です。「47都道府県のうち、10ヶ所だけの天気情報を元にして、残り37ヶ所の天気をできるだけ当てるゲーム」で高得点を得たいときには、きわめて有効な判断基準となります。

 

これまでは、人間がその「判断基準」をコンピュータに教える(プログラムする)必要がありました。しかし、ディープラーニング手法ならば、数十年分のデータを分析することによって、コンピュータの独力で「隣り合った都道府県は天気が似ている」という判断基準を発見できるようになったのです。

 

ディープラーニング分析を繰り返すことで、可能なかぎり、コンピュータは特徴を見つけ出そうとします。

 

特徴表現③:(全国、北海道、東北、関東、関西、四国、九州、日本海側、太平洋側、沖縄)

(『人工知能は人間を超えるか』から引用)

 

つまり、「天気が似ている都道府県は、いくつかの地方(グループ)に分類できる」という特徴です。

四国地方や北信越地方など、わたしたち人間は、地理の授業で教わったから知っています。一方で、ディープラーニング処理をおこなうコンピュータ(人工知能)は、地理の前提知識を与えられなくても、47都道府県の天気データを分析するだけで、日本の「○○地方」という意味づけを発見することができます。

 

 

AIは人類の敵なのか?

ニュートンやアインシュタインが画期的な物理法則を発見したように、この世のあらゆるものをディープラーニングで分析することによって、AI(人工知能)が新しい特徴量を発見できるかもしれません。頼もしい話ですが、人間よりも賢くなるということでもあって、ちょっと怖いような気もします。

 

AIやコンピュータは、わたしたち人類を脅かすのでしょうか? 新書『人工知能は人間を超えるか』の著者・東京大学の松尾豊さんは、次のような見通しを述べています。

 

いまディープラーニングで起こりつつあることは、「世界の特徴量を見つけ特徴表現を学習する」ことであり、これ自体は予測能力を上げる上できわめて重要である。ところが、このことと、人工知能が自らの意思を持ったり、人工知能を設計し直したりすることとは、天と地ほど離れている。
(中略)
生命が発生するということと、それが知能を持つということの間には、圧倒的な乖離がある。

(『人工知能は人間を超えるか』から引用)

 

この言葉を信じるならば、AIが反乱を起こして人類滅亡!という事態は避けられそうです。安心しました。

 

【著書紹介】

人工知能は人間を超えるか

著者:松尾豊
発行: KADOKAWA / 中経出版

グーグルやフェイスブックが開発にしのぎを削る人工知能。日本トップクラスの研究者の一人である著者が、最新技術「ディープラーニング」とこれまでの知的格闘を解きほぐし、知能とは何か、人間とは何かを問い直す。

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