私は年に数回、肩や腰が痛くてもう我慢できないとなってから整体院に駆け込んでいる。整体を受けた後はとても調子がいいので、定期的に通院したほうがいいのだろうが、費用ももったいないので次に痛くなるまで放っておくというよくないパターンを繰り返している。毎朝、自己流のストレッチ体操をして体をほぐしているものの、その方法が正しいのかどうかもわからない。
そんな私に朗報をもたらしてくれたのが『ホネナビ 1日3分で医者いらずの体になる』(長谷川智・著/学研プラス・刊)という本だ。全身の関節をまんべんなく動かす簡単な体操をするだけで、整体を受けたのと同じ効果を得られるというから驚きだ。
体の歪みがすべての不調の原因
中高年だけでなく、バリバリの働き盛りでも、肩の凝りや足腰の痛みで苦しんでいる人は多い。
本書の著者、長谷川先生はそれらの不調は体の歪みが原因と断言している。
体の歪みとは、関節の歪みです。本人が気付かないうちにクセのある動き方を続けて関節を痛めたり、逆にほとんど動かさないために関節が固まってしまっているのです。しかも、多くの方はこの原因を知らないため、体の歪みは放置されています。(中略)また、体の歪みは精神面にも影響してきます。気持ちが落ち込んで、やる気が湧いてこないのです。放置すると、うつにまで進んでいく怖れもあります。
(『ホネナビ 1日3分で医者いらずの体になる』から引用)
また、20代から40代に多く発症する慢性疲労症候群の原因のひとつに体の歪みがあると長谷川先生は言う。
ビジネスマンはオフィスでパソコンに向かって長時間同じ姿勢をとっていることが多く、さらに電車の中や家に帰ってもスマートフォンやタブレットを使っている。この状態が日常化しているため、体が歪んで健康に悪影響を与えているのだそうだ。
体の歪みは特定の関節を酷使したり、逆にほとんど使わないことで生じるのだという。
デスクワーク中にできる簡単ホネナビ
ビジネスマンに圧倒的に多い悩みが肩凝りや首の痛みだ。この原因はデスクワーク時の姿勢にある。集中して長時間にわたって猫背の姿勢をとっていれば関節が固まるのは当然といえる。
本書ではデスクワーク中に椅子に座ったまま体をほぐせる方法をイラスト付きで紹介している。ポイントは真逆の動きをしてみること。
両手を広げて上方を向く。次に、上体を前へ倒していく。両手は後ろまで持っていき、そこで指を開いたり閉じたりする。終わったら元戻る。楽になったと感じるまで繰り返す。
(『ホネナビ 1日3分で医者いらずの体になる』から引用)
さらに、長谷川先生によるとデスク周辺の環境を変えることも大事だという。
仕事を続けていくと、デスク周りのモノは自分が手に取りやすい位置や見やすい位置に固定されてきます。そうすると、仕事の効率は上がるかもしれませんが、体の動きは限定されてしまいます。その結果、体が歪んで特定の関節が痛くなるのです。
(『ホネナビ 1日3分で医者いらずの体になる』から引用)
長谷川先生が診たひとりのビジネスマンは、それまで常に決まった場所に資料を置いて、パソコン画面に向かっていたため首の痛みが慢性化していたそうだ。そこで先生のアドバイスで資料を置く位置を定期的に変えるようにしたら、首の痛みは消えたのだそうだ。こんな些細なことで疲れが取れるなら即、実行したい!
筋トレ、ストレッチ、ランニングで体が歪む?
この本によると、健康によかれと思って行っている運動が、実は関節を痛めて体を歪めているということもあるそうだ。
たとえば、スポーツジムで行う筋肉トレーニングは、関節のことを意識せずに続けてしまうと、体の歪みを大きくしてしまう恐れがあるという。関節のバランスが崩れ、ちょっとしたことがきっかけで体を痛める可能性もある。
ラジオ体操については、体を毎日動かすのはとてもよい習慣だが、ラジオ体操をする人の大半は関節を意識していない。そのため、単に体を動かしているだけで体の歪みはとれないのだそうだ。
ランニングやウォーキングに関しては正しいフォームにこだわりすぎるのが問題だと長谷川先生は言う。正しいフォームが万人にとって正しいわけではことを知り、自分にとって楽な走り方、歩き方を試すのがいいそうだ。本書では「ホネナビ流ウォーキング」の項があり、ここに詳しい解説がある。
心地いい!毎朝3分間の「ホネナビ体操」
さて、ホネナビ体操を実践するには、守るべき4つのルールがある。
1)17の体操すべてを行い、全身の関節をまんべんなくほぐしてバランスをとる。
2)体操していて痛いと感じた方向への動きは避ける。あるいは痛くない程度まで力を緩める。
3)骨と関節をイメージ(意識)しながらほぐす。
4)おすすめは朝。この時間に体の関節をほぐしてやれば体も気持ちも目覚め、その日の活動に弾みがつく。
本書では17ステップのホネナビ体操がイラスト付きでわかりやすく紹介されている。が、正しく、忠実に体操できているか不安になることはないそうだ。
「ホネナビ体操」からのイラストに忠実である必要はありません。体操をやって、気持ちよく、楽に感じることを重視してください。一人ひとり「楽な動かし方」は異なるので、イラストの形にこだわらなくても大丈夫です。
(『ホネナビ 1日3分で医者いらずの体になる』から引用)
「ホネナビ体操」の内容と時間の目安は以下の通りだ。
1)手の体操:約8秒 2)手首の体操:約13秒 3)肘関節の体操:約13秒 4)肩関節の体操:約14秒 5)鎖骨の体操:約14秒 6)顎関節の体操:約13秒 7)首の体操:約13秒 8)~11):背骨の体操:約8秒×4(計32秒) 12) 骨盤の体操:約8秒 13)~14)股関節の体操:約8秒×2(計16秒) 15) 膝関節の体操:約13秒 16)足首の体操:約15秒 17)全身の伸び:約8秒
本書にはホネナビに対するQ&A、そして「体が変わった!」という体験談も載っている。
肉体疲労で悩むビジネスマンには必見の一冊だ。
【書籍紹介】
ホネナビ 1日3分で医者いらずの体になる
著者:長谷川智
発行:学研プラス
慢性的な体の痛み、抜けない疲れ、ずっと気分が優れない…ほとんどの不調は体のゆがみが原因です。骨と関節に着目した「ホネナビ体操」は、ゆがみを自分でチェックし調整するセルフ整体。1日たった3分で、痛みも疲れも憂うつな気分も消えていきます。