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2018/5/6 18:00

役に立つビジネス書はビジネス書作家に聞け! 明日からの仕事に効く5冊

ビジネス書作家で商品開発コンサルタントの、美崎 栄一郎です。ビジネス書作家としてビジネス書を選ぶ、そんな連載をスタートすることになりました。

 

のっけから裏話をしますと……ビジネス書作家って、あんまりビジネス書自体を読まない人が多いんですよね。ところが、私は違います。というのは、私は元々、花王という日用品や化粧品のメーカーで商品開発をしていたので、“競合”とか“市場動向”とかをチェックしたくなるんです。職業病ですね。

 

デビュー作は、「『結果を出す人』はノートに何を書いているのか」。これがビジネス書大賞1位を頂いたのですが、これを書くときにも、市場に出ているノート術の本はほとんどチェックしましたし、それ以降いまでも、売れているビジネス書はほぼすべて読んで確認するようにしているんです。毎日1冊くらいのペースです。

 

本稿は、私が読んだたくさんのビジネス書の中から、毎月、これぞという5冊を私なりのランキング形式で紹介していくものです。(凄まじい数のビジネス書が毎月刊行されているので、完全に網羅することは難しいのですが、少なくとも私が読んだ数十冊の中ではベスト、ということでご理解ください。)また、これを読め! という出版社の方がいらっしゃいましたら、学研プラスのGetNavi web編集部宛てにお送りください。紹介するかどうかは内容次第ですが、必ず読みます。

 

では早速。

 

第1位「企画のメモ技」

高橋晋平 著/あさ出版

文句なし、面白いです。元々、玩具メーカーのバンダイで面白いオモチャを企画するのが仕事だった高橋晋平さん。私が名前を知ったときにはもう、ヒットメーカーでしたから、まさか入社して3年はまったく企画が通らなかったなんて、この本で知りました。

 

その彼による、ヒットメーカーになった企画メモのメソッドが実戦的に書かれています。情報収集の仕方からメモの書き方、組みあわせ方に至るまで、具体的で、参考にしやすい構成です。

 

1位に選んだ本は、私が心がけている本の読み方=アクションをする、という事例も含めて紹介します。本を読んだら、必ずひとつ、書かれた手法を自分でも取り入れてやってみる、というのが私なりの読み方です。知識を血肉にするには、行動あるのみ。

 

ちなみに本書の手法は、すでにほとんど実践済みだったのですが、私がとくに注目したのは、高橋さんがメモした企画のネタでした。「ジャイアン妄言トランプ」「世界の街の定点観測カメラ」は、これは応用できそうだなと、私の企画メモにメモしたのでした。トランプは、委託製造できそうな製造先も探しました。そう、良いビジネス書って、実践出来るネタを仕入れることでもありますから。

 

さて、2位以下に選んだ本ももちろん“アクション”はしているのですが、紹介だけに留めておきますね。良い本だけセレクトしていますので、ピンときたものがあれば、チェックしてみてください。

 

第2位「間違える勇気」

ジェラール・ルラルジュ 著/笹根由恵 訳/幻冬舎

LVMHグループ時計部門のプレジデント、ジャン-クロード・ビバー氏の経営哲学をまとめた本です。フランス語ビジネス書の翻訳で定評のある笹根由恵さんが訳していて読みやすいです。

 

さてこのビバー氏、経歴がすごい。オメガ、ウブロなど名だたるブランドを刷新、飛躍させてきたブランディングのプロフェッショナル経営者です。今後の日本のブランドを考える上でのヒントが満載です。

 

第3位「アマゾンのすごいルール」

佐藤将之 著/宝島社

アマゾンジャパンの立ち上げに関わった著者が、アマゾンの創業者、ジェフ・ベゾス直伝のメソッドを初公開。いまでは、日本人の生活に必須のインフラと化したアマゾンの通販ですが、あっという間にここまでの規模に成長しているわけです。そのスピード成長を実現した超合理的な仕事術が、具体的なエピソードとともに語られます。

 

第4位「『ラクして速い』が一番すごい」

松本利明 著/ダイヤモンド社

“ザ・ビジネス書”的な構成で、松本流の説明が具体的です。とくに目新しい内容はないかもしれませんが、ビジネスメソッドで新発明ってそんなにないわけです、実のところ。実際に使える方法を丁寧にわかりやすく、具体例を挙げて解説している本のほうが役に立つ。

 

この本は、そういう作り。つまりは、この本を読めば、ラクして速く、そういうテクニックが身につくわけです。なるほどね。だから売れているんですね。

 

第5位「0 to 100 会社を育てる戦略地図」

山口豪志 著/ポプラ社

クックパッド、ランサーズといった日本発のIT企業。このどちらの会社の躍進にも関わっていた人物が、著者の山口豪志さん。IT企業って、HP上のインターフェイスは見えるけれど、企業の中でどんなことが行われているのかは見えないですからね。

 

企業の中の人の山口さんが見てきたことをまとめると、企業の成長段階に応じて、やるべき方策などが変わってくるでしょう。自分の会社の段階と比べてみると面白いと思います。

 

【プロフィール】

美崎 栄一郎

ビジネス書作家、講演家、商品開発コンサルタント。2012年のデビュー作「『結果を出す人』はノートに何を書いているのか」がビジネス書大賞1位となる。かつて花王で開発者として活躍、実際の現場で経験したことを元にしたノウハウをまとめた著書などがヒットし、出版数は30冊以上にのぼる。時間術や仕事術、アイデア発想術、ノート術、デジタルツール活用術などをテーマに、全国で講演を行なっている。

公式サイト https://note272.net/