中学・高校・大学と、10年の間、英語を勉強してきた。成績だってそんなに悪くなかった。英語ができないと、進学に差し支えるから必死だったし、何よりも英語で小説を読んだり、映画を観たりしたいという「野望」もあったので、会話教室にも行ったし、ラジオ講座も真面目に聞いた。それなのに…いまいちできるようにならない。
英語はね、単語だよ、簡単だよ
英語の勉強に挫折して、がっくりするたびに思い出すのは、今は亡き母の言葉だ。
「英語はね、単語だよ。単語がすべてだよ」。
母はいつも自信満々でこう言った。彼女は娘時代、進駐軍のキャンプで働いていたことがあり、いざとなったら英語が流ちょうに話せるというのが自慢だった。そして、実際に英語を話した。ただし、「おはよう」と「おやすみ」と「知らない」の3語だけ英語で言うのだ。
なぜその3語だけなのか理解に苦しむが、とにかく、Good morningとGood nightとI don’t knowは我が家では日本語で言うことはなかった。結局、母が本当に英語を流ちょうに話したのかどうかよくわからない。ただし、「英語なんて簡単。向こうに行けば、子供だって英語を話してるんだから。難しく考えちゃ駄目」との言葉は説得力があった。
中学の単語から始めよう
最近、私は英語ができるようになりたいと再び真剣に考えるようになった。外国人の友だちができ、彼らともっと深い話ができたらと願うようになったからだ。Facebookやメールでつながっている外国の知り合いと、英語ができた方が深い話ができる。そこで、母の教えに従い、まずは単語からと『中学英単語1850』(学研教育出版・編 /学研プラス・刊)を読んだ。
高校入試のための単語帳である。初心に戻って、中学の英単語から始めようと思ったのだ。知り合いの英語の達人も、「中学の英語をあなどってはならない」と、教えてくださった。とにかく中学生の英語をマスターすれば、どうにか意思の疎通ができるはずだ。
挫折したくない…
最初は『中学英単語1850』で挫折したら、どうしようと、こわごわ始めた。長いことサボっていて、頭はさびついているし、高校入試用の単語なんて、長いこと勉強していない。こんな説明がついていることも、私をびびらせた。
過去5年分の全国の都道府県立高校の入試問題と、難関私立・国立高校の入試問題をテキスト化した膨大な語数のコーパス(データベース)を作成し、長文問題からリスニングテストのスクリプト(台本)にいたるまで徹底分析し、その結果にもとづいた最新のランク順に単語を配列しました。
(『中学英単語1850』より抜粋)
大丈夫だろうか? すっかり単語を忘れていたら、どうしよう。私は不安だった。
段階をふんでいこう
結論を言うと、大丈夫だった。いじけた気持ちにはならなかった。
まず最初に、「最重要レベル」として、高校入試ランク1位から229位までの単語が並んでいる。入試問題の英文の骨組みになる単語だけに、マスターしたいとハッスルした。
次に「基本レベル」として230位から505位までの単語が並ぶ。高校入試で数多く出ている基本的な単語だが、聞いたこともないような難しい単語は並んではいない。これから高校を受験する読者にはまさに必須の単語ばかりが並んでいる。さらに「標準レベル」「高得点レベル」「超ハイレベル」と難しくなっていくが、段階をふんでいくから怖れることはない。
もう一度、旅してみたい
簡単な単語から始まり、順に1850位まで単語が並ぶ。階段を上るように少しずつマスターしていけばいいのだから、コツコツやれば大丈夫。私も高校入試を控えた中学生のような気持ちで勉強できた。
「英語はね、単語だよ」といった母の言葉はうそではなかったようだ。そういえば、ロンドンへ一人旅をしたとき、私はバスの中で出会い、仲良くなった女の子にこう言われた。「アキコは勇敢ね!その英語でバスに乗ったりするんだから。尊敬するわ」と。
実はその時、私としては頑張って英会話していたつもりだったので、かなり傷ついたのだが、今思うと単語力が足りなかったなと思う。
『中学英単語1850』の巻末には索引もついているので、上手に使って、単語力をつけ、もう1度ロンドンへ旅立ちたいと願っている。今回は「その英語で勇敢ね」と言われないようにしたいのだが、果たしてうまくいくだろうか?
【書籍紹介】
中学英単語1850
著者:学研教育出版(編)
発行:学研プラス
全国の公立・私立高校の最新入試問題データを徹底分析した,高校入試の英単語帳の決定版。単語に加えて,単語のフレーズもランク順に並べ,入試に「出る」使い方が効率よく覚えられる。くわしく分かりやすい解説が満載。アプリと音声ダウンロードつき。