ひとりぼっちで、飯(めし)を食う。
寂しくもあり、楽しくもあり。
モラトリアムの就職浪人による、めし語り。グルメ漫画『鬱ごはん 2』(施川ユウキ・著/秋田書店・刊)を紹介します。
「ほか弁」と「コンビニ弁当」の違い
弁当屋で弁当を買うことは
コンビニで弁当を買うことと何が違うのか?
(『鬱ごはん 2』から引用)
コンビニ弁当は、プラスチック容器に「おいしい大量生産品」を敷き詰めたものです。普段ならば、それで満足できます。でも、気分が落ち込んでいるときには、お弁当屋さんの「ほか弁」を買い求めたくなります。
「ほか弁」にも、冷凍食品や大量生産品が使われています。しかしながら、「ほか弁」は対面で注文して、貴方だけのために作ってくれるシステムです。知らず知らずのうちに「思いやり」の味付けがおこなわれています。「ほか弁」は格別なのです。
早起きはソーセージマフィンの得
何度食べても
マフィンとパンの違いがわからない…
フライドポテトを食べ慣れてるせいで
ハッシュドポテトはコレジャナイ感が…
(『鬱ごはん 2』から引用)
マクドナルドの朝限定メニュー。いわゆる「朝マック」のマフィンシリーズは、噛みごたえがあるので食べているうちに目が醒めてきます。
マフィンにはさまれているのは、スパイシーに味付けされた「豚肉のパティ」です。朝マックならば、豚肉のパティ+チーズ+マフィンを組み合わせた「ソーセージマフィン」を単品100円で注文することができます。最高の食べ物です。
マクドナルドの「ポークパティ」にはハズレがありません。昼の時間帯であれば、「しょうが焼きバーガー(ヤッキー)」は単品200円。「てりやきマックバーガー」は単品320円です。朝マックならば、豚肉のパティを採用している「ソーセージマフィン」と「Sサイズドリンク」のコンビが200円で注文できます。
ところで、近所にベーカリーショップ(パン屋)があると、早起きしたくなります。焼きたてのパンをその場で食べられる「イートイン」があれば最高です。
意外にくつろぐ。パン屋のイートイン
近所のパン屋のイートインコーナー!
静かにゆっくりと食事ができる
あなどれないスポット
(『鬱ごはん 2』から引用)
よく晴れた朝には、ベーカリーショップのイートインで過ごしたくなります。カフェ(喫茶店)ほど広くはないですが、コンビニよりもリラックスしやすい。
その場で食べていくので、いちどに選べるのは2個か3個。最高のチョイスにしたい。どれもおいしそうに見えてしまう。いままで食べたことがなかったパンにも挑戦したいけれど、食べ慣れたパンも捨てがたい。制約を楽しみます。
お店によっては、ホットコーヒーが無料だったり、100円で飲み放題だったりします。たいていは「味気ないインスタントコーヒー」ですが、お客さんは文句を言いません。焼きたてのパンと居心地の良いイートイン。それだけで満足しているからです。
シュークリームを最大限に味わうには
最近のシュークリームは
シューに対してクリームが圧倒的に多い
(中略)
まるでジェンガだ
食べ方を誤ると タワーが崩れるように
クリームがあふれ出る
(『鬱ごはん 2』から引用)
『鬱ごはん』シリーズは、「ひとりぼっち飯」にまつわるシチュエーションを描いた、1話読み切りのマンガです。グルメ漫画ですが、おいしそうに食べるシーンがほとんどありません。主人公である「鬱野たけし」が、人生に絶望しているからです。
じつは、今回紹介した『鬱ごはん 2』には、このマンガには珍しい「真似したくなる食べ方」が描かれています。セブン‐イレブンのスイーツ『ミルクたっぷりとろりんシュー(現・ THEセブンシュー)』の食べ方です。
シュークリームは…
中身をぶちまけながら
獣のようにむさぼり食う
野生の果実!!!
(『鬱ごはん 2』から引用)
主人公・鬱野たけしは、具だくさんシュークリームを「野生の果実」であると看破しました。言い得て妙です。カスタードクリームがあふれ出しても、こぼれ落ちたとしても、口のまわりをベトベトにしながら食べることに集中する。鬱野の食べ方こそが「最適解」です。感銘を受けました。
セブン‐イレブンのシュークリームを「鬱野食い」するようになってから、わたしは充実したシュークリーム人生をすごしています。お試しください。
【書籍紹介】
鬱ごはん 2
著者:施川ユウキ
発行:秋田書店
孤独な青年・鬱野たけし。定職も仲間も無いけれど、そこまで辛い悩みもない。生きるためとりあえず毎日食べる、ただただ冴えない一人メシ。