子どもへの性教育に関するトピックが、ここ最近ちょっとしたブームだ。
8歳の男の子と5歳・3歳の女の子を持つ私自身にとっても大きな課題であり、実際にいくつかの「性教育」に関する講座を受けた。というのも、長男がまさに「性」に対して興味を持ち始めていて、いまが教え時だと感じているから。
もうずいぶん前から「性教育は3歳から」といった話を聞いていたのに、なんとなく先伸ばしにしてきた結果、慌てて対策を練っているというのが本音ではあるが。
講師の方から、具体的な声がけの方法は聞いた。頼りになりそうな絵本も買った。できればここに、なにか教科書代わりとなるような性教育の書籍を持っておきたい。
そこで見つけたのが、「とにかく明るい性教育【パンツの教室】協会」の代表理事のじまなみ氏の著書『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』(辰巳出版・刊)だ。
今回は、こちらの本を中心に、子どもに対する性教育について考えてみる。
性教育がもたらす3つのメリット
なんとなく「寝た子を起こすな」ではないけれど、「早いうちから性に関することを教えたら、かえって興味本位で性行動を起こしてしまうのでは?」などと思いがちだが、のじま氏によると、「性教育にはメリットしかない!」のだそう。
そのメリットとは、次の3つ。
・自己肯定感が高まり、自分も人も愛せる人間になる
・性犯罪の被害者・加害者にならない
・低年齢の性体験、妊娠・中絶のリスクを回避できる
(『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』より引用)
性教育といっても、いきなりSEXの話をするわけではない。確かに、そこから始めてしまうと、過剰に興味を示したり、反対に拒絶してしまう子もいるだろう。
まずは「僕・私の命ってスゴイんだ!」と思えるように、子どもが生まれてきた日の話、パパもママもみんな待ち望んでいたこと、そしてどれほどの奇跡が重なって生まれてきたのかを伝えることからスタート。ここが肝心だ。
そうすることで、子どもは「自分は愛されている。大切に思ってくれている家族がいる」という自己肯定感につながっていく。
さらに、性教育は、近年増え続けている子どもの性犯罪被害に対して「防犯の教育」もできるとのじま氏。なんでも、13歳未満の子どもに対する性犯罪の検挙件数は全国で年間900件以上。見逃せないのは、性犯罪に関する知識がない子どもの場合、「なんだか嫌だったけど、何をされたのかわからない」、「親に打ち明けられない」といった理由から、検挙されていないケースが10倍近くあるのでは、と言われている点だ。
早い段階から正しい性教育を受けた子どもであれば、「自分がされたことはおかしい、間違っている」と判断でき、「ママに相談しよう」と思えるようになる。そしてまた、うっかり加害者になってしまうことも防げるのだという。
さらには、友達や先輩、インターネットなどから間違った知識を得る前に、親からきちんと性教育に関して教えてもらっていれば、「あれ? ママに教えてもらったことや、絵本に書いてあったことと違うぞ!?」と気づくことができる。結果的に、低年齢の性体験や望まない妊娠も防げる、と考えられているのだ。