本・書籍
2019/2/23 11:15

名は体を表す? 不思議な名前には理由がある――『びっくり! 変な名前の生き物』

この間見た情報バラエティー番組に、ベテランの万引きGメンがゲスト出演していた。この人は長年にわたって数多くの万引き犯を捕まえてきたわけだが、コツを尋ねられ、こう答えていた。「怪しい人間にあだ名をつけるんです」

 

雰囲気も含め、外見の特徴を一瞬のうちにとらえる。そのイメージからあだ名をつけ、キーワードにして脳裏に刷り込む。こうしておくと、多くの人たちが出入りする大型店舗の中でもターゲットを見失うことはないという。

 

キーワードでありラベルであるあだ名

あだ名をつけるのがうまい人。まず筆者の脳裏をよぎるのは、有吉弘行さんだ。「眉毛たまご」(関根麻里さん)、「理屈しゃくれ」(土田晃之さん)、「小器晩成」(ダンディ坂野さん)、「ポール・マッカートニー」(日村勇紀さん)などなど…。見た目だけのものと、見た目にプラスα要素があるものが混在しているが、毒々しい響きと収まりのよさが支持されているようだ。

 

滝沢カレンさんも四字熟語風のあだ名の達人だ。こちらも面白い。「芸風過多」(渡部建さん)、「感情不明」(堂本光一さん)、「存在強烈」(遠藤憲一さん)、「美容怪獣」(IKKOさん)など、こちらも独特のセンスから生まれるネーミングが並ぶ。

 

有吉さんも滝沢さんも、「あだ名をつけてください」と求められて“新作”を発表するスタンスなので、つけられる方も面白がって受け容れていることがうかがえる。

 

 

ヨダレザケの話

実は、10年くらいのスパンで悩み続けていることがある。NHKのBSの番組で見たと思うのだが、海の浅瀬の生きものに関するレポートで“ヨダレザケ”という魚の存在を知った。見た目は金魚みたいで、けっこうかわいい。この番組を見てから何年か経ったある日、「そういえば」と思ってネットで検索してみた。しかし、まったくヒットしない。ヒットしたのは“ヨダレカケ”というハゼみたいな魚で、筆者の記憶とは完全に異なる姿をしている。

 

マンデラ効果みたいなものだったんだろうか。でも、ヨダレカケを知って、ネーミングの妙みたいなものを感じた。この魚の場合、下唇が進化した吸盤が赤ちゃんのよだれかけの形に似ていたためこういう名前になったという。ストレートなネーミングだ。有吉さん/滝沢さん系のネーミング感覚は、生きものの名前にも通用するのかもしれない。

 

こういう種類の、思わず吹いてしまうような名前の動物を集めた本がある。

 

 

表紙から面白い

びっくり! 変な名前の生き物』(監修・木村義志/学研プラス・刊)は、文字通り変な名前の生き物ばかりを集めた図鑑だ。でも、カタログ的に淡々と紹介していくのではなく、図鑑的な使い勝手とクイズ本的な面白さという意識が強く感じられる。

 

この本のコンセプトは、表紙にわかりやすく示されている。カメムシらしき虫の大きな写真。その下に「この虫の名前は?」という設問があって、①ジンメンカメムシ②リーゼントカメムシという選択肢がある。答えは本書で確認していただきたいのだが、企画の方向性がこれ以上ないほどわかりやすく表現された秀逸な表紙だと思う。

 

 

作り手と読み手のつながりが感じられる本

全体的な構成を見ていこう。全部で55個の問題が3章立てでレベル1~3に分かれていて、それにコラムが盛り込まれている。

 

問題の出し方も1種類だけではない。こんな感じだ。

 

★クイズは3種類あります。

①名前は次のうちどれ?    ①~③の中から写真の生き物の名前を考えよう。

②なぜこの名前がついた?  ①~③の中からこの名前がついた理由を考えよう。

③この生き物の名前は? 空いている□□に入る言葉を考えよう。

『びっくり! 変な名前の生き物』より引用

 

3択問題だけではなく、命名の過程を推理するタイプの問題、さらには大喜利的な思考を求める問題もあり、答え方に関するバラエティーのバランスもいい。写真も図鑑レベルの美しさだ。作り手と読み手のつながりを生もうという意図が感じ取れる。

 

 

プラスαの知識が得られるコラム

コラムの内容も工夫されている。たとえば、最初のコラム「生き物の名前」ではカニを例にとって地方名、標準和名、そして学名といった項目で説明が行われる。同じ種類なのになんで名前が違うの? そんな疑問に答えてくれる内容だ。

 

筆者にとって特に刺さったのは、ちょっとニッチな感覚の最後のコラム「ウミウシの名前」だ。ものすごくキレイな写真が並べられ、とても面白い名前が紹介されている。「シンデレラウミウシ」なんて、どんな姿なのかちょっと想像してみてください。名前の部分を隠しておいて当ててみる。そんな楽しみ方もできるかもしれない。

 

作り手と読み手のつながりが感じられると書いたが、方向性はそれだけではないだろう。親子とか友だちとか、さらにはSNSを媒体としたつながりも生まれるかもしれない。そんな可能性を思わせる、とにかく楽しい本だ。

 

【書籍紹介】

びっくり! 変な名前の生き物

著者: 木村義志
発行:学研プラス

写真を見て考えるビジュアルクイズ図鑑シリーズの第3巻は、変な名前の生き物。おどろきの名前にはわけがある! 55問のクイズを解けばからだの特徴やくらし方など、生き物のユニークな生態がよくわかる、新感覚クイズ図鑑!

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