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料理
2019/3/4 21:45

「料理しなくてもいいんだよ」主婦(主夫)の呪縛を解く驚異の料理本『料理が苦痛だ』

先日、いつも仕事でお世話になっている方とランチをご一緒していたとき、ふとこんなことを聞かれた。

 

「料理は好き?」

 

この実にシンプルな質問に、私ははたと考え込んでしまった。

 

結婚して12年、人並みに毎日料理をしているし、腕もそんなに悪くないと思う。家族の健康を考えて食材や調味料に気を遣い、献立のかぶりがないように、一時はカレンダーに日々のメニューを書き込んでいたこともある。

 

けれどおそらく、私はそんなに料理が好きではない。

 

よく、「みじん切りをしていると、ストレス解消になる」とか言う人がいるが、この人生で一度もそんな気持ちになったことがないし、しばらくご飯は作らなくていいよと言われたら、喜んで料理を放棄するだろう。だからといって、「一生やりたくない!」と言うほど嫌なわけではない。

 

強いて言うならば、「料理がちょっと苦痛に感じるときがあります」だろうか。

 

 

料理教室のオーナーが「料理が苦痛だ」と宣言した衝撃

とはいえ、主婦たるもの「料理がしんどい」などと口に出すなんてもってのほか、だってみんな毎日作っているのだから。そう思っていたら、まさかのタイトルの書籍を目にした。『料理が苦痛だ』(本多理恵子・著/自由国民社・刊)である。

 

しかも著者は、料理教室のオーナー。料理を生業としている人のセンセーショナルな告白に、ページを開かずにはいられなかった。

 

本多氏は、自己の半生を振り返りながら、毎日料理を作り続けている主婦(主夫)における「さまざまな呪縛」を挙げている。

 

たとえば、「健康のために」という呪縛。健康のために素材や調味料を吟味し、料理に力を入れることは素晴らしいが、家族の健康が自分一人の肩にのしかかっているわけではない。「手料理だけが家族の健康を担うと思わなくて良い」のに。

 

たとえば、「誰からも評価されていない」という呪縛。仕事に比べて、家事は他者からなかなか評価されない。洗濯して当たり前、掃除して当たり前、毎日ご飯を作って当たり前。でも、やはり誰かに自分の努力を認めてほしいのが人間というもの。SNSに料理写真をアップして第三者から「いいね!」されるよりも、目の前の家族からの「おいしい!」という評価の方が何倍もうれしいのに。

 

そして、「自分はちゃんとできていない」という呪縛。「料理が楽しい」と思うときもあるけれど、毎日毎回料理と向き合っていると、料理自体がストレスになるのも致し方ない。何もかも嫌になるときは、誰にだってあるというのに。

 

そんな数々の呪縛にがんじがらめにされて「料理が苦痛だ!」と感じることは、決して間違っていない。そう本多氏は強く述べてくれている。

 

 

料理が苦痛になったら、一度料理をやめてみる!?

さて、いよいよ「料理が苦痛だ」と感じてしまった人に向けて、本多氏はこうアドバイスしている。「一度料理をやめてみよう」と。

 

いやいやいや、それはさすがに無理でしょ! と思ったのは私だけではないはずだ。しかしながら、料理をやめるためのステップを順に確認していくと、なるほどと思えるアイデアばかり。

 

なかでもすぐに実践したいと思ったのが、料理をやめるための準備のひとつ、「自分の”理想”と家族の”期待”を知る勇気」というものだ。もしかしたら、今感じている苦痛は、勝手に自分自身が作り出しているものかもしれない。その確認作業をしてみようというもの。

 

・食材で好きなもの、嫌いなもの

・家ご飯のメニューで好きなメニュー、嫌いなメニュー

・食べたことないけどリクエストしたいメニュー

・ご飯スケジュール(家のご飯や弁当が必要な日に○、いらない日に✕)

・言っておきたいこと

 

家族一人ひとりから、上記の「家ご飯カルテ」に書き込んでもらう。すると、自分が「作りたい・作らねばならないと思っていた」料理と、家族が「食べたい」と思っている料理が一致しているのか、はたまたすれ違っていたのかがハッキリするのだ。

 

もしかしたら、「週一でカレーがいい」という回答により、毎日違うメニューにしなくちゃと義務のように感じていたことから解放されるかもしれない。お弁当は彩り良く! と力を入れていたけれど、「茶色系のおかずが好き」ということがわかって肩の荷が下りるかもしれない。

 

 

「苦痛」と向き合うことで、あなたにも家族にも笑顔が増える

本書では、上記アンケートをとった後、食材をデトックスし、料理しない間の対応策を考え、実際に料理を一定期間(最低でも5日)やめてみることを推奨している。そして、やめている期間にすべきこと、再び料理を始めるときのポイントをわかりやすく解説してくれている。また、「これなら作れるレシピ集」も。とにかく、「料理が苦痛」だと感じているすべての主婦(主夫)を肯定し、全力でサポートしてくれているので、大変心強い。

 

たとえ、本当に「料理をやめる」決心がつかなかったとしても、「苦痛」の正体に向き合い、家族と向き合うことで、きっと何かしらのストレスは軽減するだろう。

 

料理教室のオーナーによる衝撃の告白本『料理が苦痛だ』は、家族の笑顔の源となるアイデアレシピとメソッドが満載の一冊だ。

 

【書籍紹介】

料理が苦痛だ

著者: 本多理恵子
発行:自由国民社

「ちゃんとした料理」を「作り続ける」ことに疲れてしまったすべての人に。鎌倉で人気「作らない料理教室」主宰のカフェオーナーが教える、「作り続ける料理」からの脱出法。毎日作ることに疲れたすべての人を救う一冊。

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