“第二の脳”という言葉で形容されることが多い腸。その役割は、消化した食べ物を流す管というだけでは決してない。腸神経系という独自の神経系の働きを基に、脳からの司令がなくても自ら活動できる。言ってみれば、自分で考えて動くことができる臓器なのだ。今回紹介したいのは、その腸の働きを活性化し、かつダイエットにつなげていこうという一冊だ。
腸内フローラ
オーストラリアの研究グループの検証によれば、腸内細菌によって体内のドーパミン(快楽物質)の50%、セロトニン(安心感を生む物質)の90%が生成されている。脳内物質として知られるドーパミンとセロトニンを生成する腸は、まさに第二の脳と呼ぶにふさわしい。
ドーパミンとセロトニンを生成するため、腸は人間のメンタル面にも大きな影響を及ぼすことになる。気分の高揚や安定にも直結する。という風に考えれば、腸の機能を整えておくことがメンタルケアにもつながる可能性はきわめて高いのではないだろうか。
“腸内フローラ”という言葉もよく聞く。人間の腸内に住む細菌の数は1000種類以上、絶対数は100兆個以上といわれている。腸の中でも回腸(小腸の終わりのあたり)から大腸にかけての部分では、多くの腸内細菌が種類ごとにまとまって腸壁に付着している。ちょうど多くの種類の植物が種類ごとに群生している花畑のような様子であることから、「腸内フローラ」という表現もある。
メンタル面にも影響を及ぼす腸の働き
浦和レッズのMFとして長年活躍した元日本代表サッカー選手、鈴木啓太氏は現在、腸内フローラ解析事業を立ち上げ、アスリートの支援を行っている。アスリートの腸内細菌の解析を通して、パフォーマンスレベルの向上や体調管理を行っていくというのが事業内容だ。まさに腸と脳をリンクさせ、気持ちという形のないものをポジティブな方向に持っていこうという試みにほかならない。
腸内フローラを整える働きがある食品として真っ先に挙げられるのがヨーグルトだ。食品会社も、腸内フローラとヨーグルトを紐づけることが多い。ならばヨーグルトは、第二の脳の働きを整える真の意味での“ブレインフード”と呼ぶことができるかもしれない。
それだけじゃない。「ヨーグルトファスティング」と呼ばれるダイエットの主役にもなる。ヨーグルトを主役にしたファスティング(断食)。どんなものなのだろうか? ヨーグルトがもたらす効果について触れ、それをダイエットに転用していこうというのが、『4日間でやせる! ヨーグルトファスティング』(FYTTE編集部・編/学研プラス刊)だ。
全然キツくなさそうなダイエット
この本は、次のような文言で始まる。
ファスティング(断食)は短期で体重を減らせるダイエット法。でも、脂肪よりも筋肉の量が減りやすいって、知っていますか? 筋肉量が落ちてしまうと基礎代謝が下がり、太りやすい体になってしまいます。
『4日間でやせる! ヨーグルトファスティング』より引用
確かに、筋肉が落ちてしまったら、痩せたとしても体全体の機能は結果的に低下してしまう。必要な栄養は摂取していかなければいかない。そこでヨーグルトという話になる。
本書でお伝えする4日間の「ヨーグルトファスティング」は、筋肉量の低下を抑えて、脂肪を減らせることが、最新の研究で確認された方法。たんぱく質が多く含まれ、食べ応えのある「グリークヨーグルト」を食事や間食に置き換えて、4日間の短期集中でファスティングをします。
『4日間でやせる! ヨーグルトファスティング』より引用
年の割に食いしん坊の筆者も、グリークヨーグルトは大好きだ。腹もちがいいし、おいしくて、何よりヘルシーに感じられる。さらには、コンビニでもスーパーでも売っているから手に入れやすい。たった4日間ならトライしない手はないんじゃないだろうか。
まずは4日間
章立てを見てみよう。
PART1:筋肉量をキープして脂肪燃焼! リバウンドを防げるヨーグルトファスティングとは?
PART2:たった4日間で脂肪を落とせる! ヨーグルトファスティング実践法
PART3:トレーニング後に食べて筋肉作り グリークヨーグルトがボディメイクの味方になる!
PART4:料理にも活用できる! グリークヨーグルトの簡単レシピ
仕組みを知って実践し、体重が実際に落ちたところで、本格的なボディメイクに移行する。そのまま食べ続けるのは飽きちゃうかもしれないから、簡単なレシピでバリエーションをつける。無理なく実践できるプロセスを重視した流れだ。
楽しいダイエットっていうのも、あるのかもしれない
ネタバレになるといけないので、細部の紹介は控える。それに、この本の楽しさは細部を読み込んで自分なりにカスタマイズしていくことにあると感じている。ダイエットという行いは、辛いだけでは成立しない。何らかの“楽しみ”がなければ続かないに決まっている。
ヨーグルトファスティングを実践して、効果を実感した4人の人たちの体験談も紹介されている。年齢層は25歳から50歳。どのケースからも、“楽しさ”が感じられることを強調しておきたい。痩せる実感を得る楽しさ。気持ちが盛り上がって得られる、なんとなく楽しいという感覚。これはとても大切な要素に違いない。
グリークヨーグルトを食生活に加え、ダイエットに活かしていきながら、腸内環境を整える。腸内環境が健やかになれば、ドーパミンとセロトニンの生成も盛んになるだろう。そして無駄な脂肪も落ちていく。結果として、心身共に健やかで楽しい日々を得ることができるようになる。まずは4日間、トライしてみませんか?
【書籍紹介】
4日間で理想のカラダになる!ヨーグルトファスティング
著者:FYTTE編集部
発行:学研プラス
短期間で体重が落とせると人気のファスティング。ただし、通常の野菜ジュースのみで行なう方法では、体重が落ちても、筋肉量も落ちてしまうというデメリットも。そこで脂肪だけを落とせるたんぱく質の多いグリークヨーグルトを加えた最新ファスティングを紹介。
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