本・書籍
2019/4/29 11:30

世界記憶力グランドマスターに教わる、何歳からでも記憶力がアップするテクニック

記憶力が悪いから、人の顔と名前が覚えられない。

 

もう年だし、記憶力は年々低下する一方だ。

 

昔から暗記ができなくて、テストの成績が悪かった。記憶力のある人が羨ましい。

 

こんな悩みを抱えている人はいないだろうか。かく言う私も、人の顔と名前が覚えられなくて、特に新しい出会いが多い4月5月は毎年憂鬱である。それが先日、ものすごい人の存在を知った。

 

40代半ばで挑戦して、記憶力日本選手権大会で6年連続の日本一に輝き、さらに世界記憶力選手権で達人レベルの選手のみに与えられる「世界記憶力グランドマスター」の称号を得た、というのだ。

 

その人の名は、池田義博。数々のメディアにも登場し、世間を賑わせている。今回は、池田氏の著書『脳にまかせる勉強法』(ダイヤモンド社・刊)から、脳の力を最大化して記憶力をアップさせる秘訣をご紹介しよう。

 

 

カンガルー30頭の顔と名前を暗記する!?

池田氏の凄さを物語るパフォーマンスはいくつもある。たとえば、ランダムに並べたトランプをものの数分見ただけで覚えて、新品のトランプを同じ順番に並び替える…というもの。先日某バラエティ番組で披露していたのだが、結果は大成功。54枚のトランプの順番を一瞬ですべて覚えるなんて、まさに神業だ。

 

実は先日、縁あって池田氏に取材する機会があったのだが、その際に聞いた話も驚愕だった。

 

以前ある番組の企画で、カンガルー30頭の顔と名前を覚えたらしい。しかも30分で。人の顔と名前すら結びつかなくて四苦八苦している私にとって、みな同じに見えるカンガルーを一頭ずつ名前まで覚えるなど、完全に別次元の話だ。

 

池田氏によると、「脳はいつからでも鍛えることができる」のだそう。だからこそ、何歳からでも記憶力をアップさせられるし、それは特別な能力が必要なわけではなく、単純で簡単なテクニックにすぎないというのだ。

 

 

脳をだまして記憶力を上げる3つの方法

池田氏が教える記憶力アップの条件は3つ。

 

ひとつは、「意志」を示すこと。つまり、「覚えよう!」と強く意識することだ。~しながら覚えるのではなく、目の前の勉強だけに集中して「記憶スイッチ」をオンすることがとても大切。

 

ふたつめは、「回数」。脳は、何度も頭に入ってくる情報に対して「こんなに何度も訪ねてくるんだから、重要な情報に違いない!」と判断し、長く記憶に残してくれるという。つまり、いわゆる復習の回数が多いほど、記憶が確実に定着するということ。

 

最後に、「感情」である。「人の脳は感情が伴った情報を優先して記憶するようにできています」と池田氏。たとえば「想い出」は、体験したときの感情(喜怒哀楽)のインパクトが大きければ大きいほど、長く心の中に残る。これを勉強に取り入れるならば、何か覚えるものに対して気持ちが動くような情報を付け加えると効果的だという。歴史上の人物を覚えるとき、顔や名前が似ている芸能人を思い浮かべる、面白いゴロ合わせで年号を覚えることもそのひとつ。何か楽しいと感じるエッセンスを盛り込んで覚えると良いのだそう。

 

「集中して、楽しみ、そして復習を繰り返す」

この基本を守りさえすれば、誰でも必ず記憶力を上げることができます。

(『脳にまかせる勉強法』より引用)

 

これら3つの条件をベースに記憶術を編み出し、繰り返し練習したからこそ、池田氏は見事日本一に輝いたのだ。

 

 

人の顔と名前を覚えることが苦手だった私が…

さて、今回の記憶術のポイントは勉強以外でも活かせるという点にある。そこで早速「人の顔と名前を覚える」ことに取り入れてみた。

 

ちょうど新年度になり、子どもの学校関係の集まりがあったので、まずは「今日挨拶する人の顔と名前を覚えるぞ!」と強い意志を持って臨んだ。

 

そして、お互いに挨拶をし終わったら、その後は必ず「○○さん」と名前を呼んでから、話しかけるようにした。名前を呼ぶ回数を増やして、意識的に復習をしたというわけ。

 

さらに、相手が「麻生さん」だったら「麻生太郎の姪っ子かも。全然似てないけど!」などと勝手に頭の中でストーリーを作り、クスッと笑えるような感情に紐づけて名前をインプットしてみた。

 

結果、これまでだったら、別れてすぐに「あの人の名前なんだっけ…」と思い出せなかった私が、我ながら驚くほどスルスルと、出会った人全員の顔と名前が頭に入ったのだ!

 

これで、毎春の悩みがひとつ減った。

 

 

他にもあるある、記憶術グランドマスターのヒミツ技

この他にも、池田氏による記憶力向上テクニックは多々ある。

 

できるだけ多くの感覚(視覚・聴覚・嗅覚・体感覚など)を組み合わせたほうが覚えやすくなること。集中力を最大限に発揮するため、15分の勉強時間と5分の休憩時間をセットにして勉強すること。テスト本番はどうしても緊張してしまい心拍数が上がるので、踏み台昇降をしてから勉強を始めるなど、普段から通常よりも心拍数が高い状態で勉強をスタートすることに脳を慣れさせておくこと。

 

また、記憶力&学習力をアップさせるための「3サイクル反復速習法」や「1分間ライティング」、「1分間マッピング」などの実践法も、『脳にまかせる勉強法』の中で余すことなく公開してくれている。

 

いずれも、すぐに取り掛かれるものばかり。暗記ものの学習に行き詰まっている学生さんや資格試験中の大人たち、そして私のように顔と名前を覚えることが苦手な人必読の一冊だ。

 

【書籍紹介】

脳にまかせる勉強法

著者:池田義博
発行:ダイヤモンド社

記憶力日本一、世界グランドマスターが教える最速で覚えられる勉強法。3回読むだけの「3サイクル反復速習法」や記憶の確認と強化を同時に行う「1分間ライティング」、脳の自動編集機能を使った「1分間マッピング」など、記憶競技で生みだした技術を完全に体系化。入試、資格、英語、ビジネスに使える。

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