本・書籍
2019/5/10 21:45

仏・マクロン大統領夫妻から考える、超年の差婚のメリットとは?

平成から令和へと改元された2019年5月1日、令和元年元旦という佳き日の入籍が相次ぎました。ニュースでは60歳男性と83歳女性という23歳の超年の差婚夫婦の姿も報道されていました。

 

女性のほうが年上の超年の差婚といえば、フランスのマクロン大統領の奥様も24歳年上です。なぜふたまわり上の女性を選ぶ男性がいるのか、彼についてのルポを読むと見えてくるものがありました。

 

 

大のおばあちゃん子だった!

私の周囲には超年上の女性を好む男性が何人もいます。彼らに多いのは、若くして母親と離別するなどの母親的存在の欠如。母親と同居していたとしても、シングルマザーやハードな仕事で忙しくあまりかまってもらえない場合、超年上の女性を求めがちです。母親への思慕が恋愛感情になっているような感じを受ける人が結構いるのです。

 

マクロンさんはどうかというと、ご両親は健在でした。けれど『エマニュエル・マクロン フランス大統領に上り詰めた完璧な青年』(アンヌ・フルダ・著、加藤かおり・訳/プレジデント社・刊)によると、幼いころから、自宅にいるより近所に住むおばあちゃんの家にいることが多かったそうです。大のおばあちゃん子だった彼は、そのぶん、母親と関わる時間は少なかったのかもしれません。

 

 

知的な理由で年上女性を求めている

この本は、マクロンさんと24歳年上の奥様との出会いから結婚までを、本の20%を費やして述べていて、とても読み応えがあります。読むと、彼が15歳の時に出会った39歳の高校教師(現在の妻)の存在がどれだけかけがえのないものだったのかよくわかるのです。マクロンさんは、知的な祖母から文学などの教養を叩き込まれたこともあり、博学で、周囲も一目置く非常に賢い子どもでした。同い年の生徒と話が合わなかった彼が、知的で文学にも造詣が深い高校の演劇部顧問の女教師と恋に落ちたのは必然だったのかもしれません。

 

超年上の女性を恋愛や結婚の相手に選ぶ男性のことを「甘えたがり」だと決めつける人がいますが、決してそうではないのは、マクロンさんの事例を見ると明らかです。彼女もマクロンさんが若くてイケメンだったからではなく、たぐいまれなる知性を感じたからこそ、夫や子どもがいる身でありながらこの関係にのめりこんだのでした。年の差カップルの場合は、体よりも精神性が優先されることが多々あるのです。

 

 

アドバイザーを必要としている

マクロンさんは最初、両親から彼女との交際を禁じられましたが、15年もの交際を経て、見事に愛を実らせました。そこまでした理由のひとつは彼女のアドバイス力を必要としていたことでした。結婚し、大統領となった今でも、彼女はマクロンさんの演説をしっかりチェックし、2人で反省会もしているとのことです。このように、年下の男性は、年上の女性に社会人としての助言をも求めていることが多いのです。

 

以前、タレント・亀梨和也さんと女優・小泉今日子さんの交際が話題になったことがありました。当時2人は20歳と40歳で、超年の差の関係が話題にもなりましたが、あれも、かつてはアイドルだった小泉さんに、現役アイドルだった亀梨さんが助言を求めた部分もあったのではないでしょうか。広い視野からものを言うことができる年上女性は、大きな野心を持つ年下男性にとって、とてもありがたい存在なのでしょう。

 

 

自分の子どもよりも社会のために

私の周囲で超年上の女性を求める男性たちは、母性を補完したがっている部分も大きいですが、やはり「自分と同じように寂しい思いをする子がいないような社会にしたい」などという大きな目標を持っている人が多いようです。そしてそんな夢を理解し、寄り添うことができるパートナーとして、年上の女性を欲しています。年上の女性は彼らの母親であり恋人でありアドバイザーでもあるマルチな存在なのです。

 

年上の女性は、子どもを産める年齢ではない場合もありますが、彼らはそれでも構わないと言います。実際マクロンさんにもお子さんはいません。彼の母親が子どもを持てないかもしれないと指摘したと書かれていますが、彼はそれも意に介さなかったのです。それは、自分と彼女ふたりきりという小さな世界ではなく、社会を変えるという大きな視点でものを捉えているからなのでしょう。

 

 

【書籍紹介】

エマニュエル・マクロン フランス大統領に上り詰めた完璧な青年

著者: アン・フルダ(著)、 加藤かおり(訳)
発行:プレジデント社

39歳にしてフランス大統領に就任したエマニュエル・マクロン。生まれながらにして聡明。16歳の時に知り合った高校教師(ブリジット)との出会いから結婚に至るまでの秘話。パリの名門校(アンリ4世校)、パリ政治学院、超エリート校である国立行政学院(ENA)を経て、官僚に。サルコジ大統領のキャビネットに入り、その後、欧州の名門投資銀行「ロスチャイルド」に入行。オランド大統領の下では、経済・産業・デジタル大臣を務め、大統領選に当選。華麗な経歴、人生に大きな影響を与えた祖母の存在など、ジャーナリスト、アンヌ・フルダによる渾身のルポルタージュ。

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