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料理
2019/12/20 21:45

「手抜き」こそ美徳! マンネリ万歳! 誰もが料理が好きとは思うなよ!!――『ようこそ「料理が苦痛」な人の料理教室へ』

2019年、私の記憶に強く残ったのが、職場でヒールの靴を強要されるのはイヤだ、という「#KuToo」運動です。セクハラにNOと言う「#MeToo」の姉妹版として付けられたであろうこのハッシュタグは、やがて職場のルール変更にまで発展しました。いやなものをいやだと言える社会が始まっていると感じます。

 

家事や子育てが苦手な人もいる

子育てにも同じことが言えます。お母さんは子どもを「可愛い」と思って当たり前であり、家族のために愛情料理を作ってこそだという社会的妄想が長いことありました。私は以前、母親たちが集う会で「子どもと一緒に遊ぶことが苦痛です」と発言したことがあります。抱えている仕事が気になり、童心に戻って無邪気に遊ぶことができないと。

 

叱られるの覚悟の発言でしたが、意外なことに「私も苦手です」「私もです」という声が続きました。皆、お母さんは子どもと楽しく遊んで当たり前という社会の圧力に苦しんでいたのでした。同様のことは料理にも言えるのです。なぜか母親というものは料理上手で早起きして家族のお弁当を作って当たり前なのです。その陰には大変な努力や苦労があるはずなのにそこは無視されがちです。

 

 

料理を作るのがしんどい人たち

ようこそ「料理が苦痛」な人の料理教室へ』(本多理恵子・著/KADOKAWA・刊)は、料理が苦手で苦痛を感じている人のために料理教室を開いている本多理恵子さんが書かれた本です。料理が苦手な人はそもそも料理教室に来ないのではと思うかもしれませんが、なんと彼女の料理教室は、生徒さんたちは料理を作りません。先生が料理を作っているのを眺め、それを美味しくいただいて帰るだけなのです。

 

先日その教室がテレビで取り上げられているのを見ました。集まった生徒さん達は「私も料理が苦手です」という体験談をお互いに共有しあっていました。その時の顔は、なんとも言えないほっとしたもので、彼女達がとても癒されているのを感じました。彼女たちは「家族のために喜んで美味しいご飯を作るのが当たり前」の世界の中で長いこと過ごし、違和感をひとりでずっと感じてきたのでしょう。

 

 

好きなものは好きと言える社会に

この本には、料理が苦手な女性でも手軽に試せる、火を使わなくてもできるレシピや、たった90秒で完成するレシピなどが紹介されています。面倒なことを少しでも減らし、ラクをしてもらいたいといういたわりが随所に感じられます。普段の頑張りを認めてもらえない女性は特に、この本を読むだけでかなりの癒しを得られるのではないでしょうか。

 

そしてこの本では、手抜きを美徳としています。これは本当に素晴らしいことです。社会が声高に時短と叫んでいるなか、なぜか母親が作る料理だけは手間暇かけることをよしとされ、そのことに苦しむ人は多かったのです。料理を作る人がラクができる料理、これこそが理想だと考え「90秒チャーハン」などの技を伝授してくれるこの本は、多くの女性を料理の呪縛から解放してくれることでしょう。

 

 

【書籍紹介】

 

ようこそ「料理が苦痛」な人の料理教室へ

著者:本多理恵子
発行:KADOKAWA

しんどい料理から今すぐ自由になる!「無理をしない」、「堂々とマンネリを続ける」、「地味で結構」という考えのもと、延べ1万2000人の料理が苦痛な人を救った、料理教室の考え方と解決レシピ。

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