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2020/4/21 21:45

佐野元春ファンが選ぶ、それぞれの「35曲」——『アンジェリーナに恋した私たち』

僕の人生を大きく変えた人物は、佐野元春だ。中学2年生のとき、友だちの家で初めて聴いた「SOMEDAY」。身体の芯から震えたのを、今でも覚えている。

 

音楽なんて、テレビやラジオから流れてくる歌謡曲しか知らなかったけれど、僕は「SOMEDAY」を聴いて「ロックだ! ロックンロールだ!」と思い、むさぼるように音楽を聴くようになった。

 

デビュー35周年の企画をまとめた1冊

アンジェリーナに恋した私たち』(坂口 誠・編集/BCCKS Distribution・刊)は、2015年の佐野元春レコードデビュー35周年を記念して開催された、ファンイベントをまとめたもの。そのイベントとは、ファンが佐野元春のデビューアルバムから2015年発売のアルバム「BLOOD MOON」までの楽曲から、35曲を選ぶというもの。この書籍では、そのなかから7人のものが掲載されている。

 

7人といえども、一人35曲もあるのでボリュームはかなりもので、読み応え十分。ファンがどれだけ佐野元春の曲に勇気づけられたり、悩みを吹き飛ばされたり、過去の自分を受け入れることができたりしたのか、手に取るようにわかる。

 

「SOMDEDAY」はもちろん、「アンジェリーナ」「ガラスのジェネレーション」「ダウンタウンボーイ」といった初期の名曲はもちろん、当時の最新アルバムの曲まで、まんべんなく選ばれているところから、佐野元春が常に現在進行形のミュージシャンであることがうかがえる。

 

 

僕の佐野元春BEST 5

僕も35曲選んでここに書き残しておきたいところだが、それはさすがに読んでもらえないと思うので、僕の“今日の”佐野元春BEST 5を挙げておく(好きな曲がありすぎてランキングなんてつけられないのが正直なところ)。興味があったらぜひ聴いていただきたい。

 

5位 君がいなくちゃ

佐野元春が高校時代、16歳のときに書いた曲。当時高校の学生寮で大流行し、それを香川県に転校した学生が広めたことで、香川県ではちょっとしたブームになったとのこと。とても素朴でチャーミングなラブソング。思わず口ずさんでしまうメロディラインが秀逸。

 

4位 レイナ

歌詞の内容が、子どものいる女性に向けたもの。いつもがんばっているけれど、少し休もうよ、お茶でもどう? という感じ。僕はシングルマザーに向けた曲なのかと思っていたが、『アンジェリーナに恋した私たち』のなかに「主婦への応援ソング」という解釈があって、なるほどと思った。

 

3位 COME SHINING

佐野元春がニューヨーク滞在後、1984年に発表した衝撃のアルバム「VISITORS」収録の曲。日本におけるラップ/ヒップホップの黎明期の曲であり、強烈なインパクトがあった。テレビの5分間番組のテーマソングだった

 

2位 STRANGE DAYS

シングルレコードが発売されたとき、発売日に買ってレコードが文字通り擦り切れるまで聴いた思い出の曲。イントロのアコースティックギターのストロークから、サビのリフレインまですべてがかっこいい。

 

1位 SOMEDAY

これはいついかなるときでも僕の人生No.1の曲。この曲を聴いていなかったら僕はここにいなかった。正直、1位以外は毎日の気分でランキングは変わるが、この曲だけは不動の1位。

 

本書は、僕のように佐野元春によって人生が変わった人はもちろん、まだ佐野元春を聴いたことがない(ダウンタウンにたまにいじられているおじさんミュージシャンとしか思っていない)人には、よいガイドになるのではないだろうか。ぜひ本書を読んで、曲を聴いてみてほしい。

 

もしかしたら、人生のちょっとしたヒントが得られるかもしれないから。

 

【書籍紹介】

アンジェリーナに恋した私たち

著者:阪口 誠(編)
発行:BCCKS Distribution

2015年、佐野元春レコードデビュー35周年を祝して、それぞれが選ぶ35曲選集。2015年12月中旬から2016年3月までに寄せられた7名分のツイートのまとめ集。

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