TPO(時間と場所と場合)にふさわしい言葉づかいを知らないと世間ではバカにされる。たとえガラが悪そうでも、モノの言い方さえしっかりしていればむやみやたらと毛嫌いされることはない。
モノの言い方を学ぶだけでコミュニケーション能力が向上する。インターネットやスマホで調べれば答えを見つけられる時代だが、コミュニケーションには瞬発力が求められる。TPOに応じたフレーズを事前に知っておいたほうがいい。
便利に使えるフレーズをまとめた「モノの言い方ひとつで好感度をグ~ンと上げる本」(杉本祐子・著/主婦の友社・刊)を紹介しよう。
相手のミスを指摘するとき
良かれと思って指摘したのに「恥をかかされた」「ばかにされた」と相手が受け止めてしまうことがある。モノの言い方をまちがえると、親切心が仇(あだ)となる。
NG「報連相はきちんとしないと困りますね」
OK「せっかくいい仕事をしているんだから、きちんと報告しないともったいないよ」相手のよいところを評価したうえで、つけ足すように注意を促すテクニック。「行動力があるのはいいけど、節目節目で相談することも必要だよね」などと応用して使いましょう。
(「モノの言い方ひとつで好感度をグ~ンと上げる本」から引用)
たとえば、上司や先輩、同僚がミスに気づいていないとき。ミスをすぐには指摘せず、相手の「度量」をはかるべきだ。逆恨みしそうなやつのミスに気がついたときには、なるべく関わらないほうが無難だ。
後輩のミスについては、たとえ逆恨みしそうなやつでも「一度だけ」は指摘する。ミスを指摘したときの「態度」を見て、今後も気にかけるかどうかを決める。
貸したものを返してほしいとき
NG「前にお貸しした○○を返してほしいのですが」
OK「前にお貸ししたスーツケースは役立っていますか? 私も来月旅行に行くのですが」「返してほしい」とストレートに言わなくても、「役立っていますか?」で相手はピンとくるはず。もしまだ使うなら返却は急がないという気持ちも込められるフレーズです。
(「モノの言い方ひとつで好感度をグ~ンと上げる本」から引用)
友人にお金を貸さない主義の人でも、モノ(本やCD、DVDなど)ならば貸してしまうことがある。本ならば千円程度、CDやDVDならば数千円程度なので、借りた人間の責任感は小さい。たとえ壊したり失くしたりしても、すぐに弁償できる金額だからだ。
貸したほうの人間にとっては、相手が自分から返しにきてくれるのがベストだ。もしもこちらから催促したときに「つぎの休日に返そうと思っていた」と言われたら気まずい。ケチな人間だと思われたくない。相手を不快にせず、こちらが気まずい思いをせずにすむような、さりげないモノの言い方を心がけたい。
ほめられたとき
NG「○○さんも、お上手ですね」
OK「そのコート、似合うね」「センスのいい○○さんにそう言われると格別にうれしいです」ほかの人にほめられたのならさほどでもないが、自分がよいと思っている人にほめられたらことのほかうれしい、という論理。特別扱いすることで、相手もいい気分になります。
(「モノの言い方ひとつで好感度をグ~ンと上げる本」から引用)
特に気をつけなければいけないのは、仕事で「良い結果が出せた」ときだ。うれしさのあまり気持ちが浮かれてしまう。うぬぼれそうになる。だが、他人の幸せを心から喜んでくれる人は多くないものだ。たとえ周りの人からほめられたとしても油断してはいけない。
お世辞や社交辞令の可能性をけっして忘れてはならない。うわべだけかもしれない賛辞に対して「自分らしい仕事ができました」とか「全力を出しきることができました」などという浮わついた返答をしないように気をつけたほうがいい。(文:忌川タツヤ)
【参考文献】
モノの言い方ひとつで好感度をグ~ンと上げる本
著者:杉本祐子
出版社:主婦の友社
社会に出て困るのが言葉づかい。職場の上司に対して、来客に対して、同僚に対して、電話の応対など、入社した瞬間から、きちんとできるかどうか、第三者の厳しいチェックが始まります。逆に、言葉づかいがきちんとしていれば、それだけで好感を持ってもらえ、ビジネスを進めるうえで優位に立てます。たとえば、「上司に呼ばれたときに、「何ですかぁ」というのではなく、「お呼びでしょうか」というと、上司は「ムムッ、こいつ、ヤルナ」と思ってくれるものです。71のシーンをとり上げ、見やすいレイアウトでご紹介します。X例も添えてあるので、なぜ悪いかがすぐ理解できます。