本・書籍
自己啓発
2020/8/18 21:45

対面での会話が減った今、見直される「話すチカラ」。あなたには備わっていますか?

たまに、「えっもう読み終わっちゃった!?」と驚くようなスピードでのめり込んで読んでしまうことがあるのですが、先日読んだ『話すチカラ』(齋藤 孝、安住 紳一郎 ・著/ダイヤモンド社・刊)がまさにそれでした。

 

この『話すチカラ』は、明治大学の先生である齋藤 孝さんと、教え子だったTBSアナウンサー安住紳一郎さんの対談で構成され、明治大学で実際に行われた講義の様子も掲載されています。この本は、まるで会話を聞いているようなテンポで読み進めることができ、若い方はもちろん「仕事はリアルが大事なんだ」と思っているようなTHE日本のビジネスマンまで、多くの方が共感できるポイントが書かれてありました。今回は『話すチカラ』から、リモートワークでも欠かすことのできない会話のスキルについてお伝えしていきます!

 

画面越しでも「ちゃんと伝える」ことは大切

リモートでの仕事が増えましたよね。私もZoomを使った取材や会議の機会が増え、移動時間がなくなり、資料の共有も楽になり、たくさんの恩恵を受けているのですが、話を「ちゃんと伝える」というのは、Zoomだろうが対面だろうが変わらずに大切なことだと実感するようにもなりました。また画面越しだと、顔が見えない人がいたり、全体の雰囲気も感じにくくなるため、もしかしたら対面以上に「伝え方」は気をつかわなければいけない状況かもしれませんね。

 

では、わかりやすく伝えるために必要なスキルとは一体どんなことなのでしょうか? 安住さんは冒頭でこんなことを語っています。

 

人の集中力は15秒も持たない。このルールから、15秒をすぎて同じ話を続けてはいけないことがわかります。

私が放送で30秒の時間を与えられたときには、15秒が2セットあると考えて話題を展開します。

 (『話すチカラ』より引用)

 

また45秒であれば「序破急」の3分割で、60秒なら「起承転結」の4分割で組み立てて話していると言います。

 

画面越しだからしっかり伝えなきゃ! と熱がこもってしまい熱く長く語りすぎてしまいがちな人は、15秒を意識してみるとすんなり伝わるかもしれません。自分が話している「時間」を意識しない人がほとんどだと思うので、近くにタイマーをおいてみて、初めましての挨拶や自社の説明を何秒で説明しているか測ってみるのがおすすめですよ!

 

良いアウトプットのためには、他人の3倍インプットする

好きな男性アナウンサーランキングでは、殿堂入りを果たしている安住さん。今でこそテレビにラジオに大忙しですが、ここまでたどり着くまでに相当な努力をされています。なんと入社して最初にもらったボーナスで14型のブラウン管テレビを8台購入し、自分の部屋に置いたのだとか(笑)。

 

今は、たくさんのチャンネルを同時録画できるようになり、とても便利になりました。もう同時にたくさんのテレビを見ることはなくなりましたが、ああいうやりすぎな感じの20代の一時期があってよかったと思っています。

どんな業界でも、仕事でいいアプトプットをしたかったら、その3倍くらいのインプットをしておく必要があります。

 (『話すチカラ』より引用)

 

純粋に「すごいなー」と思ってしまうのですが、齋藤先生も大学時代「本棚を1年に1本ずつ増やす」という目標を立て、1年に300冊以上の本を読んだと言います。また、インプットした情報は自分のものだけにせず、誰かに喋ったり、SNSなどで発信するということも大切なんだとか。

 

「自粛だからインプットなんてできないよ〜」と何もしないで過ごすのではなく、こんな時期だからこそできるインプットもたくさんあると思います。『話すチカラ』では、これ以外にも簡単にできるインプット方法についても書かれてあるので、何をしたらいいかわからない! という方にも是非読んでいただきたいです。

 

会話のテンポに必要なのは「段どり」

一緒に話をしていて、テンポがいいな〜と感じる人がいますよね。私も安住さんのラジオをよく聞いているのですが、とにかく心地よく会話が入ってくるんです。齋藤先生も“テンポよく話を展開していくと、「段どりがいい」という印象につながります。”と、本書でも紹介していました。では、この「段どり」とは一体どんなことなのでしょうか?

 

実は、世の中の知識のほとんどは段どりでできています。

たとえば、歴史的な事象は「〇〇があって、××が起きることによって、第二次世界大戦へとつながった」というように段取りで説明できます。つまり、段どりを説明する能力があれば、ものごとを理解できるようになるのです。

もちろん社会科だけでなく、国語も数学も理科も、基本はすべて同じで、求められている能力は一緒です。

数学ができない人は、計算ができないというより、数字を解いていく段どりを説明できないということが大きな原因です。

 (『話すチカラ』より引用)

 

これは私自身も経験したことですが、自分が納得している企画をプレゼンする時と、「なんだかなー」と思いながらプレゼンした時では相手のリアクションは変わってくるんですよね(笑)。上手に相手に伝えられるかどうかは、話の段どりが組めているかの違いということ。ついつい「上手に話そう!」と思いがちですが、それ以前に伝えることの段どりが組めているかを意識するのが良いのかもしれません。

 

『話すチカラ』をあっという間に読めてしまったのも、この段どりがしっかり整った内容だったからのかもしれません。生きている限り、言葉は必要不可欠なもの。様々なチカラが大切になっている時代ですが、基礎である「話すチカラ」が備わっていれば、他のチカラも鍛えられるのではないか? と思いました。新入社員さんから、リモートに迷いながら仕事している管理職の方、学生さんから、主婦の方まで、人生の教科書として読んでもらいたい一冊です!

 

【書籍紹介】

話すチカラ

著者:齋藤 孝、安住 紳一郎  
発行:ダイヤモンド社

齋藤 孝先生と安住紳一郎TBSアナウンサーは、明治大学時代の先生と教え子という師弟関係。いまや日本屈指の話し手となったふたりが、「話すチカラ」について縦横無尽に語り尽くす。安住アナが後輩の現役明大生たちを前に白熱講義した内容も紹介!

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