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2020/9/2 21:45

心がカラカラに乾いているあなたにおすすめ! 文豪たちのラブレターを集めた『愛の手紙の決めゼリフ』

最近、キュンキュンしてますか??

 

もう恋愛話が大好きな私は、友人の恋愛トークを聞いたり、ド直球な恋愛ドラマを見たり、定期的に恋愛チャージしないと生きていけないのですが、最近チャージにちょうどよいものを見つけました。

 

それが文豪たちのラブレターを集めた『愛の手紙の決めゼリフ』(中川 越・著/海竜社・刊)です。「え〜昔の人の言葉なんて」と思う人も多いでしょうが、考えてみてください。今のように、新幹線や飛行機はなく、電話はそんなに普及していないし、もちろんLINEやZoomもない! 会いたくても会えない時にその思いを伝えるのは“手紙”だったわけです。そりゃもう、キュンキュンの宝庫に決まってます!(笑)

 

ということで、今回は「最近キュンキュンしてねーなぁ〜」と心がカラカラに渇いていても「秋の夜長に、ラブレターでも書こうかしら?」なんて思ってもらえるような文豪たちの愛の言葉をご紹介していきます。

 

 

芥川龍之介の手紙、最強! 受け取ったら毎日読みたくなるやつ!!

『愛の手紙の決めゼリフ』は、恋愛・夫婦愛・友愛・家族愛・師弟愛・別離と全6章で構成され、41の決めゼリフが紹介されています。その手紙がどういう背景で書かれたのか、また書いた人物はどんな生涯を送ったのかなどが丁寧に説明されながら、手紙の内容が紹介されています。

 

またベートヴェンやダーウィンなども登場するので、誰もが知っているあんな人やこんな人が「え! こんな手紙を書いていたの〜!」と楽しむこともできます。個人的に大好きなのは、芥川龍之介。彼は、生前かなりたくさんの手紙を書いていたことでも有名なのですが、妻・文さんへのプロポーズも手紙だったそう。

 

文ちゃん。

……僕のやっている商売は 今の日本で 一番金にならない商売です。その上僕自身も 碌に金はありません。ですから 生活の程度から云えば 何時までたっても知れたものです。それから 僕は からだも あたまもあまり上等に出来上っていません。(あたまの方は それでも まだ少しは自信があります。)うちには 父、母、伯母と、としよりが三人います。それでよければ来て下さい。僕には 文ちゃん自身の口から かざり気のない返事を聞きたいと思っています。繰返して書きますが、理由は一つしかありません。僕は 文ちゃんが好きです。それだけでよければ 来て下さい。(大正5年8月25日付)

 (『愛の手紙の決めゼリフ』より引用)

 

にゃ〜!!! こんなピュアな表現しちゃうの!? 『羅生門』を書いた人と同一人物だとは思えないくらいの明瞭さ!(笑)

 

しかも文さんには、「どちらが先に逝くことがあっても、お互いの手紙を棺の中にいれる約束をした」とも語っていたそうで、実際に先に逝ってしまった芥川龍之介の棺にはふたりの手紙を入れたそうです……! なんてロマンチックなんでしょうか。あぁ〜私も大正時代に生まれたかったなぁ。

 

こんなこと言われたらたまらんな! 帰省先での国木田独歩の手紙

『武蔵野』で有名な国木田独歩ですが、実は二度結婚をしています。最初の結婚は1年と持たず、離婚。この出来事については、有島武郎が『或る女』という小説にしているのでご存知の方も多いかも知れません。そんな波乱万丈な独歩ですが、今回紹介する手紙は、帰省中に二度目の妻へ宛てた手紙です。

 

酒一合でさしみ、おわん、かきの田楽やきの三品で飯を喰ったがウマクなかった、ごろりと寝ころんで見たが面白くも可笑しくもない、そこで紅茶を入れて二杯飲んで見たが、これも内(うち)で飲ましてもらう程うまくない、寝るには早い寝る前に一風呂はいる積りだが其もまだ早い、それで此手紙を書きだした。(明治38年4月24日付)

 (『愛の手紙の決めゼリフ』より引用)

 

もちろんこの後にも手紙は続くわけですが、手紙の結びは、「何だか悲しいような気がして来た」となっているそうです。「も〜寂しいって最初から言えばいいじゃない!」と突っ込みたくなるこの感じもたまりません(笑)。

 

プライベートな手紙に対して、芥川龍之介と比べるのも失礼な話ですが、超ひねくれていて、素直じゃないところも愛おしく感じてしまいますよね。どちらがタイプか? と言われると、私は独歩かもなーなんて思ってしまいました。

 

プライベートも寅さんだった? 渥美清が母に宛てた手紙

最後にご紹介するのは昭和の大スター渥美 清さん。映画『男はつらいよ』シリーズの寅さん役の人と言えば若い方でもわかるでしょう。

 

彼は役者さんですが、『愛の手紙の決めゼリフ』に掲載されていた手紙が「もう、寅さんそのままじゃん!」と思ったので紹介させて下さい。これは永 六輔さんの証言によるものだそうですが、渥美 清さんは映画で訪れたロケ地からいつも母親に同じ文章を書いた絵はがきを送っていたそうです。その文章がこちら。

 

お袋 俺 元気

 (『愛の手紙の決めゼリフ』より引用)

 

気軽に電話やLINEができる時代ではないので、この一言だけでもお母さんはうれしかっただろうな〜としみじみ感じてしまう一文ですよね。いつの間にか息子は人気俳優になり、なかなか顔を見ることもできないまま、テレビで活躍を見守るばかり。そんな時にこんな手紙が届いたらもうれしくてたまらなくなりますよね。愛が詰まっているわ〜と感じます。

 

『愛の手紙の決めゼリフ』には、夏目漱石や太宰治、与謝野晶子に野口英世の母親までたくさんの人の手紙を読むことができます。恋愛の手紙はもちろん、家族や友人への愛がこもった手紙も読めるので、幅広いラブレターで心を潤してもらって、あなたも愛するひとへこんな時期だからこそ手紙を書いてみるのはいかがでしょうか。便利な世の中にはなりましたが、手紙のあたたかさ、文章の優しさは忘れたくないなーと感じます。

 

【書籍紹介】

愛の手紙の決めゼリフ

著者:中川 越
発行:海竜社

心を動かす愛の言葉。あったかくて奥深い41のラブレター!

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