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2020/10/22 21:45

元・歴史教師が解説する、日本のしくじり史には「なるほど」がいっぱい!

最近のテレビ番組では、成功者の話よりも「失敗話」のほうが取り上げられていますよね。どうやってどん底から這い上がったのか、絶好調だった人がどうして転落してしまったのか、そんな話のほうが「頑張るぞ!」と思えるような時代になったのだな〜としみじみしてしまいます。

 

けれど、できることなら「失敗」はしたくない!(笑)そんなとき、強い味方になってくれるのが日本史です。「昔と今じゃ時代が違うから参考にならないよ〜」と思う方もいるでしょう。ところが『面白く読めてビジネスにも効く 日本のしくじり史』(大中 尚一・著/総合法令出版・刊)を読むと今に通じるところばかりだと気がつきました。今回は、歴史上の人物に学ぶ「しくじり史」をご紹介します。

 

大河ドラマでも話題の明智光秀、「本能寺の変」は無計画に行われた?

NHK大河ドラマ『麒麟がくる』で話題の明智光秀。放映が決まった際には、「やっと光秀が主役の大河だぁ!」と歓喜の声が聞こえてきましたよね。そんな明智光秀と言えば、1582年6月2日「本能寺の変」で、織田信長を討った人としての印象が強いのではないでしょうか? しかしこの「本能寺の変」、あの織田信長を討つというのに、計画的に行われたものではなかったというのです。

 

誰もが知る大事件。光秀はさぞかし用意周到に計画したのだろうと思われていますが、実際はそうではありませんでした。のちの動きを見ると、本能寺の変は突発的に誰にも根回しせずに行われたことがわかります。よって、慌てていろいろな手を打たなければならなかった、というのが実状ではなかったかと思います。

 (『面白く読めてビジネスにも効く 日本のしくじり史』より引用)

 

その突発さゆえに、明智光秀は「本能寺の変」から11日後に自害し「三日天下」と呼ばれてしまいます。この背景には、しっかり根回しできなかったことで、味方が少なかった……ということもあるのではないでしょうか?

 

夏ドラマで大ヒットだった『半沢直樹』のように、用意周到に倍返しの準備ができていたら明智光秀の人生も違っていただろうなーなんて感じてしまいました。大河ドラマではどのように描かれるのか、史実と合わせてチェックしたいところですね!

 

正直に言っていれば歴史は変わった? 大本営の虚偽発表

最近は、正確な情報を伝えるはずのメディアが、虚偽な情報を伝えネットで炎上! なんてこともあり、「メディアの情報って、どこまで正確なの?」と疑っている人が多くなっています。実はこの構図、今に始まったことではないのです。太平洋戦争中にもこんなことが行われていました。

 

真珠湾攻撃の翌年五月、アメリカ・オーストラリア連合軍との「珊瑚海海戦」では、お互いに空母を沈め合うなど、一見互角の戦いを見せます。しかし日本軍は戦略目的を達成できず実質敗北しました。それにも関わらず大本営発表では戦果をごまかし、圧勝したと発表。新聞もこれに追随し、真珠湾攻撃以来の戦果と書き立てました。この偽の戦果を聞いた国民は、久しぶりの海戦の勝利に酔いしれます。

 (『面白く読めてビジネスにも効く 日本のしくじり史』より引用)

 

この大本営は、日清戦争から太平洋戦争の戦時中に設置された機関で、日本軍の最高司令部なんだとか。最高司令部だから「国民を混乱させないように……」と思って虚偽の情報を伝えたのかもしれませんが、ちょっとした伝え方の違いが大きなズレに発展してしまうこともたくさんありますよね。

 

「正確な情報」と「安心できる情報」は違います。でも私たちはついつい「安心できる情報」を求めてしまいがち。時代は変わっても、こういう歴史を知ると人間の根本ってあんまり変わっていないんだな……なんて思ってしまいますね。正確な情報を冷静に見れる目を養いたいものです!

 

歴史を知ると、「今」が見えてくる?

今回2つの「しくじり史」をピックアップしてみましたが、『面白く読めてビジネスにも効く 日本のしくじり史』には、飛鳥時代から昭和まで50以上の話が一話完結で紹介されています。著者で経営コンサルタントの大中尚一さんは、歴史教師として7年勤務した経験がある方。「はじめに」でもこのように書いています。

 

歴史は、どんな自己啓発書よりも、成功するため・失敗を防ぐための最高の教科書となってくれるはずです。

 (『面白く読めてビジネスにも効く 日本のしくじり史』より引用)

 

私も読んでみて同じように感じました。歴史だから難しいとどこかで決めつけてしまっていましたが、何も変わらない人間の話だ! と35歳にして気がついたのです(笑)。

 

もし、これを高校生の時に読んでいたら、もっと日本史を楽しく感じられたと思うし、年号を暗記するような勉強方法ではなく物語として楽しめたと感じます。好きな時代から読んだり、知らなかった偉人の話を読んだり、いろんな楽しみ方ができる一冊です。騙されたと思って、気になる時代から手にとって読んでみてくださいね!

 

【書籍紹介】

面白く読めてビジネスにも効く 日本のしくじり史

著者:大中尚一
発行:総合法令出版

社会構造が大きく変化している現代。先が見えないいまこそ、歴史を振り返ってみてはいかがでしょうか。歴史には、混迷の時代を生きるためのヒントが詰まっています。現代と同じ「時代の変わり目」である幕末や戦後、バブル崩壊の時期には、時代の流れについていけずに脱落した人々がたくさんいました。彼らの失敗を学ぶことで、同じ轍を踏まず、時代の変化を上手く乗り越えることができるのです。
本書では日本史上の「しくじり」事例を60個ピックアップし、失敗の経緯と現代に通じる教訓をわかりやすく解説します。

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