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2020/10/8 21:45

「トイレでシュークリームを食べているような」? 読んでいると匂ってくる気がする……『くさいはうまい』

食欲の秋ですね〜! 松茸やフルーツはいい香りがして美味しくて、鼻と口からたっぷりと秋を感じられます。スーパーに行っても「今年は贅沢できなかったから!」なんて自分に言い訳して、ちょっといいブドウを買ってみたり秋を楽しんでいる今日このごろです。

 

世の中には、「いい匂いでうまいもの」がいっぱいありますが、実は「くさいのにうまい」ものもいっぱいあるんです!

 

発酵学の第一人者である小泉武夫さんの食エッセイ『くさいはうまい』(小泉 武夫・著/KADOKAWA・刊)は、ページをめくるたびに「くさいっ!」と思ってしまうほど、驚くような食材が紹介されています。今回は、食欲の秋に読みたい『くさいはうまい』をご紹介します。

 

美味しくて体にもうれしい発酵食品とくっさい食品

『くさいはうまい』には、最近ブームとなっている甘酒などの発酵ドリンクや、漬物、ピクルス、チーズなどの私たちにも馴染み深い発酵食品から、山羊や虫、ドリアンといった強烈な臭みがあるうまい食べ物を、著者である小泉さんが実際に食べて、どんな味だったのか、そしてどんなニオイだったのかがこと細かに書かれてあります。

 

発酵食品については、どうして発酵するのかなど詳しい背景が書かれてあり、いつも使っている味噌やキムチ、お茶などについても詳しく知ることができるので、読んでいるだけでも楽しい一冊。

 

さらに、最新の文庫版ではノンフィクション作家である高野秀行さんとの対談も収録されており、ナイジェリアにある世界一臭い納豆「オギリ」の話や、「口噛み酒」という今ではアマゾンにいる一部の先住民だけが造っているお酒の話も掲載されています。この「口噛み酒」はその名の通り、潰したマッシュポテトのようなものを、大量に口の中に入れて、ベェ〜っと出して大鍋で発酵させるお酒のこと。考えただけでも「おえっ」となってしまうのですが、発酵するとヨーグルトドリンクのような味になるそうです……。

 

世界にはまだまだ知らないことがたくさんあるな〜と刺激されるのと同時に、読んでいるうちにニオイがしてくるような気がするのです(笑)。

 

「トイレでシュークリームを食べているようなフルーツ」とは?

トゲトゲしていて、「誰が最初に食べようって言ったのよ!」と言いたくなってしまうフルーツ、ドリアン。著者の小泉さんが、学生に食べさせたところ言われたのが「トイレでシュークリームを食べている感じ」という感想だったそう。わかる!!

 

私も新卒で入った会社の集会で「罰ゲームでドリアン食べよう!」みたいな企画を実施してしまい、借りた会場にめちゃくちゃ迷惑をかけた記憶があります。事前に「ドリアンを使ってもいいですか?」と聞いていたものの、私たちも会場の方も思っていた以上にニオイが充満してしまいました。改めてその節は申し訳ございませんでした! まだ食べたことがないという方のために、ドリアンがどんなものかお伝えしましょう。

 

目的の果肉の方は、とてもクリーミーで舌触りがよく、アイスクリームのようです。上品な甘みはありますが酸味はなく、熟しすぎたものは生クリームのような感じとなって、少し粘質さを増してきます。

 (『くさいはうまい』より引用)

 

これだけみるとめちゃくちゃ美味しそうに思いますよね? でも、強烈なうんちのニオイがするんです(笑)。小泉さんは、沖縄で食べたドリアンを学生たちにも食べさせようと果肉部分だけを袋に入れ、機内に持ち込み、帰宅したそうなのですが、なんと機内でその袋が破れてしまったそう。同乗していた方々辛かっただろうな〜(笑)。帰宅してからも奥さんと娘さんに「ちゃんとお風呂入っていたの!?」なんて叱られたそうです。

 

もしこれから、遊び心だけでドリアンを食べようと思っているのなら、食べる場所も考えてくださいね! お家で……なんて安易な気持ちで買ってしまったらドえらいことになりますよ!

 

好きな人は好きな、「くさや」

小泉さんが「食の世界遺産」があったら文句なく推薦するのがこの「くさや」なんだとか。

 

私も一度食べたことがあります。一瞬「あっ!」と美味しい時間が流れるのですが、焼いている時のニオイやふとした時に「くさっ!!」となるのが辛くて、結局それっきり食べていません。においが強烈で近所迷惑になってしまうと懸念して、なかなか自宅で焼いて食べるのが難しい時代になってしまいましたが、焼き方のポイントが紹介されていました。

 

火は必ず背面(皮のついている方)から入れることが鉄則で、遠火の強火が良いですが、焼き過ぎますとアッという間にパサパサになってしまうので注意してください。表面にうっすらと焼き色が付いたところで引っくり返して身の側に火を入れて、ほんの三◯秒ぐらいで仕上げます。熱いうちにむしって喰うのが一等賞の味。余って冷めたものは、細切りにしてお茶漬けでもうれしいですよ。

 (『くさいはうまい』より引用)

 

この「くさや」は、伊豆七島にある新島の400年以上続く名産なのですが、市場が縮小したことで衰退しているそうなのです。これだけ長い歴史がある食べ物なので、しっかり後世にも残してあげたい! とは思いつつ、「もう食べたくない……」と思っている私もいます(笑)。

 

これ以外にも『くさいはうまい』には、死んだアザラシの腹の中で鳥を発酵させた「キビャック」や、トルコでチーズの中から出てきた虫など想像しただけでもクラクラしてしまうような食べ物が紹介されています。食欲の秋にぜひ、『くさいはうまい』も読んで食を楽しみましょう!

 

【書籍紹介】

くさいはうまい

著者:小泉武夫
発行:KADOKAWA

納豆、熟鮓、ホンオ・フェ、キビャック、シュール・ストレンミング…この世界には、強烈なにおいを発する食べ物がある。未知なる発酵食品を求めて東奔西奔する著者が、くさい食べ物に、失神寸前になりながらも、かぶりつく。異国の激烈臭食品から身近な食べ物に至るまで、知られざる歴史と効能を明らかにし、抱腹絶倒の顛末記を収めた代表的エッセイ集。さらにノンフィクション作家・高野秀行との対談を新たに収録する。

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