半年前は、コロナ禍によって自宅勤務が増え「慣れないテレワーク」なんて言葉がニュースで飛び交っていましたが、すっかりコロナ以前の働き方に戻ってしまったという人も多いのではないでしょうか? 逆にテレワークでの働き方にマッチして、郊外に引越したり、出社しない生活スタイルに変わった人もいると思います。
働き方やライフスタイルについて考える機会が多かった2020年。来年以降は自分らしい働き方、生き方をしたいと考えている方にオススメの一冊『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』(堀内 都喜子・著/ポプラ社・刊)をご紹介します。
フィンランドでは、どうして午後4時に仕事が終わるの?
フィンランドは、幸福度が3年連続世界1位、有休消化100%、在宅勤務はコロナ前から3割以上が当たり前、夏休みは1か月以上取得するなど、日本で働いている人からすると「どうやったらそんなことができるの?」と思うことばかり。著者の堀内さんは、フィンランド・ユヴァスキュラ大学大学院で修士号を取得し、現在はフィンランド大使館で広報をされている方。
『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』には、フィンランド在住時の友人との会話や、企業の取り組みなどが細かに書かれてあるため「あぁ〜本当にフィンランドってこんな国なんだ」ということがよくわかる一冊でした。本のタイトルになっている「午後4時に仕事が終わる」理由は、以下のように紹介されています。
フィンランドでは、8時から働き始める人が多く、16時を過ぎるころから一人、また一人と帰っていき、16時半をすぎるともうほとんどの人はいなくなる。
(『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』より引用)
16時と聞くと「退社時間、はやっ!」と思ってしまいますが、しっかり8時間働いているんですよね。朝が早い背景には、北欧の白夜なども影響しているそうです。また法律で、1日8時間、週40時間以内の勤務時間は守りなさいと決められているのだとか。メディアなどで「フィンランドはすごい!」と断片的に取り上げられているので、「マネできないよ〜」と思ってしまうことがありますが、こうやって理由や背景を知ると、納得感を持って自分ごとに落とせるな〜と感じられました。
フィンランド流の「良い会議」とは?
さらに驚きなのが、有休消化100%で、夏休みも1か月取得しているフィンランドの一人当たりのGDPが日本の1.25倍ということっ! 人口が少ない国なので、輸出産業を高めないといけない背景もありますが、短い時間でしっかり成果を出せているのは国民性が影響しているかもしれませんね。
5年ほど前にフィンランドの有名企業さんが集まり、「良い会議」のための8つのルールが提案されたそうです。このルールは「とりあえず会議しようか」という日本企業とは真逆! オンライン・オフラインかかわらず、無駄な会議に悩んでいる方、必見です。
会議の前に:
1 会議の前に本当に必要な会議なのか、開催の是非を検討する。
2 もし必要なら、会議のタイプと、相応しい場所を考える。
3 出席者を絞る。
4 適切な準備をする。細かな準備が必要な時もあれば、そうでない時もある。議長は、参加者に事前に通知し、必要に応じて責任を割り当てる。
会議のはじめに:
5 会議のはじめに目標を確認。会議が終わった時にどんな結果が生まれるべきか。
6 会議の終了時間と議題、プロセスの確認。それがアイデア、ディスカッション、意思決定、コミュニケーションのどれであるかを参加者に知らせる。
会議中に:
7 会議の議論と決定に全員を巻き込む。一部が支配するのではなく、各自の多様性(外向的/内向的)を考慮に入れる。少人数、隣同士との議論を通じて意見を表明する機会なども作る。
会議の終わりに:
8 結果や、その役割分担をリストアップし明白にする。
(『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』より引用)
もちろんフィンランド全国民がこれに沿って会議をしているわけではないそうですが、これだけ目的を持った会議をできているかな? と胸に手を当ててみると、見えてくることがあるのではないでしょうか。8つのルールはどれもシンプルですが、しっかり結論に導ける手順なので、使えそうな方はぜひ実践してみてください。
私は現在フリーランスなので、会議に参加する機会がめっきり少なくなりましたが、サラリーマン時代を思い出してみると、開催の是非を検討してよ! という会議はたくさんありました。
無駄な会議が多く悩んでいる方は、このページに付箋を貼って上司の机に『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』を置いておくことをおすすめします!(笑)
フィンランド人のようになりたい……
サウナが好きで、仕事のオンオフがはっきりしていて、言うことはちゃんと言うフィンランド人。この本を読んでいると、あぁ私もフィンランド人のようになりたいと思ってしまいます。特にこのエピソードは、素敵だなぁ〜と思ってしまいました。
以前、私が知人を亡くし、落ち込んでいた時、一緒に泣くでもなく、慰めの言葉をたくさん並べるわけでもなかったが、「それが人生」と冷静にひとこと言い、泣いている私を放っておいてくれた。最初は冷たいなと思ったが、そう言ったのは彼女だけではなかった。フィンランドの友人がみんな冷静に受け止めて「残念ね、お悔やみ申し上げます」に続いて「それが人生」と言い、過度に感情を表すわけでもなく、変に励ますのでもないのが、不思議であり、最終的には心地よくもあった。
(『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』より引用)
「それが人生」ってめっちゃいい言葉!
日本で生きていると、共感することや同調することをどこかで強いられているように感じる時がありますが、「それが人生」の言葉で一歩歩み出せるようになりますよね。仕事で失敗したり、家族と喧嘩したり、自分が落ち込んでしまった時は心の中で「それが人生」と呟くようにしようと思いました。
これ以外にも、最近話題の「シス」の考え方や、仕事も人生も大切にするフィンランド流の生き方がさまざまな視点から紹介されています。来年以降の働き方を変えたいなと考えている方、ワークライフバランスを考え直したいという方、年末年始の読書のおともに『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』おすすめです!
【書籍紹介】
フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか
著者:堀内都喜子
発行:ポプラ社
ワークライフバランス世界1位! フィンランド流ゆとりのある生き方。フィンランド人は、仕事も、家庭も、趣味も、勉強も、なんにでも貪欲。でも、睡眠時間は平均7時間半以上。ヘルシンキは、ヨーロッパのシリコンバレーと呼ばれる一方で、2019年にワークライフバランス世界1位に。やりたいことはやる。でもゆとりのあるフィンランド流の働き方&生き方の秘訣を紐解きます。