よく「インドに行くと人生が変わるよ」という話を聞く。特に、日本での生活に生きづらさを感じている人ほど、そういう体験をするようだ。
『どんなに自己肯定感が低くても生きやすくなるすごいインド思考術』(あぬ・著/ANU WORKD出版・刊)は、「いい大学に入っていい会社に入ることがいい人生」と思っていた著者が、インドに行くことで人生観が変わったという内容の書だ。
著書は大学を卒業して就職をするが、ほんとうに自分がしたい仕事ではなかったため、悶々とした日々を過ごしていた。思い立ってインドへ旅行をし、最終的にはインドで就職。日本にいたころの価値観が変わり、インドでほんとうに人生が変わったのだ。
自己肯定感の高いインド人の3つの特徴
本書によれば、インド人は自己肯定感が強いという。ほとんどの人がスマホの待ち受け画面は自分の顔写真だし、自撮りが大好き。つまり「自分大好き」な人種なのだ。
まあ、そういうお国柄だからと言ってしまえばそれまでなのだが、なぜインド人はそんなに肯定感が高いのか、筆者は3つの特徴を挙げている。
ひとつめが「インド人は親バカ」ということ。とにかく自分の子どもが一番かわいくてしょうがなく、奧さん同士で子ども自慢合戦が繰り広げられることもしばしば。日本では「うちの子なんて…」と謙遜することが多いが、インドはその逆。このような環境だから、自然と子どもも「自分は素晴らしい」というマインドになるのだろう。
ふたつめが「大家族が多い」こと。家族が多いため、自然と家族の中で自分の役割が決まってくる。弟妹の面倒を見たり、家事を手伝ったりといった役割があり、それを全うすることで「自分は家族の間で役に立っている」という感覚が育ちやすいのだ。
最後が「家族愛の強さ」。家族が風邪を引けば仕事を休み、離れて暮らしていても毎日電話で話す。常に家族を愛し家族に愛されていると感じることが、絶対的な安心感になり、自己肯定感につながっているようだ。
「人を許す心」をインドで学んだ
筆者は「インドは許容する国」と評している。日本は何事もスムーズに進む一方で、ちょっとでも停滞した場合は大問題になることも。電車が1分遅れるだけでお詫びのアナウンスが流れるのが日本だが、インドは10時間以上電車が遅れることも日常茶飯事。それでもみんな「ノープロブレム」と言っているのだから、日本とインドは真逆の感覚なのだ。
私はスムーズにいかないインドでは、常に「しょうがない」という諦めの心を持つようにしていました。「どうしてもこの日までにやらなければ」という執着を捨てていました。
常にそのような気持ちでいることを意識していると、小さなことでイライラしなくなりました。「人を許す」心が持てたのです。
(『どんなに自己肯定感が低くても生きやすくなるすごいインド思考術』より引用)
諦めの心が他人を許し、他人を許すことで自分も許す。なんともインド的な思考回路でうらやましい。いや、うらやましいと思っている時点で、僕は自己肯定感の低い人間なのかもしれない。
「アフォメーション」で潜在意識を変える
自己肯定感を高める具体的な方法も本書に記されているが、そのなかで「アフォメーション」というものが紹介されている。これは「肯定的な宣言」。たとえば「お金持ちになりたい」ではなく「私はお金持ちだ」と断定し、それを繰り返し自分にいい聞かせる。一種の自己暗示のようなものだが、潜在意識に働きかけることで、次第に考え方や行動が変わってくるという。
これなら手軽に始められそう。僕はそれほどネガティブな性格ではないが、非常に怠惰で自己中心的なところがあるので、「オレは好きなことをして生きている」と唱えていれば、今までの僕の人生が救われるかもしれない。
【書籍紹介】
どんなに自己肯定感が低くても生きやすくなるすごいインド思考術
著者:あぬ
発行:ANU WORKD出版
あなたは自分に自信がありますか? 自分自身を愛していると自信を持って言えますか? 劣等感の塊で自己肯定感の低かった私ですが、あるときインドへ行き、考え方が大きく変わります。インド人から学んだ精神性は、私だけではなく、私と同じように自己肯定感が低かったり、自分に自信が持てなかったりするあなたの役に立つはずです。