世の中には前向きな言葉と後ろ向きな言葉があります。前向きな言葉を使うほうが毎日が楽しくなるのなら、できればそちらをチョイスしたいものです。言葉を上手に使いこなすコツはあるのでしょうか。
言葉と生きざま
「あなたはあなたの食べたものでできている」という有名なフレーズがあります。自分の体は自分が食べたものをエネルギーにして動いているからです。自分の食べたもので体がバランスを取っているのだと思うと、できるだけ安全で健康的なものを食べて体調を整えたいと感じるものです。
それと似たような邦題の本があります。『あなたはあなたが使っている言葉でできている』(ゲイリー・ジョン・ビショップ・著/ディスカヴァー・トゥエンティワン・刊)です。確かに私たちは日々、さまざまな言葉を使って生きています。美しい言葉を駆使して人を褒める人もいれば、驚くほど下品な言葉で人を罵倒する人もいます。もしかして、その人が使う言葉には、その人の生きてきた道が見え隠れしているのではないでしょうか。
ポジティブとネガティブ
たとえば婚活というシーンにおいて「私なんてどうせムリ」と最初からあきらめている女性がいます。鏡を見ても「この顔キライ」と自分のことが好きになれず、男性からのアプローチがあっても逃げ腰になったり素直に受け止めることができず、チャンスを逃すこともあります。
対してポジティブな女性は「いい人がいるといいな」と好奇心でワクワクしながら婚活を始めますし、鏡を見ても「今日の化粧のノリはいいかも」などと自分の良い面に目がいきます。そして男性からのアプローチがあると素直に喜びますし、「せっかくだから女磨きも頑張ろう」とエステや美容院に通って婚活を思い切り楽しみます。
どちらがゴールインしやすいかというと、やはりポジティブな女性のほうだと思うのです。
自分にかける言葉
本書では、もっと素敵な人生を生きるための言葉の選びかたについて、考察がされています。世界中の人にコーチングを行う著者のゲイリー・ジョン・ビショップさんは「自分にどんな言葉をかけるかで人生は変わる」と言い切っています。「自分にポジティブな言葉をかければ、気分が良くなり、自信が増し、生産性が高まる」ことがわかってきたのだそうです。そして「自分とのネガティブな会話は気持ちを落ち込ませ、絶望を招く」ことも。
けれど、著者はことを急ぎません。無理やりポジティブなフリをしてみても、すぐ元に戻ってしまうことなどお見通しなのでしょう。本1冊をかけてゆっくりと、しかし確実に気持ちを上げる方法を伝えてきます。時には偉人の名言も紹介し、良い言葉が心に刻まれやすくなるような配慮もされています。時間をかけ、一生ものの思考回路になるように、丁寧に指導してくれていると感じます。
自分で自分の言葉を育てる
本の中には、心に刺さる言葉がたくさん収録されています。その中でも私が気に入ったのは「悪い習慣を特定し、いい習慣のためのスペースを空けよう」というものでした。今まで自分に対してネガティブな言葉をかけるクセがあるのだとしたら、まずそれを止める必要があります。そうしないと前向きな言葉をかける時間を作れません。何かを止めるからこそ、何かを始めることができるのです。
本書を読み、しみじみ感じたことは、自分で自分の心を育てていかなくてはならないのだということ。1日のうちで自分に一番話しかけているのは、自分自身なのだと著者は言います。だとしたら「よくがんばったね」とか「すごくいいよ」などという元気になる言葉をかけて、自分をねぎらってあげなくてはという気持ちになります。自分は自分自身の一番の理解者のはず。傷つく言葉を投げかけず、愛をもって接していきたいものです。
【書籍紹介】
あなたはあなたが使っている言葉でできている
著者:ゲイリー・ジョン・ビショップ
発行:ディスカヴァー・トゥエンティワン
この本はあなたを励ますために書いたものだ。あなたが内に秘めた本当の能力に目覚め、自分を責めるのをやめて、輝かしい人生に歩み出すのを手伝うために、私はこの本を書いた。この本はあなたが答えを手に入れることを願うが、答えは外側ではなく、あなたの中にある。答えを見つける必要なんてない。あなたが答えなのだから。