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2016/10/15 12:05

本場ドイツはスケールが違う! 世界最大のビールの祭典「オクトーバーフェスト」とは?

日本各地で開催されるビールの祭典は今やみんな“オクトーバーフェスト”と呼ばれている。春夏秋冬いつ行われても”オクトーバー”なのだ。

 

オクトーバーフェストはドイツ語で10月の祭り。そう、ビール好きなら誰もが一度は行ってみたいと思っている、ミュンヘンで開かれる世界最大のビール祭りだ。

 

今年は9月17日から10月3日にテロ警戒の中で開催されたが、例年通りの大盛況で700万人もの人々が集まり、ビール消費量もなんと700万リットルをはるかに超えたようだ。

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ビール樽の栓を開け、勢いよく飛ばして開会!

『ビールへの旅』(長尾伸・著/郁文堂・刊)によると、そもそもの始まりは1810年10月12日のバイエルン皇太子ルートヴィヒ1世と王女テレーゼの結婚式を祝う祭典だったそうだ。

 

42ヘクタールもある会場の広場は王女の名にちなんで“テレーゼの草原”と呼ばれているが、はじめはここで競馬が行われ、その客を目当てに移動遊園地や飲食物店が集まるようになった。その後、農業器具機械展示なども加わり、広い意味で農業祭典の色彩が濃くなっていったのだそう。

 

“やがてテントのビアホールも作られ、1867年にはシュパーテンがフェスティバルホールを作り、その後ミュンヒェンのビール醸造各社は競って巨大なテント式ビアホールを作ることになった。1938年には競馬は廃止され、現在の「ビール祭り」の体裁が整っていった。”

(『ビールへの旅』から引用)

 

オクトーバーフェスト開幕初日には、醸造会社のビア樽を積んだ化粧馬車などのパレードがある。そして会場に着くとミュンヘン市長がビア樽の栓を叩き、ビールを勢いよく飛ばすとフェスト開幕となるのだ。

 

バイエルン・ミュンヘンの選手もフェストに参加

ミュンヘンを地元とするサッカーの名門クラブチーム、バイエルン・ミュンヘンの選手たちもオクトーバーフェストを盛り上げるために毎年会場へやってくるそうだ。

 

選手によっては民族衣装に身を包み、家族や恋人を連れて集まってくる。この日はサッカーボールではなく皆、ビールジョッキを片手に大いにリフレッシュするとのこと。また、スター選手を一目見たいサッカーファンも会場へと足を運ぶので、祭りは最高潮に達する。

 

オクトーバーフェストビーアとは?

“オクトーバーフェストには各社はオクトーバービーア(Oktoberfestbier)の名称でビールを出しているが、要するに本来は3月に仕込んで祭りまでの長い期間の貯蔵に耐え、熟成したメルツェンビーアなのだ。”

(『ビールへの旅』から引用)

 

本来は赤褐色で芳醇な香りのメルツェンビールだが、黄金色のビールを好む人々が増えたため、近頃は色の薄いメルツェンが人気だという。アルコール度はいずれも高く5.9から6%だ。

 

ドイツ人が寒い戸外でもビールを飲める理由

ところで、私が好きなのは白ビールとも呼ばれるヴァイスビールで、大麦麦芽と小麦麦芽で造られたもの。とにかく香りがよくて、口に含むとフルーティな味なのだ。

 

が、私がビールを飲みたいと思うのは暑い季節、あるいは、暖房のよく効いた室内に限られる。気温の低い戸外では冷たいビールはとても飲めない。

 

でも、ドイツ人たちはどんなに寒くてもビールをぐいぐい飲むのでびっくりしたことがある。

 

それは、ある秋のドイツ、ニュルブルクリンクでのこと。このサーキットのスタンドで自動車レース観戦をしたときは、とにかく寒くて熱いコーヒーやスープで必死で身体を暖めていた。が、しかし、まわりのドイツ人たちは、冷たいビールをひっきりなしに飲んでいる。思わず隣のドイツ人に「寒くないの~?」と聞いたら、「ぜ~んぜん」と言われてしまった。

 

後日、その理由がわかったのは娘の交換留学の相手でドイツのティーンエイジャーがわが家にやってきた時だった。

 

寒い日にもよく冷えたガス水(炭酸水)ばかり飲んでいたし、私たち日本人と比べると薄着なので「どうして?」

となり、理由をさぐってみたのだ。で、わかったのは彼らは平熱が高く37度以上もあるということ! わが家にきたドイツ少女は計ってみたら平熱は37.3度だった。ちなみにドイツでは38度だと微熱なんだとか。一方のわが娘の平熱は36度かそれ以下だから寒がりなのだ。

 

このドイツ少女も大人になったら炭酸水ではなく、よく冷えたビールを寒くてもぐいぐい飲むようになるんだろうなぁ、としみじみ思ったものだ。

 

おいしいビールを飲み歩く旅

さて、本書はビール好きの著者が、おいしいビールを求めてヨーロッパを訪ねた記録だ。オーストリアはウィーン、グラーツ、インスブルックなど。チェコではビールの源泉を求めてプラハから各地へと足を運んでいる。そしてビール王国ドイツではバイエルン地方を徹底的に飲み歩いている。

 

飲んだ銘柄のビールは、ラベルやコースターの写真付きで紹介されているので、ビール図鑑でも見ているようで、とても楽しい。

 

ビールがおいしい国は世界にはまだまだある。著者自身も「私のビールへの旅は終わらないでしょう」と書いているが、その通りだと思う。

 

日本にもおいしいビールはたくさんある。まずは“日本のオクトーバーフェスト巡り”からはじめてみるのもよさそうだ。

(文:沼口祐子)

 

【参考文献】

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ビールへの旅

著者:長尾伸
出版社:郁文堂

 

オーストリア/チェコ/バイエルン、本場ビール250銘柄飲み歩きエッセイ。これであなたもビール通。
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