あなたの社内にこんな人はいませんか?
あくせくした様子で働いているわけでもなく、残業もあまりしない。はたから見ればサボっているように見えて、実は仕事でキッチリ結果を出している人……。
こういった人の話を聞くと「自分とは違う次元で何倍も早く仕事をこなしているんだろう」と思いがちですが、「仕事を早くこなせる=他人より手足を早く動かせる」というワケではありません。『仕事が速いお金持ち 仕事が遅い貧乏人』(午堂登紀雄・著/学研プラス・刊)によると、効率的に仕事をこなしているというのは、あくまで行動という結果に過ぎず、重要なのは行動を決める背景の“考え方”だといいます。
仕事が速くて稼いでいる人に、共通した考え方・そして行動とはどんなものなのでしょうか?
「常に全力投球」の人ほど仕事が遅いワケ
仕事が速い人は「この仕事で結果を出すには、どこが重要か」というポイントを押さえています。言い換えると常に仕事の全体像を把握し、
「ここはサラッと流せばいいな」
「ここだけは時間をかけてやろう」
といったペース配分ができているのです。
しかし、仕事が遅い人や完璧主義の人は「どこが重要なのか」ということをあまり考えず、企画書を作成する際もフォントやレイアウトなど細かいところまで全力投球しがち。自分では納得の出来でも、相手や取引先の人が喜ぶポイントとはズレている可能性があります。
そうはいっても右も左もわからない新人の時など、全てに全力投球したほうが良い場合もあります。しかし、相手が特に評価しない部分までこだわって力を注ぐのは非効率。力の抜きどころを考えていない人は、手間暇はかかっているにもかかわらず成果はイマイチということが起こりやすいのです。
荷物をたくさん持ち歩く人ほど仕事が遅いワケ
仕事で持ち歩いているカバンは常にパンパン、なかなか荷物を減らせないというタイプの人も、実は仕事が遅い傾向があるそう。なぜなのでしょうか?
カタログやサンプルなどを持ち歩く必要がある職種の人は別として、カバンが分厚く持ち物が多い人に限って要領が悪く仕事が遅い傾向があります。
“なぜかと言うと、打ち合わせなどで話す内容が整理されていない、あるいは会話や質問されることに対する事前準備が足りない、そして完璧主義を目指すあまり、あれもこれも用意して行かなければ不安だからです。”
(『仕事が速いお金持ち 仕事が遅い貧乏人』から引用)
この、たくさん荷物を持ち歩く人というのはビジネスマンだけでなく、受験生にも同じ傾向が見られるようです。
「この教科で疑問がわいたらどうしよう」
「この科目も勉強したくなったらどうしよう」
といった不安をかき消すように、参考書をカバンたっぷりに詰めて予備校の自習室にやって来る人は成績があがりにくいのだそう。
出来る受験生は「今日はここを勉強しよう」という方針が決まっていて荷物が少なめ。同じように仕事が速い人も「今日は取引先とこの話をしよう」という軸を明確にしているので荷物は最小限ですむのです。
相手から質問された時も、荷物が多い人は「え~、それはですね…」と、持参した資料の中からその答えを探すことに平気で時間を使いますが、反対に荷物が少ない人はその場で分からない場合「のちほど確認して回答します」といった返答をしたり、会社に電話をして確認しすぐに回答するという非常に効率的で“成果に直結する”行動をしているのです。
この他にも「仕事が遅い人は、すき間時間にコンビニへ飛び込む」「仕事が遅い人は映画やゲームなど時間を消費するものを買う」など、本書に収録されているのはドキッとしてしまうタイトルの話ばかり。仕事が速く稼げる人と、そうでない人とのちょっとした違いが解き明かされている一冊です。
(文:凧家キクエ)
【参考文献】
仕事が速いお金持ち 仕事が遅い貧乏人
著者:午堂登紀雄
出版社:学研プラス
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