ビジネス
2018/11/5 6:00

延々続くメールのラリー、どちらから終わらせる?――『結果を出す人の文章術』

人には誰しも得手不得手がある。歌をうたうのが得意な人、イラストをササッと描ける人、電卓並みに暗算が速い人。これらが得意ではないからといって、人生において窮地に陥ることはまずない。だが、ことビジネスにおいては、どうしても「苦手だから…」と避けては通れないことがある。

 

文章を書くことである。

 

 

たとえ手書きからパソコンやスマートフォンに記録の仕方が移り変わっても、根本的な「文章を作る」ことは必須だ。日々のメールをはじめ、業務報告書や企画書、お礼状に祝電や弔電など、文章を書くことは、私たちの日常から切り離せない。どんなに国語が苦手な人だったとしても。

 

とはいえ、何も巧い文章を書く必要はない。ビジネスで求められるのは、「単純明快・誰が読んでも誤解を招かないようなわかりやすさ」なのだ。今回は、『結果を出す人の文章術』(仕事教科書編集部・編/学研プラス・刊)から、質の高いビジネス文章を書くためのコツとポイントをご紹介しよう。

 

意外に知らない「仕事がはかどる」メール術

あらゆる仕事がメールを中心に進んでいくといっても過言ではない現代において、ビジネスにおけるメール術を心得ておくと、仕事が格段にはかどる。たとえば、仕事のメール連絡の際、「依頼→回答→お礼→返事→返事へのお礼」といった具合に、やりとりがエンドレスになることは少なくない。その場合は、次のタイミングでやり取りをストップさせよう。

 

ポイント1:目上の人に対しては、こちら側のメールで終わる

相手が目上の人の場合、どちらからメールを始めたかにかかわらず、自分(目下の人)のメールで終わるように注意すると、失礼がないので安心。

 

ポイント2:「お願いごとをした側」のメールで終わる

依頼や相談など、やり取りのきっかけを投げかけた側が最後のメールを送る、と考えると◎。ただし、距離感が近い相手とは自然の流れに任せても良い。

 

とはいえ、こちらのメールで終わらせようと思っても、また相手が返信してきて…という場合もあるだろう。その場合は、「また、こちらからご連絡いたします」など終わりの合図になる表現を使うと効果的だ。

 

 

文章を伝わりにくくするタブー3つ

続いては、文章を伝わりにくくするタブーについて。繰り返しになるが、ビジネスで求められるのは「伝わりやすい簡潔な文章」。そのためには、避けるべきいくつかのタブーがある。

 

●主語を途中でコロコロ変える

NG例:先日(私は)セミナーに参加しましたが、(セミナーは)内容がとても充実しており、(私は)参加してよかったと思いました。

 

OK例:先日、(私は)セミナーに参加しました。その内容がとても充実していたため、(私は)満足しました。

 

ひとつの文の中で主語がコロコロ変わってしまうと、誰の視点がわかりにくくなる。上記のNG例は、意味が伝わらなくはないが、読んでいて「ん?」とつまづく人もいるのでは。そこで、主語を(私)に統一し、文章を2つに分けることで、より読み手が理解しやすくなる。

 

●「その」「あの」を連発する

NG例:久々に母校を訪ねた。まずは、その高校の職員室に立ち寄り、恩師と10分ほど話をした。その恩師は、所属していた部活の顧問でもあったため、私のことをよく覚えていた。そのあと、体育館を覗いたとき、あの頃の思い出が懐かしく蘇ってきた。

 

OK例)久々に母校を訪ねた。まずは職員室に立ち寄り、恩師と10分ほど話をした。先生は所属していた部活の顧問でもあったため、私のことをよく覚えていた。帰り際に体育館を覗くと、当時の思い出が懐かしく蘇ってきた。

 

「この」「あの」「その」「どの」などの連体詞(助詞活用のない言葉で名詞を修飾するもの)は、つい多用してしまいがちである。それゆえに、必要以上に用いると、とても読みにくい文章となってしまう。不要な部分は省き、別の言葉でも伝わる単語は言い換えるのがコツ。

 

●ムダな言葉が多すぎる

NG例)京都には基本的にたくさんの外国人が訪れるので、世界各国の言語で説明されている看板が多くなっている。日本人は一般的にどの国の人にも親切に対応するので、外国人から好感、好意、共感を得ているように思える

 

OK例)京都にはたくさんの外国人が訪れるので、世界各国の言語で表記された看板が多い。日本人はどの国の人にも親切に対応するため、好意や共感を得ていると思う

 

「基本的に」や「一般的に」といった言葉をやたら使う、特定の接続詞を多用するなど、人には「書き癖」と呼ぶべきものがある。冗長的な表現が魅力的な場合もあるが、ビジネス文書においては、できるだけムダな言葉や表現は省いたほうが、スッキリと伝わりやすい文章に近づける。

 

 

書き終えたら、必ず読み返して推敲するのがデキる男だ!

『結果を出す人の文章術』には、いまさら聞けない文章の書き方ルールや文例も豊富なので、1冊手元に置いておくことをおすすめする。ほんの少しのコツで仕事が大幅に捗るのなら、これほどありがたい話はない。

 

ちなみに、忙しいとつい読み返さずにメールを送ってしまうこともあるが、見直さなかったがために、誤字や脱字があったり、やたらとまわりくどい表現になったりしていることは多いもの。ほんの数分(数秒の場合もある)読み返してチェックするだけで、あなたの文章は格段にわかりやすくなるはずだ。

 

【書籍紹介】

結果を出す人の文章術

著者:仕事教科書編集部
発行:学研プラス

メールの書き方を改善するだけ「仕事ができる人」になれる! 短時間で、的確に、好印象を与えるメールの書き方を習得するためのコツを紹介。メール・企画書・プレゼン資料・議事録・報告書など、すべてに応用できる「文章力」が身につく1冊。

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