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2020/3/21 18:00

【不動産のプロに聞きました】サラリーマンでもできる怪しくない不動産投資ってホントにありますか!?

年金だけでは老後資金が2000万円不足するという「老後資金2000万円不足問題」が昨年話題になりましたが、機会があれば一棟アパートやマンションの不動産投資をしてみたいというサラリーマンは、まだいると思います。とはいえ「不動産投資は危険」、「怪しい不動産業者にダマされるかも」という不安はぬぐえず……。そんな読者のために、現在の不動産投資の現状と、どうすればダマされずに利益の出る不動産投資ができるのか、などを不動産のプロにわかりやすく解説していただきました。

 

【教えてくれた人】

星 龍一朗

大手不動産流通会社、不動産投資顧問会社などを経て独立。主に個人向けに不動産投資、賃貸経営のアドバイスを行い、講座・セミナーを通じて資産形成をサポートする。主宰するレンタルスペース運営者のための「不動産みらいコミュニティー」(facebookプライベートグループ。紹介制)には、サラリーマンでありながら複数のレンタルスペース経営を実践するメンバーが多数在籍。リアル・スター・コラボレーション(株) 代表取締役/ニコニコFP新宿事務所 代表 公式ブログ:https://www.dragon16star.com/

 

【関連記事】

2020年のサラリーマンの副業に――買わずに始める「レンタルスペース経営」がリアルに行けそうだというお話

 

融資引き締めのきっかけとなったある事件

まず最初に、昨年話題になった「スルガ銀行ショック」について解説しましょう。

 

スマートデイズという不動産会社が、女性向けの新築シェアハウスである「かぼちゃの馬車」シリーズを、個人の不動産投資家に利回り確定の賃貸不動産として販売していました。販売した物件オーナーに対してスマートデイズがサブリース家賃(一括借上げ賃料)を支払うことを保証していたのですが、あろうことか2017年10月ごろからその支払いができなくなってしまいました。

 

サブリースとは、アパートやマンションの建物一棟をまるまる不動産会社がオーナーから借り、その不動産会社が入居者に部屋を又貸しする契約の事。本来、オーナーがやるべき業務を不動産会社が行ってくれたり、空室でも一定の賃料(通常賃料の90%前後)が保証されるなどのメリットがあるとされます。

 

ところが、「かぼちゃの馬車」シリーズの場合、入居者が支払える家賃相場以上の金額を、スマートデイズがオーナーに対して保証するような問題のあるスキームだったのです。この「かぼちゃの馬車」シリーズの物件を購入していたオーナーは、医師、士業、上場企業の会社員など、いわゆる「高属性」と言われ、年収が比較的高いとされる人たちでした。

 

不動産投資に関して体系的な勉強をしていれば、こういった問題のある物件を購入することはなかったはずなのですが、高属性がゆえに簡単に融資を借りることができて、ほとんど手間がかからない投資という謳い文句に釣られて800名以上のオーナーがいたと言われています。

 

これらのオーナーに対して積極的に融資をしていたのが、スルガ銀行でした。ところが、このスルガ銀行の融資の大半が、不正融資だったのです。しかも、銀行員ぐるみの不正融資で、具体的には、金融資産や収入を証明する資料の改ざんなどが行われていました。

 

それまでアベノミクスによる異次元の金融緩和の影響で、サラリーマン不動産投資家に対して、どの銀行も積極的に融資をしていたのですが、この件をきっかけに、金融庁が銀行に対して不動産投資に対する融資審査の厳格化を徹底するようになり、銀行は一気に融資の蛇口を閉めざるを得なくなりました。これが「スルガ銀行ショック」の概要です。

 

不動産投資の様々なタイプを知ろう

さて、あなたは、「不動産投資」と聞くと何を思い浮かべますか?

 

実は、ひとくちに「不動産投資」と言っても、様々な物件タイプがあり、それによって必要な資金、得られるリターン、リスクなどは多種多様になっています。

 

今回はその中でも代表的な3つのタイプについて、解説していきます。

 

【01

一棟アパート・マンション投資

アパート、マンションを一棟まるごと購入するタイプの投資です。物件の立地、建物の構造・築年数、土地・建物の広さなどによって異なりますが、総じて投資金額は大きくなります。数千万~数億規模をイメージして頂ければよいでしょう。

 

メリットは、購入後すぐに毎月数万円~数十万円の家賃収入の手残りを得られることです。サラリーマンの方にとっても、安定的な副収入源になり得ます。ただし、立地を間違えると空室が埋まらず、予定していた家賃収入を得られないことになるので、購入する前にはしっかりと周辺の賃貸需要や家賃相場をリサーチする必要があります。また、賃貸管理会社の選定も重要なポイントです。

 

2017年ぐらいまでは、おおよそ年収700万円以上のサラリーマンの方であれば、数千万円から、場合によっては億単位の融資を受けられる可能性があったため、一種の「サラリーマン不動産投資ブーム」が巻き起こり、数多くのオーナーが誕生しました。ところが、2018年以降は、一棟アパート・マション購入向けの融資は引き締め傾向が強まり、物件価格の2~3割以上の自己資金を投入できるなど、金融資産や資産背景がかなり良い方でないと融資を受けることが難しくなっています。

 

不動産投資に投入できる自己資金を持っていて、すぐに副収入を手にしたい方。親から引き継いだ土地がある方。賃貸経営に関する勉強や情報収集を継続して行く覚悟がある方にオススメの投資タイプです。

 

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