アバター出社が当たり前になる時代がやってくる
ーーこう考えると、それこそnewmeを使っての「新しい働き方」も生まれそうですね。
深堀 そうです。弊社ではすでにアバターワークをしている人もいますが、慣れると本当に人間が出社しているような感じで接することができます。
ーー会社に1台のnewmeしかない場合、複数の誰かが、時間ごとに予約するなどして、使い分けていくイメージでしょうか。
深堀 まさにそうです。会議室の予約のような感じで、「私は明日9時から18時までアバターで出勤します」という予約をします。そうすると、別の誰かはアバター出社はできなくなるというイメージです。これもnewmeの利便性が浸透すれば、複数あったほうが良いわけですから一気に広まり台数が出ると思っています。特に今はリモートワークの普及が追い風となっていて、浸透は来年以降急速に進むだろうと考えています。
2021年以降、一気に広まる可能性を持つ
ーー深堀さんが中心となり、ANAホールディングスで進めてきたアバター事業ですが、そもそも航空会社がなぜこの事業を始めたのでしょうか。
深堀 それまでの航空会社はどこも「快適な空の旅をお楽しみください」ということを謳ってきたわけですが、今は働き方もライフスタイルも多様化しているので、むしろ、人それぞれに異なるライフスタイルや理想的な働き方を提案し、そのうえで本当に余暇を楽しむ際に、飛行機を使っていただく時代ではないかと私は考えていました。つまり、モビリティ事業だけだと他のエアライン、鉄道に勝てないのではないか。こういった提案を私がANAホールディングスにし、それを後押ししてくれたことは良かったと思います。
こういった点からANAホールディングスでアバター事業をスタートし、今年からグループ企業として独立したのが弊社ですが、前述の通り新型コロナウイルス感染拡大で航空事業は大変な打撃を受けました。ですので、アバター事業は注目を浴びることとなり、急速に進んでいくだろうと思っています。
ーー実際にnewmeを使っての事業はいつ頃からになりますか?
深堀 来年春を目指しています。月額数万円になると思いますが、newmeをお貸し出しし、使っていただくレンタルサービスです。「ペッパー」「アイロボット」は実際に購入しないとならず、結構な高額でした。その点、newmeは月額でお使いいただけるものですので、コスト的にも安く運用いただけると思います。
技術的に言えば、最初に言ったような様々なアバターは作れるんです。でも、ニーズが限られコストもかかるので、現時点ではコミュニケーションに特化させたnewmeの普及を進めているところです。使われるすべての方が「ロボット好き」というわけではないですし、その意味でもnewmeは多くの人に親しんでいただけるようなシンプルな外見になっています。
アバター全般に言えることは、ロボット自体に性格や特徴があるわけではなく、そのアバターにインした人の特徴がそのまま表れるということです。誰でもアバターに接続することができ、そのうえで人それぞれの個性が出るものです。ここがアバターの一番面白いところですので、ぜひ、newmeを生活や働き方に取り入れていただき、幅広い活用を行っていただければと思っています。
撮影/我妻慶一
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