【ミーティング中のマナー】ルール作りが肝心!
・ホスト(司会者)の役割
ホストは5分前にログインし、参加者を出迎えるようにしましょう。全員が揃ったら、司会者としてミーティングの進行を務めます。参加者の中に音が聞こえなかったり、画面が傾いていたりと、トラブルが起きている人がいたら率先して声を掛けるのも、大事な役目の一つです。
「質問をする時は挙手するのか、チャットを利用するのかなど、参加者が迷うポイントについては、最初にルールを設けるのが良いと思います。機器に慣れていない人を含め、参加者全員が安心してミーティングに参加できる配慮をしてください」
・挨拶
オンラインミーティングの場合、音声が聞き取りづらいこともしばしば。だからこそ、冒頭の挨拶はいつも以上にハッキリと名乗るのがマナーです。特に、数字や固有名詞は間違えやすいため「ひ・び・や、支店です」「し・ぶ・や、支店です」などと、際立った話し方を意識しましょう。
「私は初対面の方とミーティングをする時、名刺交換ができない代わりに、カメラに名刺を映してご挨拶しています。その上で、『○○会社の○○と申します。後ほどお会いした際、名刺交換をお願いいたします』とお伝えすると、親切な挨拶になりますよ」
・話し方
話者が気を付けたいのが、発言の終わり方。オンラインミーティングの場合、話が終わったのか、続くのかが曖昧な場面がよくあります。マナーとして、発言を終えたら「以上です」と伝えるようにしましょう。また、もし誰かと発言が被ってしまったら、瞬時に「失礼しました、どうぞ」と譲ることも大切です。
・聞き方
対面に比べ、相手の反応が分かりづらいのがオンラインミーティングの難点。だからこそ聞き手に回った時は、分かったのか、分かっていないのかをハッキリ伝えるのがマナーです。一対一の場合には、相槌を打つなり、頷くなり、対面で話す時と同様に反応するようにしましょう。ただ、複数人が参加するミーティングの場では、相槌がうるさく感じることも。大きめに頷いたり、ジェスチャーで示したり、声を出さなくても「分かっている」ということを伝えるのがポイントです。
「5人以上が参加する場合、聞き手はミュートにしておくのが良いと思います。たまに『顔を映すのが恥ずかしい』とビデオまでオフにしている方がいますが、ビジネスマナーとしてはふさわしくありません。話を聞いていることを、常に周りが把握できる状況にしておいてください」
・雑音が入った時
犬の鳴き声が入ったり、自宅のチャイムが鳴ったり、周りの参加者が気になる物音を立ててしまった時には、すぐに「失礼しました」「急がないので大丈夫です」などと伝えるようにしましょう。
「くしゃみや咳をしてしまった時も同様です。話している最中であれば、カメラのある正面ではなく、横を向き、『失礼しました、続けます』という一声を挟んでから再開してください」
・退出
ミーティングが終了したら、司会者が「みなさんお疲れさまでした。ご退出いただいて構いません」などと退出を促します。参加者が退出しやすい雰囲気をつくることが何よりも大切です。そして、司会者は全員が退出し終わってからログオフするようにしましょう。
テレワーク時代に必要なのは、会えない不安を軽減すること
オンラインミーティング以外にも、コロナ禍によってさまざまなビジネスマナーが生まれました。従来のビジネスマナーになかったものとして、古谷さんは「会えない弊害への対応」を挙げます。
「ビジネスマンに対し、『今、不安に感じていることは何ですか?』と聞き取りを行ったところ、一般社員からは『オフィスよりも仕事がはかどらない』『周りに相談しにくい』『さぼっているのではないかと思われそう』などの声が、管理職の方からは、『生産性が下がっているのではないか』『報連相ができていないのではないか』『さぼっているのではないか』などといった声が上がりました。両者に共通して言えるのが、生産性の低下、報連相の欠如、信頼関係の薄れに不安を抱いているということであり、これらを招かない工夫が、今の時代におけるビジネスマナーと言えます。
生産性の低下を防ぐため、目の前の目標を明確にする。報連相を欠かさないよう、毎日決まった時間に情報交換をする。信頼関係を保つため、積極的なコミュニケーションを心掛ける。上司に任せきりにしたり、部下が自ら動くのを待っていたりするのではなく、お互いがお互いを思いやって動くことが大切です」
最後に、古谷さんはこう説いてくださいました。「新型コロナウイルスの最中でスタートした新生活。新社会人の方の中には、十分な研修が受けられずに不安を抱いている人も少なくないでしょう。しかし、冒頭でもお伝えした通り、ビジネスマナーはセルフブランディングであり、周りに選ばれるための鎧とも言えます。だからこそ、受け身になるのではなく、自分から進んで学ぶようにしてください。そして、先輩たちはお手本となるような振る舞いを心掛けるようにしてください」
【プロフィール】
マネジメントサポートグループ代表 / 古谷治子
東京放送、中国新聞社で9年間実務を経験した後、大学・短大等にて「就職支援講座」「ビジネス行動学」の講師を経験。現在はマネジメントサポートグループの代表として、4つの教育専門会社を率いる傍ら、自らも講師としてビジネスマナーに関する講演を行っている。
http://www.ma-support.co.jp/