ビジネス
2022/11/7 6:30

話題のNotionどう使う? 日本のHead of Sales生垣 侑依さんに聞いた今日から使える活用術

最近よく聞くNotion(ノーション)。会議のアジェンダやタスク・進捗管理ができ、便利なのはわかっているけれど……。ダウンロードしたものの「どう使ったらいいかわからない」と悩んでいる人いませんか?

 

Notionは世界で2000万人以上が使っているオールインワークスペース。会議のアジェンダを共有したり、社内Wikiを作成したり、プログラム知識がない人でも簡単にPCやスマホで情報を共有&発信できちゃいます。本社はサンフランシスコですが、2021年10月に日本語ベータ版がリリースされ日本法人も拡大中。この1年で注目度が高まっているツールと言えます。

今回は2022年2月からNotionのHead of Salesにジョインした生垣 侑依さんに、Notion活用術を伺います! 生垣さんは、新卒でリクルートに入社し営業キャリアを築いた後、LinkedInで日本1号となるSMBセールスマネージャーとして活躍。その後、Slackに転職し3年半で組織が10倍になるなか、セールス部門をリードしてきたというすんごい方っっ。「生垣さん、なんでそんなにパワフルなんですか?」なんて話も聞きながら、Notionを知らない人も、使いこなせていない人も「使ってみたい」と思うようなお話を聞いちゃいました!

 

200 以上のアプリケーションとも連携! なんでもできちゃう「Notion」

––本日はよろしくお願いします! まず、生垣さんの自己紹介からお願いします。

 

「今回は活用術の取材だったので、Notionで人生グラフを作ってみました。最近、Notionの新機能としてプログレスバー表示が可能になったんですよ」

––すごい!! Notionってメモやアジェンダをまとめるツールって思っていたので、ここまでできちゃうなんて、最初から驚きです。

 

「Notionは“Making software toolmaking ubiquitous.”をミッションに掲げています。誰もが思い描いたソフトウェアを自由自在に組み合わせ、ユビキタスな世界を実現しようとしているんです。個人ユーザーが『便利!』と組織へと波及してくれる、仕事でもプライベートでも使いたくなるツールでもあります」

 

––企業がトップダウンで決めたツールってゼロから使い方を習得しないといけないし、使いにくさもあります……。でも個人から組織に波及していくツールなら使い方を知っている前提で始められるので、導入もスムーズですよね。Notionのライバルっているんでしょうか?

 

「全く同じことができるツールでいうと、ないですね。タスク管理だったらこれ、メモだったらこれ、Wikiならこれなどはありますが、全部一緒の競合はいません」

––おお〜! ツールの総合百貨店のような感じですね。

 

「そうとも言えますね! そのフレーズ今度から営業で使わせてください(笑)。Notionのもうひとつの特徴としては、200以上のアプリケーションと連携が可能なことです。オリジナルテンプレートを提供するだけでなく、これまで仕事で使ってきたツールと連携することで『なくてもいい工数を減らす』ことに還元します」

 

––『なくてもいい工数を減らす』ですか?

 

「例えば、GitHub(ソフトウェア開発のプラットフォーム)と連携すると、エンジニアさんの進捗状況を社内の誰もが閲覧可能になります。これまでだと、メールやチャットで『進捗どうなってますか?』と聞くしかできないので、お互いにあまりいい気分にはなりませんでしたよね? GitHub と連携したNotionなら部署関係なく誰もがエンジニアチームの開発状況を確認できるので、今の状況を踏まえた上で建設的な話が進められるんです」

 

非同期型の働き方にも「Notion」がベストマッチ!

––ここからは生垣さんについても伺いたいのですが、LinkedIn、Slack、Notionと外資系企業で経験を重ねられてきましたよね。外資系と日系企業の「働き方」で違いを感じたところはありますか?

 

「SlackやNotionに関わってきたこともありますが、非同期型のコミュニケーションを前提に働いていると言えるかもしれません。自分の同僚が違う国にいる、同じ時間帯で働いていないというのが外資系企業では当たり前です。そのため、Notionのようにいつでも・誰もが・情報にアクセスできる、学べるといったストックが重要。もちろん同じ空間でじっくり対話し、議論することも大切ですけどね」

 

––非同期型のコミュニケーションが前提は納得です! 超ぶっきらぼうな質問ですが、どうしたら生垣さんのように華麗なキャリアアップができるのでしょうか?(笑)

 

「実は、すべて知人から声をかけてもらって転職しているんです。NotionもLinkedIn時代の同僚かつ上司だった西 勝清さん(日本1号社員,ゼネラルマネージャー日本担当)が声をかけてくれて入社に至りました。昔から、どういうキャリアを歩みたいかを周りに公言していたんですよね」

 

––かっこいい! でもなかなか言いにくかったり、自分に言い訳したり、私もですが、実行できない人の方が多いような気もします。。。

 

「高校、大学はアメリカで学んでいたのですが、様々なタイプの人たちと関わっていく中で、ポジティブな人にはポジティブな人が集まるし、自分次第で世界はどんどん広げられるって実感したんですよ。学生時代の経験から、自ら発信することとか、ポジティブな雰囲気を出すこととか、意識するようになっていたのかもしれませんね」

––実体験が人生に組み込まれているんですね! 生垣さんみたいに私も活躍したいと思っている女性は、まずどうしたらいいでしょうか?

 

「2つあると思っていて、ひとつは『まず自分が手をあげてみること』です。アメリカの調査ですが、男性は募集要項のうち60%しか満たしていなくてもが応募するんですが、女性は100%当てはまらないと応募しないそうなんです」

 

––あぁ〜わかるかも。「私なんて」って思う女性は多いかもしれないですね。

 

「失敗してもいいからやってみるってすごく大事ですよ。日本でも女性活躍が叫ばれている時代ですが、意思決定の場所に女性がもっといればいいだけだと思うんです。私の考え方に『他責にせず、自責にする』ってポリシーがあるので、女性が管理職に少ないことを嘆くのではなく、私が意思決定に携わるような場に積極的に出ていってロールモデルになれるようにと行動しています。活躍したいと思える女性を増やすためにも、そのモデルになる人を増やすことが大事だと思います」

 

––「この人みたいになりたい!」っていない人がいないと、目指す人も増えないですからね。自責にするってかっこいい……。この一言だけでも、生垣さんみたいになりたい人たくさんいると思います(笑)。もうひとつも教えていただけますか?

 

「2つ目は『社内と社外にそれぞれ自分のメンターを持つこと』ですね」

 

––メンターですか?!

 

「自分がロールモデルにしたい人とか、こうなりたいと思う人を相談役に持つイメージです。社内にメンター制度がある企業も増えてきましたよね。ぜひ活用してほしいです。また社外コミュニティに所属している人はそこで探すのもいいですし、LinkedInやSNSを通じて臆せず自分が目指しているような人に声かけてみるのもおすすめです。頑張っている人をサポートしたい人も多いので!」

 

悩んだらテンプレートを活用! 仕事でもプライベートでも使い方は無限大

––ここからは、Notion活用術をお伺いしたいと思います。世界では2000万人超が利用しているNotionですが、日本ではどんな活用がされているのでしょうか?

 

「もともとグローバルなプロダクトを目指していたので、日本だけの特徴はないですね。あえて言うのなら、日本のスタートアップ企業の採用サイトとしてNotionを活用いただいていることと、産学連携や教育プロジェクトなど企業を超えて共同事業をする際の外部連携にNotionを使っていただくことですかね」

 

––スタートアップ企業の採用サイトはよく見るようになりました。

 

「サイトを無料で手軽に作れるだけじゃなく、企業で旬の話題をタイムリーに載せていくことで優秀な人材を確保する、生きた採用サイトを作れると利用が広がっています」

 

––共同事業で活用している例などはありますか?

 

「サントリー食品インターナショナル様とGoodpatch様が共同開発した、法人向けヘルスケアサービス『SUNTORY+(サントリープラス)』では、企業という垣根を超えた事例です(事例紹介はこちら)。これまでは、それぞれがタスク管理をして、情報を保有していました。Notionというひとつの部屋で同じ情報を持って仕事できるのが大きな特徴ですね」

 

––仕事でNotionを使う場合、心がけておいた方が良いことはありますか?

 

左側のサイドバーでしっかり情報を整理することが大前提です。どこにどの情報が纏まっているのか、全社の情報、チームの情報を整理することが大切でしょう。私自身も営業チームのメンバーも増えてきたので、改めて『チームWikiを作ろう!』とみんなで制作しました。みんなで議論したことで、チームカラーが出たWikiを作ることができ、とても楽しかったんです。これまでは、法務や総務、または部署のリーダーの人たちを中心にトップダウンで作っていたと思うのですが、あーでもない、こーでもないと議論できたことは貴重な時間でした。自分たちで作ったものには愛着もありますし、アップデートも積極的にしていこうとモチベーションも高まっています」

 

––Notionは仕事だけでなく個人利用している人もいますが、使い続けていくためのアイデアはありますか?

 

「Notionって本当にいろんなことができるので、『何から始めたらいいかわからない』と悩む人も多くいらっしゃいます。そんな時は、たくさんのテンプレートを準備しているので、『テンプレートギャラリー』にアクセスしてみてください。ちなみに審査が通れば、ご自身のテンプレートをこちらに掲載することも可能ですよ」

 

––そうだったんですね!レシピや日記、ポートフォリオや就活情報まで本当に幅広い活用がされていますね。

「カラオケ十八番リストでも、日記、旅のしおり、写真ギャラリーなど何でもできます。70歳になる私の父も、自分のホームページをNotionで作ってました(笑)。自分のバイオグラフィーとしてまとめるのにも役立つと思います」

 

––素敵ですね〜! 最後になりますが、今後Notionでやっていきたいことを教えてください。

 

「会社のミッションにもあるようなユビキタスな世界を実現するため、1日でもはやく、1社でも多くの企業に使ってもらいたいですね。非同期型のお話もしましたが、多様な人材が活躍するツール・手段としてNotionを活用してもらえると嬉しいです。あとは、ダイバーシティの推進ですね。日本のNotionには3名の女性管理職が活躍しています。働き方やダイバーシティを実践している企業として、私たちの取り組みを情報発信していくことで『こんな企業で働きたい』『Notionの働き方を目指したい』とロールモデルになれるような組織を作りたいですね」

 

––ありがとうございました! 私ももっとNotion活用していきたいと思います。

 

仕事にプライベートに大活躍してくれるNotion。まとめたいこと、振り返りたいこと、発信したいことなど、自分次第で使い方は無限大! どう活用したらいいか悩んでいる人は『テンプレートギャラリー』を眺めつつ、自分にできることを考えてみるのもいいかも。

もっと詳しくNotionについて知りたい方は、以下のブログも参考になりますよ。

 

Notion x Female Leadership #1
性別も年齢を問わず、成果で評価される環境で働く楽しさ

 

私も仕事メインで使っていましたが、大好きなボートレースについてまとめるNotionも作ってみようかな……(笑)。プライベートログにもなるNotionをぜひ活用しちゃいましょう!