カメラ記者クラブが主催する「カメラグランプリ2023」の大賞が、「ソニー α7R V」に決定した。
「カメラグランプリ」は、写真・カメラ関連媒体が加盟するカメラ記者クラブが主催し、カメラグランプリ実行委員会が運営している。1984年より開催されており、今回で40回の節目を迎える歴史ある賞だ。
■「ソニー α7R V」が少数激戦を制して大賞を受賞
「カメラグランプリ2023」は、2022年4月から2023年3月までの1年間に発売されたカメラの中から、最も優れた機種を選ぶもの。カメラ記者クラブの会員をはじめ、加盟雑誌の編集長 (もしくは代表者)、外部選考委員、特別選考委員の総勢47名が選考した。なお、今回から1位7点、2位4点、3位3点、4位2点、5位1点となる投票方式に変更となった。
今回の対象機種は例年より少ない17モデルだったが、「ソニー α7R V」はキヤノン、パナソニックなどの魅力的なライバル機を制しての受賞となった。
カメラグランプリ2023 大賞 上位5機種の得票結果
- ソニー α7R V : 166点
- キヤノン EOS R6 Mark II : 136点
- パナソニック LUMIX S5II : 100点
- 富士フイルム X-T5 : 65点
- 富士フイルム X-H2S : 60点
■レンズ賞は「OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO」
レンズ賞には、OMデジタルソリューションズの望遠マクロレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO」が選ばれた。撮影倍率2倍と高倍率ながらAF操作が可能で、テレコンにも対応するなど、操作性の高さが評価されたもの。
カメラグランプリ2023 レンズ賞 上位5機種の得票結果
■あなたが選ぶベストカメラ賞は「パナソニック LUMIX S5II」
一般ユーザーの投票で決定する「あなたが選ぶベストカメラ賞」は、完成度の高さやAFの進化などで人気を集めた「パナソニック LUMIX S5II」が受賞した
■カメラ記者クラブ賞は4製品が受賞
カメラ記者クラブのメンバーが先進性・話題性・大衆性の観点で選ぶカメラ記者クラブ賞には、企画賞として「ライカ M6」「キヤノン EOS R50」「プログレードデジタル CFexpress Type B GOLD 512GB」の3製品を選出。技術賞として、RAWデータを高画質化するDxO社のソフトウェア「PureRAW」を選出した。
カメラグランプリ2023 大賞
ソニー α7R V
高解像度をはじめ、AF性能や色再現性の向上などの基本性能を大幅に引き上げた点が高く評価された
ソニーα7シリーズの中でも高精細な撮影が可能な “R” の最新世代として、クラス最高の有効約6100万画素CMOSセンサーを採用。新たに搭載した「AIプロセッシングユニット」によるAF性能や色再現の向上、手ブレ補正機能の強化といった基本性能の大幅引き上げから、高解像度機のポテンシャルをより幅広い撮影シーンで発揮しやすくなったとの評価を得た。
また、背面モニターをチルト/バリアングル両対応の4軸マルチアングル液晶モニターとした点においては静止画と動画、双方の要求を満たす新たなるスタンダードを提示したとのコメントも寄せられた。
カメラグランプリ2023 レンズ賞
OMデジタルソリューションズ OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO
操作性の高さや先進性も高評価、レンズ単体で4倍相当のマクロレンズ
マイクロフォーサーズ規格としては最も焦点距離が長いマクロレンズ。最大撮影倍率は2倍 (35mm判換算4倍相当) に達し、テレコンバーターも使用可能。対応するカメラボディにおいては「最大7段分の手ブレ補正効果」や「深度合成撮影」を可能とする先進性が高く評価された。
近年においては珍しい180mm (35mm判換算) の画角は、ワーキングディスタンスを確保しやすく、風景撮影で遠景を切り取るようなシーンにおいても有効との声も。小型軽量性に定評のあるマイクロフォーサーズシステムの撮影シーンをさらに広げる1本である。
カメラグランプリ2023 あなたが選ぶベストカメラ賞
パナソニック LUMIX S5II
ハイスペックで高コスパの完成度の高さ、進化したAF機能が人気を集めた
投票時のコメントでは「LUMIXに位相差AFが付いたら鬼に金棒です」「動画対応の先進性は追随を許さない」「要望の多かった像面位相差AFを搭載して、目立たない冷却ファンも内蔵して、地味ながら完成度が高い」「ミドルクラスの中で最安の価格破壊」「ハイスペックで高コスパ、買いやすいフルサイズミラーレスとしてかなり注目されたと思います」「サイズ・性能・価格全てにおいてバランスが取れている現在のベストカメラだと思う」「AFや手ブレ補正の進化。動画の収録フォーマットが豊富なLUMIX S5IIXにも期待!」といった声が寄せられた。
カメラグランプリ2023 カメラ記者クラブ賞
【企画賞】ライカ M6
1984年の登場以来、今も中古市場で根強い人気を誇るレンジファインダーカメラの復刻版。フィルムや印画紙の価格高騰など、銀塩写真そのものが厳しい環境にある昨今、フィルムカメラのアイコンとして名高い「ライカ M6」の再登場は大きな話題となり、愛好家を勇気づけた。
【企画賞】キヤノン EOS R50
EOS Rシリーズに加わった最も手ごろなAPS-Cサイズのエントリー機。上位機に通じるAF性能の高さと、初心者向けに拡充されたオート機能の数々を評価。ネーミングの継承こそ叶わなかったものの、30年続いた「EOS Kiss」シリーズの伝統とノウハウは確かに受け継がれている。
【企画賞】プログレードデジタル CFexpress Type B GOLD 512GB
ハイエンドの「COBALT」シリーズでCFexpress Type Bの採用と普及を後押ししてきた同社が、持続書き込み速度などの高性能を維持しつつ低価格化を実現。一般ユーザーがCFexpressカードを導入する際のハードルをさらに低くしたことを評価。
【技術賞】DxO PureRAW
同社の写真編集ソフト「PhotoLab」に搭載されていたノイズ除去機能を、「RAWデータを高画質化する」というインパクトのあるメッセージとともに単体ソフト化。ごくシンプルにして明快な操作ながらも、PCの高い処理能力を生かしたさらに高度なRAW編集が認知・注目されるきっかけを作った。
カメラグランプリとは?
「カメラグランプリ」は、写真・カメラ媒体が加盟するカメラ記者クラブ (2023年4月現在で7媒体が加盟) が主催し、カメラグランプリ実行委員会の運営のもと、選考委員を組織している。選考委員は、カメラ記者クラブ会員、加盟媒体の編集長もしくは代表者、外部選考委員、特別選考委員、特別会員のTIPA (欧州を中心とした媒体およびカメラ記者クラブが加盟する写真・映像雑誌の団体) で構成。40回目の開催となる今回は、総勢47名が選考にあたった。
「カメラグランプリ2023」の選考対象は、2022年4月1日~2023年3月31日の1年間に日本国内で新発売された機種。もっとも優れたスチルカメラを選ぶ「大賞」、もっとも優れた交換レンズを選ぶ「レンズ賞」、カメラ記者クラブ会員の合議によって選ぶ「カメラ記者クラブ賞」、一般ユーザーの投票で決定する「あなたが選ぶベストカメラ賞」が設けられている。