機材レポート

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック! デザインを一新したプレミアム超広角ズームの性能は?

タムロンから、12mmの超広角をカバーするフルサイズ対応F2.8大口径ズームレンズ「12-20mm F2.8」(Model A084) が登場した。注目のニューモデルをさっそく実写チェックしてみた。

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
[発売日] 2026年8月27日 
[参考価格] ソニーEマウント用 332,200円、ニコンZマウント用 352,000円 (いずれも税込)

これまでのタムロンDi IIIシリーズ (ミラーレス専用設計) は、超望遠ズームなど一部のレンズを除き、フィルター径を67mmに統一し、小型軽量でハイコストパフォーマンスを追求した製品が大半を占めていたが、この「12-20mm F2.8」は、小型軽量化を図りつつも、徹底的に高性能化と操作性を追求したハイグレードモデルだ。

高性能12-20mmが登場! 各マウントごとの利点は?

ニコンZマウント用、ソニーEマウント用それぞれで、高性能12-20mmが登場したことの意味合いを押さえておこう。

ニコンZマウント

ニコンZマウントでは、「NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S」と「NIKKOR Z 14-30mm f/4 S」がこれまで最も広角なAFズームレンズであった。この「タムロン 12-20mm F2.8」は、ニコンZマウント用も用意されるので、ニコンZユーザーにとっては、ようやく12mmという超広角の世界を楽しむことができ、表現の幅を大きく広げられることになる。

■ニコンZシリーズで12mmズームが使えるように!

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
左が「NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S」(広角端14mm)、右が「タムロン 12-20mm F2.8」(広角端12mm)

ソニーEマウント

一方、ソニーEマウントには、「FE 12-24mm F2.8 GM」と「FE 12-24mm F4 G」という12mmをカバーする純正の超広角ズームが2本もあり、そこに第3の選択肢としてタムロン「12-20mm F2.8」が加わることになる。

特に「FE 12-24mm F2.8 GM」とはスペック的にガチ勝負になる製品だ。サイズを比較すると、「FE 12-24mm F2.8 GM」は最大径が97.6mmで、重さは約847gなのに対し、「タムロン 12-20mm F2.8」は最大径が90mmで、重さは約570g。テレ端を20mmに抑えることで前玉の小径化と約277gの軽量化が図られているのが本レンズの強みだ。

また、ソニーFEズームの2本は、今となっては比較的初期に登場した製品なので、絞りリングは非搭載。それに対し「タムロン 12-20mm F2.8」は、スイッチでクリックON/OFFを切り換えられる絞りリングや、星景撮影でピントを固定できるMFロックスイッチなど、操作ボタンやスイッチ類が充実しているのが特徴だ。

■開放F2.8では小型軽量、操作性も充実!

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
左が「ソニー FE 12-24mm F2.8 GM」(最大径97.4mm、重さ約847g)、右が「タムロン 12-20mm F2.8」(最大径90mm、重さ約570g)

 

ちなみに、ソニーEマウント、ニコンZマウントともフルサイズ対応AFレンズとして最広角なのは「LAOWA 10mm F2.8 ZERO-D FF」。77mm径のフロントフィルターも使えるのが特徴だが、単焦点なので常に10mmの画角で作画する必要がある。そのため、使うシーンや被写体を選ぶレンズだ。そういう意味では、ズームレンズのほうが汎用性や利便性に長けていて、「タムロン 12-20mm F2.8」はやはり魅力的だ。

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
ソニー α1 II タムロン 12-20mm F2.8  絞り優先オート F2.8 1/160秒 −1補正 ISO100 WB : オート

デザインと操作性

新デザイン

「タムロン 12-20mm F2.8」は、「Toned Profile Next」という新レンズデザインが採用されていて、従来のルミナスゴールドの太めのブランドリングではなく、マウント座金側面が隠れる程度の細いルミナスゴールドリングに変更。レンズ名や機能名を記した印字も白ではなく、少しグレーを帯びたシックなフォントに変わった。これまでの「DESIGNED IN JAPAN」という表記もなくなり、マウント付近に「MADE IN VIETNAM」と記されている。

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
タムロンの新デザイン「Toned Profile Next」を採用した初のレンズ
タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
細いルミナスゴールドリング

ボタン・スイッチの操作性

前述したように操作性にもこだわった仕様で、絞りリングだけでなく、物理的な機能ボタンやスイッチが充実。AF/MF切り替えスイッチ、カスタムスイッチ、フォーカスセットボタン (上/左側面の2か所)、ズームロックスイッチ、MFロックスイッチ、IRISロックスイッチ (ソニーE) / コントロールロックスイッチ (ニコンZ)、絞りリング (ソニーE) / コントロールリング (ニコンZ)、クリックON/OFFスイッチ、コネクターポートとレンズ側面に所狭しと配置されている。

■上面

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック

■左側面

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック

■右側面

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック

■下面

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック

フードやフィルターの操作性

また、12mmという超広角をF2.8の明るさでカバーするズームレンズなので、前玉が突出したいわゆる出目金レンズで、フードは固定式。ズームしてもレンズ全長は変化しないが、インナーズーム方式ではなく、鏡筒内でレンズ前群が前後に動く。ワイド端でもっとも前方にせり出し、テレ端でもっとも奥に引っ込むので、鏡筒自体がある程度フードの役割を果たしてくれる。

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
いわゆる出目金レンズでフードは固定式
タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
左がズームのワイド時、右がズームのテレ時

当然、保護フィルターなどフロントフィルターは装着不可だが、リアフィルターホルダーを装備しているので、ケンコーの「リア プロソフトン」など、シートタイプのソフトフィルターをセットできるようになっている。ちなみに、ハーフNDなどの角形フィルターは、100mm幅ではワイド端の画角をカバーできないので、150mm幅の角形フィルターと専用ホルダーの発売を待つ必要がある。

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
リアフィルターホルダー
タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
被せ式のレンズキャップ

画質をチェック

歪曲収差補正

歪曲収差をデジタル補正に任せていることに画質面への影響を懸念する人もいるだろうが、このレンズはカメラ内補正をオフにすることもでき、デジタル補正なしでも一眼レフの超広角ズームと同等か、それよりも歪みが少ないくらいの緩やかなタル型歪みに抑えられている。また、周辺部で気になる倍率色収差 (色ズレ) もほとんど目立たない。

■歪曲収差補正ON

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック

■歪曲収差補正OFF

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
[共通撮影データ] ソニー α1 II タムロン 12-20mm F2.8  絞り優先オート F4 1/100秒 +0.7補正 ISO200 WB : オート 焦点距離12mm域

光条 (サンスター)

曇り空の隙間から一瞬日が射した瞬間を狙って、逆光耐性や光条をチェックしてみた。12枚絞りと偶数枚絞りなので、絞ったときの光条 (サンスター) も12本で、非常に細くてシャープな光条が伸びる。

■タムロン 12-20mm F2.8

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
ソニー α1 II タムロン 12-20mm F2.8  絞り優先オート F14 1/125秒 +0.7補正 ISO200 WB : オート 焦点距離12mm域

■ソニー FE 12-24mm F2.8 GM

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
ソニー α1 II FE 12-24mm F2.8 GM 絞り優先オート F14 1/100秒 +0.7補正 ISO200 WB : オート 焦点距離12mm域

強い光源を画面のド真ん中に入れると、同心円状のゴーストが現れる。「タムロン 12-20mm F2.8」は、色も淡く薄いゴーストなので悪目立ちせず、超広角ズームとしては逆光に強い。ちなみに「ソニー FE 12-24mm F2.8 GM」は、太陽を画面のド真ん中に入れても同心円状のゴーストはほぼ出現せず、逆光に強い。ただし、光条の細さや鋭さはタムロンが上だ。

今回の比較対象ではないが、「ソニー FE 12-24mm F4 G」も、太陽を画面のド真ん中に入れると同心円状のゴーストが出現し、こちらはタムロンに比べると目立つ緑色のゴースト。ある意味、芸術的ですらある。

「ソニー FE 12-24mm F2.8 GM」との比較

残念ながら、レンズ貸出期間中はずっと曇りか雨で、星景撮影は行えなかったが、絞り開放でも周辺解像は非常に高く、像の流れや乱れはごく軽微。

「ソニー FE 12-24mm F2.8 GM」とも比較してみたところ、輝度差の大きな境界部分は少しだけタムロンににじみが感じられ、わずかに周辺のコントラストの低下が見られるが、同時に並べて比較してみて初めて差異がわかる程度。テレ端の20mm側では、ワイド端よりも少しだけ解像の鋭さが落ちる印象を受けたが、F2.8開放としては秀逸な解像だ。

■タムロン 12-20mm F2.8 [12mm]

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
ソニー α1 II タムロン 12-20mm F2.8  絞り優先オート F2.8 1/40秒 ISO200 WB : オート
タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
[部分拡大] 左が周辺部、右が中央部

■ソニー FE 12-24mm F2.8 GM [12mm]

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
ソニー α1 II FE 12-24mm F2.8 GM  絞り優先オート F2.8 1/30秒 ISO200 WB : オート
タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
[部分拡大] 左が周辺部、右が中央部

■タムロン 12-20mm F2.8 [20mm]

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
ソニー α1 II タムロン 12-20mm F2.8  絞り優先オート F2.8 1/40秒 ISO200 WB : オート
タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
[部分拡大] 左が周辺部、右が中央部

■ソニー FE 12-24mm F2.8 GM [20mm]

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
ソニー α1 II FE 12-24mm F2.8 GM  絞り優先オート F2.8 1/30秒 ISO200 WB : オート
タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
[部分拡大] 左が周辺部、右が中央部

最短撮影距離

最短撮影距離はワイド端で18cm、テレ端で28cm 。ワイド端でのワーキングディスタンスは約4cmしかなく、開放F2.8で撮影すれば、12mmの超広角で背景を大きくぼかした撮影も可能。近接撮影時は多少解像が緩めになるが、その分、超広角とは思えないほど後ボケは柔らかで、輪線ボケも目立たない。このボケの自然さもタムロンの魅力だ。

■12mmの最短撮影距離で撮影

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
ソニー α1 II タムロン 12-20mm F2.8  絞り優先オート F2.8 1/160秒 ISO100 WB : オート

■16mmの最短撮影距離で撮影

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
ソニー α1 II タムロン 12-20mm F2.8  絞り優先オート F2.8 1/800秒 +0.3補正 ISO100 WB : オート

一般風景から星景撮影まで活躍が期待できる

かつてタムロンには、一眼レフ用の「SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD」(A012) という超広角ズームがあった。開放F2.8と明るく、絞り開放からカメラメーカー純正と同等以上の高い周辺解像と点像性能にもかかわらず、非常にリーズナブルな実売価格だったので、星景撮影ファンからは非常に評判が高かった。

今回の「タムロン 12-20mm F2.8」も、星景写真の画面周辺までを精細に解像と特長に明記されていて、リアフィルターホルダーやMFロックスイッチなど星景撮影で便利な装備も搭載されている。

従来の「SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD」は、高い光学性能の代償として、最大径は98.4mmと大きく、重さは約1,100gと超デカ重の出目金レンズだったが、「タムロン 12-20mm F2.8」は、ミラーレス専用のショートバックフォーカス設計と、歪曲収差補正をデジタルにまかせることで、前述のように最大径が90mm、重さは約570gと、開放F2.8の超広角ズームとしては驚くほど軽量に仕上がっている。

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
ソニー α1 II タムロン 12-20mm F2.8 絞り優先オート F2.8 1/80秒 −1.3補正 ISO100 WB : オート

レンズ構成は12群17枚。XGM (大口径ガラスモールド両面非球面) レンズ1枚、GM (ガラスモールド非球面) レンズ3枚、XLD (eXtra Low Dispersion) レンズ1枚、LD (Low Dispersion : 異常低分散) レンズ3枚と、特殊硝材や非球面レンズを最適配置することで、色収差やサジタルコマフレアを大幅に低減し、絞り開放から画面周辺の高い点像性能を実現しているという。

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
レンズ構成図

「タムロン 12-20mm F2.8」には、曲率が大きい凸面レンズ全体に均一な膜厚で蒸着できるAX (Anti-reflection eXpand) コーティングと、ゴーストやフレアを効果的に抑制するBBAR-G2 (Broad-Band Anti-Reflection Generation 2) コーティングが施されていて、太陽を画面内に入れてもゴーストやフレアはごく軽微。色も淡く薄いゴーストで、超広角ズームとしては逆光にかなり強い。

タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
焦点距離12mm・F2.8開放のMTF特性図
タムロン 12-20mm F2.8 実写チェック
焦点距離20mm・F2.8開放のMTF特性図

TAMRON 12-20mm F2.8 主な仕様

モデル名 Model A084
対応マウント ソニーEマウント、ニコンZマウント
焦点距離 12〜20mm
開放絞り F2.8
最小絞り F16
画角 (対角) 121°58′〜94°30′
レンズ構成 12群17枚
絞り羽根枚数 12枚 (円形絞り)
最短撮影距離 ワイド端 0.18m、テレ端 0.28m
最大撮影倍率 ワイド端 0.172倍、テレ端 0.109倍
フィルター径 - (リアフィルターホルダー対応)
最大径×長さ Eマウント φ90×119.3mm、Zマウント φ90×121.3mm
質量 Eマウント 約570g、Zマウント 約585g
付属品 フロントキャップ、リアキャップ、ラッピングクロス