グルメ
2018/3/16 16:00

リニューアル後もあえて“アレ”はそのまま! 開発者が自信をのぞかせるキリン「生茶」の秘密とは?

キリンの「生茶」といえば、誰もが一度は飲んだことがあるはず。2000年に誕生したこのペットボトル入りの緑茶は、”お茶といえば急須で淹れるもの”だった概念を大きく変えた存在です。

 

とはいえ、競合他社からもさまざまな種類のお茶が発売され、2014年に生茶はシェア4位へと転落します。たしかにその頃は筆者も生茶を飲んでいた記憶がありません。

 

そんな生茶が3月6日にリニューアル発売されたのを記念し、開発担当者が「手作り生茶」を編集部で振る舞ってくれると聞きつけ、駆けつけてみました。新しい生茶はどこが違うのでしょうか?

↑リニューアルされた生茶

 

新しい生茶はあえて中味はリニューアルしていない

生茶といえば、実は2016年に中味とパッケージを大きくリニューアルしています。たしかに、この時期のCMや街頭広告などに女優の波瑠さんと吉川晃司さんが出ていた記憶がありますよね。たった2年でまた味が変わったのかなと思い、開発担当者であるキリンビバレッジ株式会社 商品開発研究所 飲料開発担当の塚田かおりさんに質問してみると、驚きの回答が。

↑お話を伺ったキリンビバレッジ株式会社 商品開発研究所 飲料開発担当の塚田かおりさんは、生茶以外にも無糖茶の商品開発に関わっている

 

「中味はあえて変えていません。刷新したのはパッケージだけです。」(塚田さん)

 

そう、今回のリニューアルはパッケージのみの変更で、中味はそのままなんです。ちょっと肩透かしを食らった感覚を覚えながらも、塚田さんにどうして中味を変えていないのかを伺ってみると、「なぜならお茶がおいしいからです!」と塚田さんは自信たっぷり。

 

そもそも2016年のリニューアルはどういうものだったのかをおさらいしましょう。

 

「低温抽出」と「微粉砕茶葉」で味が大きく変化

2016年のリニューアルでは、「現代に合う、おいしいお茶を作る」ことを目指したそうです。そこで、“家や急須では作れないお茶”の味を生み出すのに必要となったのが、茶葉を丸ごと摂り入れる「茶葉まるごと微粉砕」という製法。これは、セラミックボールミルを使って茶葉を細かく挽くキリン独自のもので、粒子の細かさと均一さ生まれるそうです。

↑微粉砕茶葉の製法は、同社のオリジナル製法。茶葉をそのまま食べるという発想だ

 

この微粉砕茶葉は、低温抽出されたお茶にあとから加えられており、他社のお茶では抹茶が使われることが多いのだとか。しかし、そこで抹茶を加えると、生茶のような味にはなりません。

 

とはいえ、ここまではあくまでも製法のお話。実際に飲んでみてどうなのかが気になります。そこで今回は、生茶の味わいを再現しやすい茶葉、煎茶をご用意いただき、高温と低温、抹茶入りと微粉砕茶葉入りのお茶をそれぞれ飲み比べてみました。

 

茶葉のおいしさをダイレクトに体験できる

まずは2つの急須にそれぞれスプーン1杯、約3gの茶葉を入れ、高温のお湯を入れたものと低温(70~75℃)のお湯を入れたものを作ります。抽出時間は約30秒ほど。

↑お湯を注いでから急須を回したほうがお茶が濃く出るように思いがちだが、回すのはNG。回すことで雑味が出てしまうので、フタをしてそのまま待つ

 

完成したお茶は高温のほうが緑色が濃く、低温のものは少し色が薄い印象です。それぞれ飲んでみると、味にはっきり差がありました。高温抽出したお茶は苦みが強く、低温抽出では苦みだけでなく甘みも感じられ、はっきりとバランスの良さを感じられたのです。

↑左端&左から3番目が高温抽出、左から2番目と右端が低温抽出した緑茶。低温の方が色が薄いのがわかる

 

これは茶葉から出るカテキンやカフェインの量による違いで、これらが出すぎると“苦渋み”が出てしまうそう。とはいえ、高温で淹れるお茶がマズいというわけではなく、塚田さんによると「しゃきっとしたいときには高温、リラックスしたいときは低温での抽出がオススメ」とのことでした。同じ茶葉でもシチュエーションによって味を変えられるとは、緑茶の世界も奥深いですね。

 

続いて飲むのは、製法を再現するために、その場で低温抽出したお茶に抹茶を加えたものと、微粉砕茶葉を加えたもの。見た目には違いがありません。しかし、こちらも味に大きな違いがあったのです。

↑左が抹茶を加えたもので、右は微粉砕茶葉を加えたもの。見た目だけではまったく違いがない

 

抹茶を加えたものもおいしいのですが、後味に苦渋みがあり、口に少し残ります。それに対し、微粉砕茶葉を加えたものは、甘みが強く、ゴクゴク飲めるお茶でした。

 

この甘みこそが生茶の目指すもので、2000年の発売当初から重視してきたポイントなのだとか。いまの生茶は茶葉の旨みがダイレクトに感じられるお茶だったんです!

 

実は男性にもオススメなデカフェタイプもリニューアル

5月22日には、カフェインゼロの「生茶デカフェ」が登場するそうで、ひとあし先にこちらもいただいてみました。

 

デカフェといえば、妊娠している女性やお年寄りが「カフェインは摂りたくないけどお茶やコーヒーが飲みたい」ときに選ぶものであって、なんだか味が薄そうなイメージがありませんか? かくいう筆者もそんなイメージを持っていたので、これまであえてデカフェの飲料を選ぶことはありませんでした。

 

しかし、実際に生茶デカフェを飲んでみて驚いたのは、カフェインゼロなのにしっかりお茶の味がすることです。もちろん、通常の生茶に比べれば控えめな味ではあるのですが、決して薄いわけではなく、緑茶の旨みやコクが感じられます。

 

これは今回のリニューアルにより、微粉砕茶葉の添加量を従来比2.5倍にアップしているからこそ感じられる味わいです。また、一度抽出したお茶からカフェインだけを吸着除去するキリン独自の「カフェインクリア製法」の採用により、旨みとなるアミノ酸がお茶のなかに残り、より普通のお茶に近い味わいになっています。

「お茶や紅茶を抽出したものからカフェインだけを取り除く技術はキリンだけ。香りを大切にした原料選びをしています」と塚田さん

 

塚田さんによると、デカフェ飲料は「ドライブやスポーツ観戦など、頻繁にトイレに行けないときに飲むのがいいんです。カフェインには利尿作用があるので、カフェインゼロならそんなシーンぴったりです」とのこと。また、カフェインには血管の収縮作用があるので、身体が冷えやすいという一面も。冷え性の人もできるだけカフェインの摂取は控えたほうがいいそうです。

 

あえて味を変えずに勝負する「キリン 生茶」(525ml/140円・税抜)と、よりお茶らしさが引き立った「キリン 生茶デカフェ」(430ml/140円・税抜)。生茶ならではの甘みや旨みを存分に楽しんでみてください。