年々注目が集まり、市場が右肩上がりで推移するクラウドファンディング。なかでも、グルメは人気ジャンルのひとつです。資金を調達するというシステム上、会員制レストランが多いのも特徴ですが、今回は飲食店ジャンルで資金調達額1位を記録した一軒をご紹介。
酸でおいしさを引き出す独自の超絶技巧!
この記録はいまだに伸び続けています。というのは、プロジェクトは3月いっぱいまでだから。つまり、これからでもまだ会員になるチャンスはあり。本稿では、提供される料理やお酒の一例を中心にレポートしていきましょう!
店名は「sanmi」。これは酸味・三味・三位一体をコンセプトにしているから。料理にはバルサミコ酢やアップルビネガーといったなじみのある酢から、マニアックなものまで多彩に使用。また「ビネグレットソース」という酢の効いたソースなども効かせ、複雑なテイストも演出しています。
基本的にどのメニューにも酢が効いている、となると酸っぱいのでは?と思う人もいるでしょう。でも、たとえば寿司のシャリには酢が欠かせません。また、ハンバーガーによく用いられるケチャップやピクルス、マヨネーズなどにもすべて酢が使われています。
言い換えれば、酢はおいしさを引き立てるための大切な要素。同店が掲げる三味とは、塩味・旨味・甘味のバランス感覚。ここに酸味のアクセントを加えることで、いま世界的に注目されている日本の誇り「うまみ」を引き出すことが「sanmi」のモットーだといえるでしょう。
同店の料理ジャンルは和食、イタリアン、フレンチの要素を調和させたフュージョン。また、分子ガストロノミーという科学を応用した独自の調理法を用いることで、革新的な味わいを生み出しているのも特徴です。有名なものでいえば、食材をムース状にする「エスプーマ」や、スモーキングガンによる「瞬間燻製」などがこれにあたります。
ビールは酸味の効いた「ランビック」が中心で面白い!
もちろん料理だけでなく、お酒も酸が特徴。ワインや日本酒では酸を効かせたタイプは近年注目されていますが、とはいえ日本で定番のサワーは「酸っぱい」という意味。ふだんから酸味のあるお酒にはなじみ深い国民性ですが、同店はより注力しているのです。
そのなかで個人的に興味深かったのはビール。クラフトビールのブームで、柑橘の効いた個性的なスタイルやフルーツビールが身近になっていますが、同店ではそれ以外に「ランビック」というベルギーの伝統的なビアスタイルの銘柄を中心にラインナップしています。
「ランビック」は、自然にある野生酵母による発酵と長期熟成。そして、その期間に耐えうる防腐剤として大量のホップを使用します。あくまでも防腐用なので、ホップは酸化した苦みの弱いものを使用。そのため、独特の強い酸味とチーズのような香りが特徴となります。
お店を仕切るのは、まだ若手ながらも一流の名店で腕を積んできた実力派の3人。シェフは、富裕層向け雑誌「Elite Traveler」で世界一に4年連続で輝いた、シカゴのレストラン「アリニア」で部門シェフを経験した大野尚斗さんと、料理人歴は22年、料理ごとに独自で調合したビネガーを使い分ける酸味のスペシャリスト・芳片 聡さん。そしてオーナーソムリエは、日本の自然派ワイン業界のパイオニアであるオザミグループで研鑽を積んだ野口良介さん。
冒頭でも述べましたが、会員になるチャンスはまだ開かれています。詳細はクラウドファンディングサイト「Makuake」に載っているので、気になる方はこの機会にチェックを!
撮影/我妻慶一
【SHOP DATA】
sanmi
住所:東京都港区赤坂3丁目(詳細は会員のみに公開)
アクセス:東京メトロ銀座線ほか「赤坂見附駅」徒歩3分
営業時間:ディナー18:03~24:03(L.O.22:03)、バータイム24:03~翌3:03(L.O.2:03)
定休日:不定