グルメ
お酒
2018/5/10 21:00

やっぱり、日本酒は面白い! 「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」で出合った「驚きのお酒」5選

いまや和食以外の料理店でもペアリングを推奨され、海外への輸出も盛んな日本酒。ゆえに、日本伝統の酒器ではなく、ワイングラスに注がれるケースも少なくありません。そんな観点から開催されているのが、「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」。8回目となる今回は、263蔵から過去最高の901点が出品され、最高金賞46点、金賞236点が選考されました。今回は同アワード2018の入賞酒お披露目会に参加し、その様子をレポートしていきます。

会場には、アワードで金賞・最高金賞を受賞した84の蔵元の日本酒がズラリ。ワイングラスで飲むということから、受賞酒には洗練されたテイストのものが多いというイメージを抱いていましたが、フルーティなタイプから旨みの豊かなどっしり系など、実に多種多様な銘柄が揃っていました。以下では、印象に残った5つの酒造とその銘酒を、造り手のインタビューとともに紹介します!

↑会場となった虎ノ門ヒルズのホールには、多数の日本酒ファンが来場。注目度の高さがうかがえました

 

注目の日本酒その1

アメリカの超高級レストランからのオファーもある希少な純米大吟醸「蔵光」

↑「蔵光」 菊水酒造株式会社(新潟県) 1万800円/750ml

 

大吟醸部門で最高金賞に輝いたのは、285の出品数のなかでわずか15点。なかでも、特にレアだといえるのが、菊水酒造の純米大吟醸「蔵光(くらみつ)」。ふくよかなボディに華やかさが際立つ贅沢な味わいです。数量限定の希少なお酒で、目立った宣伝活動をしていないにもかかわらず、クチコミで支持が広がっているとのこと。聞けば、生産の半分は輸出していて、アメリカの超高級レストランからのオファーも多く、「アメリカでこういうお酒を見かけたけど、本当に菊水さんの商品?」と問い合わせを受けることもあるそうです。国内では、取扱店は限られているものの、都内のある百貨店では、1店で年間数百本ものオーダーが入る例もあるのだとか。

 

造りの大きな特徴は、原料米に魚沼産コシヒカリを100%使っている点。ただ、これは挑戦ともいうべき至難の技だといいます。なぜなら、飯米であるコシヒカリは、日本酒用に作られている酒米よりも小粒で、しかも精米歩合を23%まで磨き上げているため、酒造りに大切な米の中心部「心白」も極小に。さらには水を吸うスピードが速くなるので、吸水の時間には通常以上に神経を研ぎ澄ませなければいけません。

↑23%まで磨いた魚沼産のコシヒカリの見本。ご覧の通り、極めて小さな粒になるまで削られています

 

「蔵光」は「ここまでやるか」という異次元のこだわりを貫いた成果

では、そんな貴重なお酒にはどのような思いが込められているのか、菊水酒造の安達厚子さんに聞いてみました。

↑菊水酒造 営業部の安達厚子さん

 

「『蔵光』というのは創業の地、蔵光村に由来。二度にわたる水害でその地を離れることになったのですが、原点に立ち返る当社の意思と姿勢が酒銘に込められています。それだけに特別な一本になっており、当社が130年以上で培った知見と技をつぎ込んでチャレンジしました。原料に酒米の王者・山田錦を使わず、新潟県が誇るブランド飯米・魚沼産のコシヒカリを使ったことも、当社の進取の精神の現れ。『ここまでやるか』という異次元のこだわりを貫いた結果です。華やかな香りをワイングラスで楽しんでいただくことも想定していたので、今回、名誉な賞をいただけて喜びもひとしおですね。ちなみに、ボトルに映し出された一筋の光は、菊水の酒造りに対する一点の想いが大きな灯りとなり、上昇していくイメージを表しています。人生を照らす光のように、慶事や人生の節目を祝う特別な日に選んでいただけたら」(安達さん)

↑同じく菊水の「無冠帝 吟醸 生詰」は720mlで1190円。心地よい旨みとキレのよさが共存するバランスの取れたお酒で、こちらもワイングラスがよく合うお酒といえます

 

注目の日本酒その2

ひとくちで「旨い」とうなる絶妙な味わい「燦爛 純米大吟醸 原酒」

↑「燦爛 純米大吟醸 原酒」 株式会社外池酒造店(栃木県) 3399円/720ml

 

次に取り上げるのは、「蔵光」と同様、大吟醸部門で最高金賞を受賞した「燦爛(さんらん) 純米大吟醸 原酒」。本品を醸した栃木県の外池(とのいけ)酒造店は、首都圏中心の特約店に卸す「望bo: 」という銘柄で評価が高まりつつあり、国内最大の日本酒コンペ「SAKE COMPETITION 2016」では純米吟醸部門の2位を獲得した実力蔵です。「燦爛 純米大吟醸 原酒」は、「酒米の王様」といえる山田錦を45%まで磨いて使用しており、一見、王道の大吟醸に見えますが、実は、使用米の95%が栃木県産(※)という地元愛のあふれる一本。澄み切ったボディのなかに鮮烈なインパクトが光る絶妙な味の構成で、ひとくちで「旨い」とうなる味わいです。

※山田錦の名産地としては兵庫県が著名

 

これからも「味」で日本酒の付加価値を作っていきたい

受賞作について、今年38歳になるという同社の杜氏、小野 誠さんにお話を聞いてみました。

 

「地元ではこの燦爛という銘柄がメイン。こちらは県内産の山田錦を使った思い入れのある1本で、飲んだ瞬間においしさが伝わる、あえてわかりやすい酒で勝負しました。造りで心がけているのは、『掃除の徹底』です。お酒にあってはならない香り、『オフフレーバー』を防ぐために掃除は重要。酵母が出す純粋な香りを守るため、布を湯釜で殺菌するなどの基本的な作業が重要になってくるんです」

↑左から、外池酒造店の杜氏・小野 誠さんと、醸造課頭の神田晃道さん。小野さんが持っているのはプレミアム純米部門で金賞に輝いた「望bo: 純米吟醸 無濾過生原酒」1769円/720ml

 

なるほど、そういえば入手困難酒の代表格、「而今(じこん)」の杜氏さんも「蔵の清潔さが大切」とおしゃっていました。地味ですが、こうした基本がもっとも大切なのですね。ちなみに、せっかく現役の杜氏さんがいらっしゃっているので、ワインなどに比べて日本酒が「手間がかかる割に利益が少なすぎる」と言われる現状について聞いてみました。

 

「日本酒はお父さんが晩酌に飲むイメージがあり、付加価値をつけるのが難しいのが現状。しかし、並行複発酵を行う日本酒は、明らかに単発酵のワインに比べて手間ひまがかかっています。ですから、日本酒の価値がもう少し認められてもいいという思いはあります。その点、今回の受賞作は1本3000円超と高価。だからこそ、飲んだ人に『失敗した…』とは思わせたくないですし、『この味なら、全然高くないよ!』と言われる味を目指して造りました。もちろん、手が届かない価格のものばかりではいけませんが、これからも『味』で日本酒の付加価値を作っていけたらと思っています」

※並行複発酵……デンプンの糖化と糖のアルコール発酵を同一容器で行う方式。果汁に糖が含まれ、発酵のみを行う(単発酵)ワインと比べて複雑で手間のかかる工程となります

 

  1. 1
  2. 2
全文表示
TAG
SHARE ON