グルメ
2018/5/12 11:00

皮まで食せる日本産バナナ!大発明と称される「ともいきバナナ」が世界を救う

ゆっくり凍ることで環境に強いバナナが誕生した

田中さんは、もともとは海運や造船業関係の実業家。博士でも農家でもありませんでしたが、子どものころからバナナが大好きでした。しかも、当時のバナナはもっとおいしかったという記憶があり、約40年前から趣味で研究を重ねていたそうです。そこでわかったのは、昔の品種は「グロスミシェル」、いまの品種は「キャンペンディッシュ」であること。そして前者は1960年代に流行した「パナマ病」で、ほぼ絶滅していたのです。

↑手前は「グロスミシェル」の同種を復活させた「ともいきバナナ」。奥が普通に売られている「キャンペンディッシュ」のバナナ。前者は皮がやわらかく、ねっとりとした食感と豊かな甘みがあります

 

「でも、なんとかしてあのバナナを食べたい」。そう思い続けた田中さんは沖縄でハウス栽培を始め、試行錯誤に明け暮れます。しかし、なかなかうまくいきません。そんなある日、奄美大島の特産品である植物「ソテツ」のドキュメンタリー番組を見て、なぜ「ソテツ」は5億年以上前から存在し、何度も氷河期を乗り越えることができたのか、を不思議に思いました。「もしかして、凍ったことで遺伝子に変化が起こったのでは?」。これが「凍結解凍覚醒法」のヒントになったのです。ポイントは、急速ではなくゆっくりと凍結させること。

 

↑田中さん。「一度凍らせることで、バナナの生命力がより磨かれるのかもしれません。これも、冷温に強くて育成スピードが早い理由といえるでしょう」

 

そしてもうひとつ、「ともいきバナナ」の大きな特徴に、皮まで食べられることが挙げられます。この理由は、農薬を使っていないから。普通は農薬を使わないと、病原体にむしばまれやすくなってしまいます。でも「ともいきバナナ」は、炭素の効果で免疫力を高める新技術によって、無農薬栽培を実現。この技術も、田中さんが開発した画期的な農法です。

↑薬を使わず、普通に苗を放っておくと、田中さんが持っているパネルの左側のようにカビが生えてきてしまいます。でも、田中さんが開発した竹炭を活用する培養技術であれば、スクスク育ちます(右側)

 

いま、世界のバナナは「新パナマ病」におびやかされています。これは農薬や化学肥料を使用し続けた結果、それに耐性を持った新種で、中国やフィリピンなどでは不作が懸念されているとか。そこで、田中さんは「ともいきバナナ」の新技術でこれを救えないか取り組むそうです。また、日本国内の耕作放棄地を活用して、全国規模でのバナナ生産を目指すとも。

↑現在田中さんが研究を進めている新品種のバナナ。インパクトのあるサイズ感が大きな特徴で、3年後には発売できるようにしたいと意気込んでいます

 

さらには、バナナ以外の南国作物であるコーヒー豆、パイナップル、カカオ、カシューナッツなどを国内で栽培、収穫することにも成功しているとか。これら数々の事例が世界的に注目され、「日本の農業を変える」「世界の作物を救う」と期待されています。

 

 

「ともいきバナナ」はオンラインショップや、三重県伊勢市の「伊勢安土桃山城下街」というテーマパークで販売中。まだまだ希少なため1本877円とかなり高価ですが、贈答品にはぴったりかもしれません。育成期間が短いこともあり、増産体制が整えば身近な価格になってくると思いますが、とにかく注目すべき逸品といえるでしょう!

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