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2018/6/29 16:00

世界的カクテルブーム、ついに日本上陸! カクテルの奥深き世界と「すべらない3銘柄」

日本ではウイスキーやレモンサワー、クラフトビール、日本酒などがお酒のトレンドですが、世界を見るとカクテルが活況です。これは特にバー業界が中心ですが、日本でもバーではカクテルの人気が徐々に高まっており、セミナーやイベントも頻繁に開催されています。そこで今回は3つの催しを取材したなかから、カクテルで注目の銘柄とレシピを紹介していきましょう!

 

【その1】老舗「BOLS」が放つクラシカルモダンな人気銘柄「ジュネヴァ

最初は「BOLS」(ボルス)。色味が鮮やかでバリエーションも豊富なことから、ご存知の方も多いでしょう。その知名度は海外でも高く、世界110か国以上のバーテンダーがカクテルに使用し、日本やアメリカを中心に多数のバーが愛用。数でいえば、なんと年間5億杯ものカクテルが提供されているとか。

↑フレーバーは30種以上ですが、フラッグシップは中央の「ボルス ブルー」。世界No.1のブルーキュラソーとして愛されています

 

そんなボルスは意外かもしれませんが、1575年にオランダで誕生した超老舗。世界に現存するなかで、最も歴史あるスピリッツメーカーといわれています。そしてその伝統を受け継ぎながら進化し、いま最も注目されているのが「ボルス ジュネヴァ」。有名な、ロンドン ドライジンの原型となったスピリッツです。

↑「ボルス ジュネヴァ」。ライ麦、トウモロコシ、小麦を蒸溜して得られるスピリッツに、ジンに欠かせない「ジュニパーベリー」などの植物蒸溜液がブレンドされています

 

「ジュネヴァ」と名乗れるのは、オランダと一部の近隣地区で生産されるスピリッツのみで、品質も折り紙付き。このブランドが2008年に装い新たに再登場したことで、バー業界で盛り上がるクラシックカクテルのリバイバルに拍車をかけ、再注目されることとなったのです。

 

↑イベントには「ボルス アラウンド ザ ワールド チャンピオンシップ2017」優勝者のジェシカ・ミリさん(左)と、ボルスのマスターバーテンダー、イヴァール・ランゲさん(右)が来日してカクテルを作ってくれました

 

↑カクテルは左から「スティルライフ」「ウーマンインホワイト」「レッドライト ネグローニ」「ジュネヴァブラッサム」

 

ボルスのイベントでは、「ジュネヴァ」を使ったカクテルを飲ませてもらいました。「スティルライフ」はシナモンやレモン、塩漬けのフェンネルシロップなどのカクテルですが、どこか梅のような和のニュアンスがあって革新的。また、「ジュネヴァブラッサム」はカカオクリーム、ラズベリーシロップ、黒胡椒、ライムなどが入った一杯で、複雑な要素がありながらもクリーミーでスパイシーという、ファンタジックな味わいでした。

 

いまの世界的にはクラフトジンが人気ですが、一風違ったトラディショナルモダンなスピリッツとして「ジュネヴァ」は要注目といえるでしょう!

 

【その2】ビターテイストが再評価される大人気の「カンパリ

次は「CAMPARI」(カンパリ)。こちらも、鮮やかな深紅のボトルで世界的に有名な銘柄ですが、まずはブランドのおさらいから。素材は様々なハーブや果実から作られており、誕生したのは北イタリアの小都市・ノヴァーラ。以来150年を超える歴史を持ち、いまや世界190か国以上で愛飲されています。

 

↑カンパリのイベントでは、ナショナルブランドアンバサダーのダニエレ・ピロッタさんがカクテルをサーブ

 

カンパリの特徴は、鮮やかな赤色と独特のほろ苦い味わい。食前や食中酒として愛されていますが、現在、この苦みこそが“ビターテイスト”として再注目されています。これは、サラダにおけるケールに人気が出たり、日本の抹茶が世界的なブームになっていたりという状況が物語っていることと同様。食の多様化などが進んだことで、世界的にビターテイストリバイバルが起こっているのです。

 

↑中央が、スパークリングワインとエルダーフラワーシロップをブレンドした「カンパリ ミラノ」。右がパイナップル、パッションフルーツ、レモン&グレープフルーツシャーベットでシェイクした「シェケラート アラ フルッタ」

 

日本でカンパリというと、カンパリソーダやカンパリオレンジが有名かもしれません。でも、海外はちょっと違います。しかも、世界のカクテルトレンドをけん引しているリキュールのひとつがカンパリでもあるのです。


↑2位のネグローニ、13位のブールバルディエ、32位のアメリカーノはカンパリをベースとしたカクテルです

 

改めて確信したのは多様性。ソーダで割るだけでも簡単にカクテルができ上がり、ほかの素材との相性も抜群。これは柑橘によるしっかりした酸味と、ビターテイストによるキレや深みがそうさせているのでしょう。自宅用に買うのはもちろん、バーでもぜひカンパリのカクテルをオーダーしてみてください!

 

【その3】リッチな味でアレンジもしやすい「ウッドフォードリザーブ

最後はスーパープレミアムバーボンの「Woodford Reserve」(ウッドフォードリザーブ)。バーボンと聞くと、男らしくストレートやロック、またはハイボールなどのイメージがあるかもしれませんが、実はカクテルの世界でも大人気。その証拠に、上記のカクテルランキング1位の「オールドファッションド」のベースは、バーボンなのです。

 

↑「オールドファッションド」。この日はアンゴスチュラ・ビターズという酒と砂糖でステアし、オレンジピールがアクセントに

 

↑こちらはよりアレンジを効かせた、抹茶のオールドファッションド。抹茶の渋みがありながらも、ウッドフォードリザーブとうまく調和して絶品!

 

ちなみに、バーボンとはアメリカンウイスキーの多くを占めるジャンルのひとつで、トウモロコシを51%以上使用していること、内側を焦がした新樽を用いることなどがその条件。価格帯や、熟成年数によってスタンダード(3~4年)、プレミアム(5~8年)など分けられ、スーパープレミアムは6~10年、またはそれ以上寝かせたふくよかな味わいが特徴です。

 

↑ウッドフォードリザーブはセミナーに参加。会場では製造元である、ブラウン・フォーマン ビバレッジス ジャパンのブランドマネージャー・奥村龍太郎さんがレクチャー

 

世界中のバーを席巻する、バーボンカクテル。そしてバーテンダーからこよなく愛されているのがウッドフォードリザーブなのです。その理由は、スーパープレミアムにふさわしいリッチなボディがありながらも、きわめてまろやかな口当たりになっているから。より詳しく、奥村さんが教えてくれました。

 

「バーボンには、例えばスコッチウイスキーのようなスモーキーフレーバーはありません。一方で焦がした新樽由来の香りや甘味がありながらも、やさしくて飲みやすいお酒なのです。つまりは汎用性が高く、アレンジがしやすい。そんなバーボンのなかでも特に汎用性に秀でているのがウッドフォードリザーブなんですよ。だから世界中のバーテンダーから愛されており、カクテルがオススメなのです!」(奥村さん)

 

↑ウッドフォードリザーブは、全米で屈指の知名度を誇る伝統的な競馬レース「ケンタッキーダービー」のオフィシャルバーボン。毎年、ダービー限定ボトルが発売(日本では未発売)され、ファン垂涎のアイテムとなっています

 

セミナーでは「オールドファッションド」と双璧をなす定番のバーボンカクテル「ミントジュレップ」と、フードペアリングも体験。カクテルの味わいはミントの清涼感とウッドフォードリザーブのまろやかな甘みが相まった、上品で爽快なおいしさ。

 

↑セミナーのフードとして、ドライクランべリーとパルミジャーノレッジャーノチーズが登場

 

ドライクランべリーはしっかりした酸味と熟成感のあるほのかな甘味が、ウッドフォードリザーブのフルーティな香味と見事に調和。一方でチーズが持つ濃厚な塩味と旨味は、ウッドフォードリザーブの特製とぶつかり合うことなく、おいしい一体感が生まれます。

 

↑カンパリをはじめ、様々なカクテルのブースが集まった「東京カクテル7デイズ 2018」の模様。大盛況でした

 

今回は「ボルス ジュネヴァ」「カンパリ」「ウッドフォードリザーブ」とキャラクターの異なるブランドを紹介しましたが、カクテルを飲む際にはまずこの3つを覚えておけば間違いはありません! 星の数ほど多彩なレシピがあるカクテルですが、本稿を参考に、ぜひ新たなおいしさとの出合いを!

 

飲酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。