遅めランチも深夜晩酌も大宴会もウェルカム
餃子はもちろん鉄壁のおいしさだ。しかしパンチがあるという表現は似つかわしくなく、どこかやさしい。料理長に聞くと、「餃子以外も食べてほしいから、そういう味にしているんです」という。言い換えれば、どんな料理にも寄り添う餃子ということだろう。確かに同店のメニューは麺、丼、定食、つまみと多彩で、総数もかなり多い。なかには、中華としては珍しい肉の部位を使う一皿もある。
豚の首であるトントロは、豊かな脂と独特のシャコっとした歯ごたえをもつ焼肉の定番部位。甘くシャキっと炒められたねぎ、コリっとしたきくらげと調和して絶品だ。時代の嗜好などに合わせて開発した、比較的新しいメニューとのことだが、その傾向はほかの料理にも。
これら一品料理には200円で「ライス」を付けられ、それを定食として楽しむお客も多い。また、奮発して360円の「半チャーハン」をオーダーするという選択肢もある。ちなみにこの「半チャーハン」、セットでなければ注文できない的な“縛り”がないのもうれしい。
半ライスはあっても、半チャーハンをアラカルトで提供してくれる店はそう多くない。だが「三幸園」はアリなのだ。だから、酒のシメに少しだけ飯物を食べたいというニーズに応えてくれる。また酒飲みに対する理解はほかにも見られ、たとえば宴会向けの大皿メニューが豊富に用意されている。
唐揚げのほかに酢豚、かに玉、海老チリなど様々な定番中華が大サイズとなっており、ハーフサイズでのオーダーもできる。事実として宴会は多く、その証拠が大皿メニューなのだが、それだけの大人数を収容できる席の多さも同店の特徴だ。その数、なんと126席。
中心的存在の餃子を司令塔に、脇を固める多彩なメニューの数々。おひとり様のランチや晩酌でも、サシ飲みの2人組でも、数人から大所帯の宴会でもいい。すべてを受け入れ、望み通りのひとときを過ごさせてくれる。そんな安定感抜群の味と空間が、常時お客が絶えない人気の理由なのだ。
なお、前述したように神保町といえばカレーの街としても有名。とはいえ同店を含む駅の約50m圏内は、日本屈指の中華激戦区でもある。上海蟹の「新世界菜館」、冷やし中華の元祖的存在「揚子江菜館」、ノスタルジックな餃子店「スヰートポーヅ」が点在する奇跡のエリアなのだ。神保町の老舗中華四天王といえる陣営だが、使い勝手のよさでいえば「三幸園」に軍配が上がるだろう。この界隈で遅めのランチ、または深夜の晩酌というシーンが訪れたら、ここに救いを求めるべし!
撮影/我妻慶一
【SHOP DATA】
三幸園
住所:東京都千代田区神田神保町1-13 1~3階
アクセス:東京メトロ半蔵門線ほか「神保町駅」A7出口徒歩1分
営業時間:月曜~木曜11:00~翌2:30/金曜11:00~翌3:30/日曜、祝日11:00~23:30(各L.O.30分前)
定休日:土曜