2017年、前年比約108%に伸長したといわれる鍋つゆ。最近では単身世帯の増加に伴い、個包装の商品が増加。さらに味にも今年ならではのトレンドが。プロと一緒にチェックしました!
【チェックした人】
フードアナリスト・中山秀明さん
食のトレンドに詳しい。鍋を調理する際は、餃子とソーセージを入れるのが鉄則。最近は羊肉の鍋に注目しています。
2018-2019の鍋つゆは「3つのタイプ」で読み解ける
冬の定番料理といえば鍋です。家で作る際に、市販の鍋つゆを使う人は多いでしょう。そんな鍋つゆにはトレンドがあり、今季も多彩な新商品がズラリ。それらを見ると、大きく3タイプに分類できます。
ひとつは「だし鍋」。これは「鯛」や「あご」など、素材のうまみを存分に楽しめる新勢力です。また今夏に山椒を使ったピリッと辛い料理が流行ったことから、「ピリ辛鍋」も話題。辛いだけでなく、四川山椒の「花椒」などを使った刺激的な味が特徴です。
さらに「具材引き立て鍋」も見逃せません。肉、白菜、かきなど、使う具材のうまみを最大限引き出せるよう計算されたつゆを指し、レシピ通りに作ると真価を発揮します。本稿ではこれらの新商品に、個性が光る「変わり種」を加えた計13の鍋つゆを紹介。ふだんの食卓はもちろん、家で忘年会や新年会を行うなら、ぜひお試しあれ!
【だし鍋】編
味は繊細ながらも、どっしりとしたうまみを楽しめるつゆ。香り高いのも特徴で、なかには高級素材を採用し、手ごろな価格で上品な味わいを楽しめる商品も。
【その1】力強く贅沢な海の幸のうまみが凝縮した味わい
味の素
鍋キューブ 鯛と帆立の極みだし鍋
実売価格361円
鯛、ほたてのだしをベースに、かにと昆布のうまみを効かせたしょうゆ味。あっさりしていながらコク深いのが魅力です。キューブ1個で1人前なので、簡単に量を調整できるのも特徴。【個包装】【希釈タイプ】【1人前×6個】
【〆のオススメ】雑炊
リッチなだしを生かし海鮮だし雑炊に。溶き卵を回し入れればさらにおいしく仕上がります。薬味に柚子こしょうやのりを加えるのもオススメです。
【5段階チェック】高級な和食を思わせる贅沢な味
【コスパ:5】【コク:5】【万能度:5】【だし感:4】【とろみ:2】
「海鮮系の重厚なうまみには円熟したまろやかさがあり、料亭や割烹といった高級和食を思わせる味。ほんのりと甘味もあって、飽きないおいしさです」(中山さん)
【その2】かつお節と鶏がらのだしでやさしい味
にんべん
だしが世界を旨くする コク味醤油
378円
国産のかつお節を軸とした魚介のうまみに、鶏がらだしをブレンド。そのうえで、キレのいい濃口しょうゆとコク深いたまりじょうゆを加えています。化学調味料が無添加な点も魅力です。〆はうどんがオススメ。【個包装】【希釈タイプ】【1人前×4袋】
【5段階でチェック】老舗の矜持を感じる高い完成度
【コスパ:3】【コク:3】【万能度:5】【だし感:4】【とろみ:2】
「かつお節だしのうまみがじんわり広がり、余韻が豊か。王道のしょうゆ味なので、煮物など汎用性も高いです。にんべんの底力を感じました」(中山さん)
【その3】重層的なしょうがの爽やかさと辛味が◎
ミツカン
こなべっち 鶏だし生姜鍋つゆ
実売価格378円
鶏のだしをベースに、しょうがはパウダーとエキス、おろしで重層的に調合。さらにコラーゲンもプラス。あっさりしていてコクのある味と、しょうがの爽やかな香り、辛味が楽しめます。〆のオススメは雑炊。【個包装】【希釈タイプ】【1人前×4袋】
【5段階チェック】クセの強い食材に負けない風味
【コスパ:3】【コク:3】【万能度:4】【だし感:3】【とろみ:1】
「しょうがが秀逸! 肉はモツや羊、魚はかきや白子など、クセの強い食材でも負けずにひきたてあうでしょう。水ではなく豆乳で溶くのもオススメ」(中山さん)
【その4】だし原料を発酵させた深いうまみとコク
キッコーマン
発酵だし あごだし鍋つゆ
389円
かつお節と、大豆を原料としたおからを麹の力で発酵させた「発酵だし」を使用。自然の恵みが生み出す深いうまみとコクで、化学調味料は無添加ながらも満足感のある味を楽しめます。〆のオススメは雑炊。
【個包装】【希釈タイプ】【2人前×2袋】
【5段階チェック】力強いが角のとれた染み渡る味
【コスパ:3】【コク:4】【万能度:4】【だし感:4】【とろみ:2】
「焼きあごだしのパワフルなうまみに、照りのあるしょうゆのコクがベストマッチ。力強くも角のとれた、まろやかで身体に染み渡るおいしさです」(中山さん)
【ピリ辛鍋】編
辛い鍋は冬鍋の定番です。なかでも2018年は、山椒や花椒の痺れるような刺激と爽やかな香りが特徴の商品がトレンドです。
【その1】108円の安価で楽しめる“辛しび”の恍惚
ローソンストア100×永谷園
四川風麻辣鍋つゆ
108円
スープは米みそとポークエキスがベースになっており、コクと甘味を増強。辛味には唐辛子と花椒を加えることで、しびれる刺激とクセになる風味を同居させています。108円という安さも魅力。〆のオススメはラーメン。【使い切りパック】【ストレートタイプ】【2人前】
【5段階チェック】痺れ好きは追加で花椒を
【コスパ:5】【コク:2】【万能度:3】【ピリ辛度:4】【とろみ:1】
「辛さは十分ですが、痺れは通常レベル。痺れに慣れている人は、別途花椒を入れるといいかもしれません」(中山さん)
【その2】辛味スナックの金字塔が鍋つゆに!
ダイショー
コイケヤ監修 カラムーチョ鍋スープ ホットチリ味辛口
実売価格248円
名作「カラムーチョ ホットチリ味」のフレーバーを再現すべく、本家・湖池屋と共同開発。鶏、にんにく、玉ねぎのうまみと唐辛子を効かせ、コクと辛さを前面に出しています。中辛もあります。〆のオススメはリゾット。【使い切りパック】【ストレートタイプ】【2〜3人前】
【5段階チェック】あの味は鍋になってもおいしい
【コスパ:4】【コク:4】【万能度:3】【ピリ辛感:4】【とろみ:2】
「辛さは十分。それ以上にカラムーチョの味の再現性が高く、意外ながら鍋つゆでも超ウマい!」(中山さん)
【その3】刺激的な麻辣味を別添えスパイスで調整
オリジナル
火鍋の素 2〜3人前
345円
コクのある滑らかな白湯スープと、花椒や唐辛子などによる刺激的な麻辣をブレンド。別途でクコの実、唐辛子、クミンをブレンドしたスパイス袋が付き、辛さを調節できます。〆のオススメはラーメン。【使い切りパック】【希釈タイプ】【2〜3人前】
【5段階チェック】エスニックで羊肉が合いそう
【コスパ:2】【コク:4】【万能度:2】【ピリ辛感:3】【とろみ:3】
「別袋にはクミンシードがそのまま入り、エスニック感も満点。肉はマトンやラムがイチオシです」(中山さん)
【具材引き立て鍋】編
具とのベストマッチングを追求した、その食材専用ともいえる鍋つゆに注目です。“インスタ映え”に着目した商品もあって面白いです。
【その1】匠が監修した詳細レシピ付きの肉鍋用だし塩つゆ
ヤマサ醤油
ヤマサ匠鍋 金ごま塩だし肉鍋つゆ
378円
肉マイスターとして知られる、田辺晋太郎さんが監修。ごまが効いた塩だしのつゆに、煮干しやしょうがを効かせて奥深い味に。袋や公式サイトに詳細レシピが載っているのも特徴です。〆のオススメはラーメン。【使い切りパック】【ストレートタイプ】【3〜4人前】
【5段階チェック】豚の脂が溶けてよりウマい
【コスパ:3】【コク:4】【万能度:3】【具材引き立て度:4】【とろみ:3】
「豚の脂が溶け込み、甘味が出るところまで考えられている気がします。香ばしさを足すならごま油を加えると◎」(中山さん)
【その2】肉のうまみと野菜だしにごま油の香りをプラス
モランボン
白菜鍋用スープ やみつきごま油味
378円
干ししいたけ、豚骨、地鶏のうまみに野菜だしを重ね、焙煎したごま油をプラス。そのうえに薄口しょうゆがほんのりと重なり、クセになる味わいのスープが白菜を包み込みます。〆のオススメはちゃんぽん風ラーメン。【使い切りパック】【ストレートタイプ】【3〜4人前】
【5段階チェック】白菜の甘みと見事に調和
【コスパ:3】【コク:2】【万能度:3】【具材引き立て度:5】【とろみ:2】
「ごま油が芳醇に香るものの、油っこさは感じないまろやかな味。白菜の甘味とも見事に調和します」(中山さん)
【その3】豆味噌を生かした土手鍋風の味
万城食品
鮮魚の達人推奨 魚屋の鍋つゆ かきの土手鍋風
258円
豆味噌のしっかりとしたコクと風味が、かきのうまみを生かす、「土手鍋」風の味。化学調味料が無添加なのもうれしいです。魚のエキスパート集団「鮮魚の達人」山根代表が推奨。〆のオススメはうどん。【個包装】【希釈タイプ】【1人前×4袋】
【5段階チェック】そもそもかきの味が凝縮してる
【コスパ:5】【コク:5】【万能度:5】【具材引き立て度:4】【とろみ:2】
「つゆ自体に濃厚なかきの風味が凝縮されています。〆にうどんを入れると、名古屋の味噌煮込みうどん風に」(中山さん)
【まだ物足りないあなたへ】変り種鍋つゆで脱マンネリ!
多様化する食シーンに応じて、鍋つゆも進化しています。そのひとつが個性を効かせた変わり種です。鍋の味にマンネリを感じたら試すべし!
大阪王将の餃子を鍋で楽しむ
餃子の名店・大阪王将の餃子鍋を自宅で楽しめる「大阪王将 生姜香る餃子鍋つゆ」も登場。濃厚な鶏白湯と焦がしにんにく油のコク、しょうがの香りが絶妙なおいしさです。
つけだれ不要のしゃぶしゃぶ用鍋つゆが登場
エバラ食品から発売されたユニークな商品が、しゃぶしゃぶ用の鍋つゆ「なべしゃぶ」です。香味油の働きで、つゆにくぐらせるだけで味が絡み、程よい酸味がうまみを引き立てます。
日清食品チルドの麺と鍋つゆがコラボ
日清食品チルドとミツカンが「麺の達人 〆まで美味しい 鍋用生うどん/生ラーメン/ちゃんぽん麺」と要冷蔵の「〆まで美味しい鍋つゆ」を共同開発。つゆは麺に合わせた3種。