数年前に巻き起こった、コンビニコーヒーやサードウェーブコーヒーのメガブレイク。すっかり定着した感はありますが、それ以後もコーヒー業界では新たな商品やサービスが続々誕生しています。そのひとつが泡のアイスコーヒーということで、業界大手であるキーコーヒーの体験会に参加。最新トレンドに触れてきました。
泡が味を変える理由にはフォームの特性が関係していた
コーヒー好きの人なら、カプチーノとは違ったタイプの泡がのったアイスコーヒーを知っているでしょう。これは一般的に「ナイトロコールドブリューコーヒー」と呼ばれるもので、ブームの発端はアメリカ。同国はコーヒートレンドの先進国でありながら、実はアイスコーヒーが文化としてなかなか根付きませんでした。そんななか、2016年ごろに登場したのが「ナイトロ~」で、水出しコーヒーに窒素を加えて泡を生み出していることが特徴です。
日本の業界で先駆けて「コールドクレマ」が登場したのは2017年。そこで得た知見などを元に、イベントではこの泡に関する研究の一部が明らかにされました。それが、泡がコーヒーの味にもたらすメリットです。
泡の柔らかなタッチが口当たりをまろやかにすることは、なんとなくイメージできると思います。そのほかに、重要な役割となっているのが「フタとしての効果」だと大塚主幹。香りが飛ぶことを防ぎ、コーヒーのおいしさをより長持ちさせる効果があるのです。これは、ビールの泡にも同じことがいえるでしょう。
風味に関する部分では、さらなる泡の効果も。コーヒーの泡は余分な苦みや焦げ成分を移行させる性質をもち、水出しコーヒーの特徴である甘味や苦みの柔らかさを、より引き立ててくれるのです。
改めて、飲み比べて実感。泡のあるほうが香りやコクが豊かかつ、まろやかでありながらすっきりした味であることがわかりました。香ばしいアロマや甘やかな酸味がしっかりした、コーヒー好きに応える味わい。それでいて過度な苦みがないので、コーヒーを苦手な人でもおいしく飲めること間違いなし。この絶妙なテイストは、ぜひ体感してほしいと思います。
アイスコーヒーは季節や時間を問わず飲まれるようになる
イベントの後半は、「コールドクレマ」を使ったアレンジドリンクの紹介。「佐奈栄学園カフェズ・キッチン」の学園長で、日本カフェプランナー協会の会長でもある富田佐奈栄先生が実演してくれました。
先生が今回プレゼンしたのは、インスタ映えを意識したアイスコーヒードリンク。青いゼリーを活用し、さっぱり感と苦味を両立させた「空色コールドクレマ」や、まろやかなスイーツ感覚で楽しめる「バナナとオーツ麦の豆乳スムージー&コールドクレマ」などの4種類を作ってくれました。
「コールドクレマ」としても、今回のようなアレンジに着目。秋冬にはスイーツ的なアイスコーヒーメニューを、また夜間にはコーヒーカクテルの提供を提案するなど、これまでアイスコーヒーが飲まれなかった季節や時間帯での飲用シーンをいっそう推進していくそうです。
冒頭でも触れましたが、コーヒーの多様性は様々な形で広がっています。たとえば、同じくキーコーヒーが焙煎の体験・シェアをできる「CRAFT SHARE-ROASTERY 錠前屋珈琲」をオープンしたり、コーヒー器具の国内大手「HARIO」が、持ち運びに便利なミルをクラウドファンディングで先行発売したり。
また今夏の最新トピックスとしては、有名なカフェがパン店を手掛ける取り組みに注目。スターバックスがイタリア・ミラノ発のベーカリープリンチを代官山にオープンしたり、猿田彦珈琲が「オキーニョ」というベーカリーブランドをプロデュースの形で池袋にオープンしたりと、ますますコーヒーシーンは面白くなっています。
猛スピードで広がるコーヒーの多様な世界。今回紹介した泡のアイスコーヒーはその一部にすぎませんが、夏本番を迎えたいま、街中で「コールドクレマ」のディスペンサーを見つけたらぜひ飲んでみてください。
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