グルメ
お酒
2020/3/22 17:30

あえてノンアルビールといわないのはなぜ? キリンの新作「グリーンズフリー」は麦汁感がポイント

いまやすっかり定着した、ノンアルコールビール。そのパイオニア「キリンフリー」を生み出したキリンが、この市場に新たな商品を投入します。それが4月3日に新発売となる「キリン グリーンズフリー」。

↑「キリン グリーンズフリー」は、350mlで実勢価格137円(税抜)予定。どんな特徴があるのでしょうか

 

本稿では、発売する背景や理由、製法や味わいといった商品特徴を、市場を取り巻く状況とともに解説していきたいと思います。

 

ノンアルビールには積極的に飲みたくなる“革命児”が必要だ

誕生の理由には、ノンアルコール飲料市場のトレンドがあります。ノンアルコールのドリンクは世界的な潮流であり、アルコールを使わないカクテル「モクテル」が日本でもじわじわ話題になるほか、ハイネケンの地元オランダで「ハイネケン0.0」が発売されるなど、広がりを見せています。

 

↑日本でも、「キリンフリー」が誕生した2009年からの10年間で、商品数は13から32に拡大しています

 

開発の背景には、健康志向の高まりや嗜好の多様化のほかに、適正飲酒の啓発もあるとか。また、昨今SDGs(持続可能な開発目標)が提唱されるなか、その目標のひとつは「すべての人に健康と福祉を」。嗜好を満たしながらも健康を目指すことが、より大切となってくるのです。

 

そのうえで、なぜ新作なのでしょうか。これは前述した嗜好の多様化というより、ニーズの多様化が関係しています。キリンの既存商品には、日中や運転があるときなどに飲まれる「キリン 零ICHI(ゼロイチ)」と、休肝日やダイエット中などに飲まれる機能性表示食品「パーフェクトフリー」と「キリン カラダFREE」があります。

 

↑2019年10月に発売された「キリン カラダFREE」。独自素材「熟成ホップエキス」がお腹まわりの脂肪を減らす、として注目されています

 

とはいえ、そのニーズには消極的な側面が否めません。というのも、これらはビールの代わりにアルコールや糖質などを我慢して飲むといったイメージがあるからです。そこで新しく提案するのが、ノンアルコール飲料市場の枠を超える、積極的飲用という新提案。「キリン グリーンズフリー」の誕生へとつながります。

 

↑ふだんビールを飲んでいる人が、ビールの代替としてノンアルコールビールを選んでいない事実があるというデータ

 

香ばしく甘いジューシーな麦汁感に驚かされた!

では「積極的飲用とは何ぞや」というところ。これは、「キリン グリーンズフリー」最大のウリが、“自然派ビールテイスト炭酸飲料”であることに関係しています。よりストレートに健康ニーズに目を向けるのであれば、無添加であるべきでは? ナチュラルな製法のビールテイスト飲料があれば、健康志向の消費者に積極的に飲んでもらえるのでは?といった仮説です。

 

↑パッケージはこちら。ブランディングの一環として、ノンアルコールビールカテゴリーではあるものの、あえてノンアルコールビールという打ち出し方はしていません

 

事実、その製法は既存のノンアルコールビールとは一線を画すもの。通常は香料や人工甘味料などを使い、ビールに近い味を再現するところを、技術革新によって添加物を使わずとも可能に。たとえば、麦本来のうまみは「一番搾り」の醸造法を応用。ホップ由来の爽やかな香りは、「淡麗グリーンラベル」などで使っている製法を一部に採用し、新たなおいしいビールテイストを実現しているそうです。ということで、いよいよ試飲へ。

 

↑「一番搾り」や「淡麗グリーンラベル」のDNAが生きているとのことで、かなり期待大

 

第一印象は、あふれる麦汁感。「一番搾り」の製法を応用しているからなのか、キリンのビール工場などで体験できる麦汁の味わいに似た、香ばしい麦のジューシーな甘味を感じます。タッチは爽快で、軽やかなホップの苦味と香りが鼻に抜け、のどごしも良好。全体的にピュアというか、すっぴんな味わいだと思いました。

 

飲む前は、“これはノンアルコールビールというよりも、自然派ビールテイスト炭酸飲料なんです”的なブランディングの側面が強いのかと思いきや、味わいは確かに自然派。香料や人工甘味料を使わなかったことが、かえって新発想のおいしさにつながったともいえるでしょう。

 

↑主原料は、水と麦とホップ。カロリーこそゼロではありません(100mlあたり9kcal)が、それも素材本来のうまみを生かした自然派だからなのかもしれません

 

発売は4月3日。ふだんからノンアルコールビールを飲んでいる人はもちろん、春のBBQや花見でドライバーを担当する人も、この機会にナチュラルな麦汁感をぜひご賞味あれ!

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】