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2020/3/29 17:30

1000円以下で買えるいま、ワインは「オーガニック」を選ぼう

SDGsへの理解や賛同が広がるなか、関連したトレンドがワイン市場に起こりつつあります。それが、オーガニックワインを選ぶムーブメント。事実、国内のワイン最大手であるメルシャンが今年、オーガニックワインのプロジェクト「わたしにイイこと、みんなにイイこと」を大々的にスタートさせました。

 

↑「オーガニックワインって何だっけ?」「なんで流行ってるの?」という人はぜひ一読を

 

本稿ではその発表会の様子とともに、改めてオーガニックワインとは何か、オーガニックワインを選ぶことが、なぜSDGsにつながるのか、といった解説とともに、商品一例も紹介していきます。

 

 

イケてる選び方=エシカル消費とは?

まずは、オーガニックワインのおさらいから。直訳の通り、オーガニック=有機のことで、無農薬・無化学肥料・無除草剤といった有機農法で栽培されるぶどうで造られたワインを指します。これは第三者の認証機関よる承認制になっていて、エチケット(ラベル)などにそのロゴなどが表記されます。

 

↑一例。EUで最も有名な有機認証機関「ユーロリーフ」、フランスのビオディナミ農法によるワインの認定団体「ビオディバン」のロゴが表記されています

 

なお、似たカテゴリーに「ビオワイン」や「ナチュラルワイン(自然派ワインとも。フランス語でヴァンナチュール)」などもありますが、これらの深掘りついてはちょっと複雑なため割愛させてください。ここではあくまで、機関の基準に則ったオーガニックワインの解説をしていきます。

 

オーガニックワインは、自然との共生レベルに応じて3種類に分類されます。レベルの小さいものが「リュット・レゾネ」。フランス語で減農薬栽培を意味し、化学薬品を使わず、科学技術の介入を最小限に抑えたワインです。

 

次は、オーガニックと同義である「ビオロジック」。化学的な添加物は一切使わず、自然由来の肥料だけで育てたぶどうで造るワインです。

 

そして究極の有機栽培農法といわれるのが「ビオディナミ」。「ビオロジック」の特徴に加え、星、太陽、月との位置関係などによって農作業の時期を決める、独特で神秘的な農法としても知られます。

 

↑メルシャンの公式サイトより

 

有機農法の目的には、土壌が農薬によって侵されていくことを防ぐという、環境保護の側面があります。これによって自然の恵みが循環し、つまりはSDGsにつながるというもの。このように、人や社会、環境に配慮したモノを選ぶことは「エシカル(倫理的、人として正しい)消費」と呼ばれ、欧州を中心に支持されています。

 

ワインでいえば、まさにオーガニックワインを選ぶことがエシカル消費。その量は世界的に増加しており、今後も拡大が見込まれています。しかもこの消費が期待されている層は、実は20~30代の若者世代。教育をきっかけにSDGsが若年層に浸透しており、エシカルでサステナブルなライフスタイルが好まれる傾向にあるとか。

 

↑世界でも拡大しており、2023年には消費本数が10億本に迫ると予想されています

 

事実、日本で最もエシカル消費に関心が高いのは50~60代ですが、次は10~20代でその次が30代というデータが出ています。「いまの若者が歳を重ねたとき、彼らはもっとワインを飲むようになっているだろう」と想定すると、将来のワイン消費はオーガニックに需要が見込まれるのです。

 

↑意外なことに、最も認知率が低いのは40代というデータが出ています

 

 

 

1000円以下のオーガニックワインだってかなりある

発表会では、メルシャンが輸入している代表的なオーガニックワインの試飲と、マッチする料理とのマリアージュが実施されました。そのなかで一部フードの素材を提供したのは、なんとアウトドアブランドとして有名な「パタゴニア」。

 

↑「パタゴニア プロビジョンズ」の近藤勝宏マネージャー。ブランドの理念をはじめ、同社が先駆的に行っている環境活動などを教えてくれました

 

実は「パタゴニア」にはアウトドアのアパレルやグッズ販売のほかにも事業を行っており、そのひとつが日本では2016年にスタートした「パタゴニア プロビジョンズ」という食品ブランド。地球の気候変動をもたらす温室効果ガス排出の大きな原因が、現代の食品製造業であることに着目したのが設立の背景にあります。

 

↑ムール貝を使ったライスサラダ、サバ缶とポテトのオープンサンド、チリビーンをのせたカナッペの3種を、フランス最大級のビオディナミ実践ワイナリー「ドメーヌ・カズ」のワインとともに

 

ワインの味わいはぶどうの品種や製法などによって多彩ですが、オーガニックワインは化学物質による影響を受けないため、ぶどう本来の豊かな果実味や、テロワール(土壌や気候)の個性をダイナミックに感じられるのが特徴。

 

↑個人的にはミュスカ(マスカット)が主体の白「カノン・デュ・マレシャル ブラン」がお気に入り。ミュスカらしい上品で華やかな香り、柑橘を思わせる爽やかな風味、余韻に抜けるスパイシーなニュアンスが絶妙でした

 

なお、「オーガニックワイン、お高いんでしょ?」と思う人もいるでしょう。安心してください。今回メルシャンが注力して揃えたのは、高品質でありながらお手ごろ価格な銘酒の数々。参考価格とともに一部を紹介します。

 

↑ドメーヌ・カズの「エゴ」2430円(左)と「カノン・デュ・マレシャル ルージュ」1640円(右)

 

↑左から、イタリアのコロンバ・ビアンカから「ヴィテッセ ネーロ・ダーヴォラ オーガニック」1100円(左)、「ラ・コロンバ・ピッコラ シラー オーガニック」870円(中央)と、スペインのメスタから「オーガニック テンプラニーリョ」900円(右)

 

ドメーヌ・カズは比較的高価ですが、同ワイナリーはビオディナミのパイオニアとして知られ、世界中の三ツ星レストランで採用されている一流御用達の名門。贈り物にもオススメのオーガニックワインです。その他のワインも酒販店以外のスーパーなどで販売されるとあり、手にしやすいのが魅力。これからは、オーガニックをひとつの軸に、ワイン選びの参考としていただけたら。

 

 

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