グルメ
2020/6/17 19:00

イカのさばき方(ゲソ/ワタ/クチバシ等の外し方は?)と、フレンチシェフ直伝の絶品レシピ

夏にかけておいしさが増していくヤリイカは、和食にも洋食にも合う使い勝手のいい魚介。「イカは捨てるところがない」と言われ、すべてをおいしくいただけますから、さばき方をマスターしておくと、料理の幅も広がります。

 

今回は、ホテルオークラやロブションを経て、ビストロ「Grand Arbre(ゴンアルブル)」でシェフを務めるモナコ育ちの小寺 優さんに、イカの正しいさばき方とおいしい食べ方を教えていただきます。

 

イカを選ぶときは「目の色」をチェック!

魚介類は、鮮度の良さが料理のおいしさに直結します。新鮮なものを選び、購入したらなるべく早く下処理を始めましょう。

 

「イカを買うときは、目の色を確かめてみてください。膜が張ったように灰色っぽく濁っているものは、釣ってから時間が経ってしまっているもの。目が黒くて濁っていないものは鮮度が良く、ぬめりが少なくてサクサクとした歯切れのよい食感です。墨が出てしまっているものや、体に艶がないものも避けましょう」(Grand Arbre・シェフ/小寺 優さん、以下同)

 

ほぼ捨てる部位なし! イカのさばき方

それではヤリイカを使って、イカのさばき方を教えていただきましょう。今回はヤリイカを使いましたが、スルメイカでも同じようにさばくことができます。また、刺身にするときや、皮の食感を残したくないときには皮をむきますが、今回は皮つきのまま調理します。

 

1. 胴の中に指を入れてゲソを外す

イカの胴の中に指を差し込んでワタを持ち、捻るようにして胴とゲソ(足の部分)を外します。「ワタが切れてしまわないよう、力をかけながらもゆっくり引っ張りましょう」

 

2. 胴の中の軟骨を外す

胴の中に細長い軟骨がついているので、引っ張って外します。「この軟骨は食べられないので、捨ててしまいます。ここまで終わったら、胴は中をよく洗っておきましょう」

 

3.ゲソから軟骨を外す

続いて、ゲソの方を処理していきましょう。片手でゲソをしっかりと持って目元を押さえ、もう片方の手で、軟骨を引っ張って剥がします。「目玉とワタの間を触ると硬い部分があるので、そこが軟骨です。ワタの方に向かって引くと、するっと取れますよ」

 

4. くちばしを外す

今度は、軟骨がついていたところの裏側にある、水を出すくちばしを取ります。「こちらもくちばしをつまんで引っ張ると、簡単に外れますよ」

 

5. ゲソからワタと墨袋を取る

ゲソからワタを引き剥がし、今度はワタについている墨袋をそっと持って、引っ張って取ります。墨袋が破けてしまうと、汚れたり料理に使えなくなってしまったりするので、丁寧に外しましょう。「墨袋はイカスミパスタにも使えます。とても小さく見えますが、1杯分の墨袋で2人前のパスタを作れるんですよ」

 

6. ゲソから目を取り除く

目玉の根元に包丁の刃を入れて、両目をそぎ取るように落としていきます。「目玉が潰れてしまうことがあるので、ボウルなどを用意しておき、その上で取るといいでしょう」

 

7. ゲソから口を外す

足を放射線状にひらいたところに口があるので、指で押し出すようにして包丁で切り取ります。「口は、足の間に埋もれているので、強く押し出してみてください。イカ一杯から口はひとつしか取れないのですが、唐揚げにするとおいしいんですよ」

 

8. 下処理の完了

左上が胴、その右下にあるものがいちばん最後に取った口、その下がゲソ。右側のいちばん上はくちばしで、中央が軟骨、右下はワタです。「くちばしや軟骨は揚げ物にするのがオススメ。コリコリとした食感がおいしいので、捨てないでください。ワタは、袋を破かずに塩をしてお酒に漬け込んで裏ごしし、胴やゲソと混ぜると塩辛になります」

 

イカがきれいにさばけたところで、おいしいいただき方を引き続き小寺シェフに教えていただきましょう。キリっと冷えたワインに合う、南仏風のおつまみです。

 


提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」

キリッと冷えたワインにぴったり! イカを使った南仏おつまみ

イカがきれいにさばけたところで、おいしいいただき方を引き続き小寺シェフに教えていただきましょう。今回は胴を使ったサラダと、ゲソを中心にしたフリットを作っていただきます。サラダの葉がしんなりとせずパリパリにいただける方法や、上手な揚げ物の仕方を教わりました。

 

【ヤリイカを使ったシェフのレシピ1】
ヤリイカのグリル 季節野菜のサラダ仕立て

一品目は、カリカリにグリルしたヤリイカに、季節の野菜をたっぷり添えて食べるサラダ。

 

「魚介が豊富な南仏では、暑くて食欲が落ちる夏になると、たっぷりのサラダを食事代わりにする人が多いんです。イカや魚といったタンパク質をプラスすれば、栄養バランスもととのいます。バゲットにイカとサラダを挟んで食べるのもオススメです。日本でいうところの素麺のように、夏の定番メニューなんですよ」(Grand Arbre・シェフ/小寺 優さん、以下同)

 

【材料(2人前)】

・ベビーリーフ…100g
・酢…大さじ1
・水…300ml

・イカ(胴)……1杯分
<A>
・塩・胡椒…適量
・ガーリックパウダー…小さじ1/2
・オリーブオイル…大さじ1

・ミニトマト・ラディッシュ・アスパラガス・スナップエンドウなど……50g
<B>
・塩・胡椒…適量
・オリーブオイル…適量
・玉ねぎドレッシング…適量
・粒マスタード…小さじ1

 

【作り方】

1. オーブンを180度で余熱しておく

 

2. ベビーリーフをよく洗い、酢水に浸けてから水を切っておく

「雑菌の繁殖を防ぐので、食中毒が心配なこの時期は特にしておきたい下処理です。酢には、葉のパリッとした食感を保ち、変色を防ぐ効果もあります。10分ほど浸けたら、ざるをあげて水を切っておきましょう」

 

3. イカの胴にAの塩胡椒とガーリックバウダーを振り、オリーブオイルで和えておく

「下処理を済ませた胴には、下味をつけてオイルをよく馴染ませておきましょう。焼いたときにカリッと仕上がります」

 

4. フライパンや鉄板を熱して片面ずつ焼く

「イカを入れる前に強火でよくフライパンを熱し、熱々になってからイカを入れると、イカがくっつきません。火を通すのではなく、表面を焼くだけのイメージでグリルします」

 

5. 焼き色がついたらひっくり返して同じように焼く

「バーベキューのようにこんがりと焼いていきましょう。ご家庭のコンロだと温度センサーがついていて、フライパンが高温になりすぎると火が弱くなってしまうかもしれません。そのときはカセットコンロを使うといいですよ」

 

6. 180℃のオーブンで2〜3分焼く

「仕上がりの焼き色はこんな感じ。香ばしく焼き上げて、イカの旨味をぎゅっと閉じ込めていきます。両面がこんがり焼けたら、中心に火を通すためにオーブンに入れて2〜3分焼きます。フライパンもオーブンも使うとなると、ご家庭では大変かもしれませんが、この一手間がイカをパサつかせず、ジューシーに仕上げるコツなんです。フライパンでずっと加熱し続けると、どうしてもイカの水分が蒸発しすぎてしまい、カサカサになってしまうんですよね。ぜひチャレンジしてみてください」

 

7. ベビーリーフにBの調味料で味つけする

「イカをオーブンに入れている間に、先ほど水切りをしておいたベビーリーフに味つけしていきましょう。塩胡椒、オリーブオイルとドレッシングを入れてよく和えます。お店では自家製のドレッシングを使っていますが、市販のものなら玉ねぎが入っているものがオススメです」

 

8. 他の野菜にも7と同じように味つけする

「きゅうりやアスパラガス、ラディッシュなどを生のまま薄くスライスして、ベビーリーフと同じように味つけしていきます。リーフと他の野菜をいっしょにしてしまうと、盛りつけるときにベビーリーフの中にせっかくの野菜が埋もれてしまうので、別々に盛りつけられるようにしておきます」

 

9. イカを3cmほどの厚さに切る

「オーブンから出したイカを切ったら、サラダと一緒にお皿に盛りつけていきましょう」

 

10. 盛りつける

「ベビーリーフをどっさりとお皿に盛ったら、イカをのせ、野菜を散らします。お好みでバルサミコ酢をかけてもいいでしょう。食べるときはイカとサラダを和えていっしょにいただきます。いっしょに飲むワインは、フルーティーで香りのよい、柑橘系の白ワインがオススメです。イカの甘みと柑橘の引き締まった味がとてもよく合いますよ」

 

【ヤリイカを使ったシェフのレシピ2】
ゲソのフリット たっぷりレモンを絞って

二品目は、ゲソと胴のフリット。ビールやスパークリングも合いそうなおつまみです。

 

「塩胡椒を薄くかけているだけなので、イカ本来の旨味がしっかり感じられるレシピです。レモンを豪快に絞ってさっぱりと食べられるので、夏の暑い日でも揚げ物がしつこく感じません。ゲソの他に、くちばしや軟骨なども揚げるとおいしいですよ」

 

【材料(2人前)】

・イカのゲソや胴など…150g
・牛乳…100ml
・小麦粉…100g
・塩・胡椒…適量
・パセリ(みじん切り)、トマト(さいの目切り)…適量
・レモン…1/2個

 

【作り方】

1. イカを牛乳に浸しておく

「ゲソは臭みが気になるので、3分ほど牛乳に浸しておき、臭みを消します。こうすることでイカが柔らかくなる効果もあるんですよ」

 

2. キッチンペーパーでイカの水分を拭き取る

「イカについた水分をキッチンペーパーで拭き取っていきます。しっかり水分を切らなくても、軽く押さえていけば大丈夫です」

 

3. イカに小麦粉をまぶす

「小麦粉をボウルに入れたら、イカを全部入れて、手でふわっと和えていきます。小麦粉が多くてびっくりするかもしれませんが、小麦粉が少ないと、イカの水分で衣がしっとりしてしまいがちなんです。たっぷりの小麦粉でふんわりとつけていくのが、カラリと揚げるコツですよ」

 

↑「絶対にぎゅっとしないで、小麦粉の中でそっとイカを弾いて回転させていくように衣をつけていきましょう」
↑「絶対にぎゅっとしないで、小麦粉の中でそっとイカを弾いて回転させていくように衣をつけていきましょう」

 

4. イカをざるでふるう

「余分な小麦粉をふるい落すために、イカをざるに入れ、ざるをトントンと叩いて粉を落とします。小麦粉が多すぎると、粉が油を吸ってしまってべったりとした仕上がりになってしまうんです。粉が少なくても多くてもうまく揚がらないので、このポイントを忘れないでくださいね」

 

5. 190℃の油で、イカの色が変わるまで揚げる

「油をよく熱したら、一気にイカを入れて揚げていきましょう。イカの皮の色がピンク色に変わったらすぐに引き上げます」

 

6. 二度揚げする

「一度揚げたものをもう一度油の中に戻し、今度は30秒ほどで引き上げます。二度揚げすることでしっかりと火が通り、サクサクとした軽い食感になります」

 

7. 盛りつける

「イカを盛りつけたら塩胡椒をして、パセリとトマトを散らします。小麦粉を薄づきにしたことと二度揚げしたことで、時間が経ってもベタつかず、歯ごたえのよいフリットに揚がります。小麦粉だけの衣は軽くて胃にもたれないので、夜のおつまみにも最高です。プロバンスの辛口ロゼワインがとてもよく合います」

 

イカのさばき方は、部位ごとに丁寧に分けていくだけ。包丁を使う部分もほとんどなく、魚介の中でもチャレンジしやすい食材です。それでもレシピを工夫すれば、本格的な絶品おつまみに! ひと味違った“家飲み”を楽しんでみてください。

 

【店舗情報】

Grand Arbre(ゴンアルブル)

所在地=東京都世田谷区若林4-21-3 松陰神社駅前レジデンス1F
営業時間=ランチ11:30〜15:00(L.O.14:30)/ディナー18:00〜22:30(L.O.22:00)/テイクアウト予約受付11:00〜20:00
電話番号=03-3411-3821
定休日=月曜・火曜
アクセス=東急世田谷線「松陰神社前」駅徒歩30秒
https://grand-arbre.tokyo/
https://www.instagram.com/grandarbre1126/

※昨今の状況を受け、現在21:00までの営業となります。営業時間や定休日に変更が生じる場合がありますので、詳細はお問い合わせいただくか、インスタグラムにて最新情報をご確認ください。

 


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