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2020/9/9 21:00

モエ・エ・シャンドンの自動販売機が登場したので、今さら聞けない、ブランドの蘊蓄を集めてみた

日本でモエ・エ・シャンドンが広まったのは1990年代以降だった

ーーモエ・エ・シャンドンは世界中で親しまれているということですが、日本に入ってきたのはいつ頃のことですか?

 

吉田 これまでは「1903年」と言われていたのですが、近年フランスの本社で確認してもらったところ、「1874年に横浜に輸出した」という記録が残っていることが分かりました。日本のどのような会社が輸入し、誰が買ったというところまでは読み解けないんですけどね。ただ、実際の売れ行きで言うと、モエ・エ・シャンドンが日本の市場に広まったのは1990年代以降なんです。

 

ーーそうなんですか?

 

吉田 はい。弊社は、ヘネシーというコニャックも取り扱っています。1990年代まではヘネシーが主力ブランドでしたが、その後、ドン ペリニヨンやモエ・エ・シャンドンなどシャンパンの市場が拡大し始めました。

 

バブル以降、定期的に起こるワインブームの影響もあったと思います。シャンパンもワインの1種ですから、ワインブームが訪れ身近に親しまれるようになると、モエ・エ・シャンドンを含むシャンパンというお酒が、より身近に感じられるようになったのかもしれません。

↑フランス・エペルネにあるモエ・エ・シャンドンのオランジェリー(迎賓館)。国際的に重要度の高い歴史地区に構える施設として2015年には、ユネスコ世界遺産に登録されました

 

↑世界中でセレブレーションを象徴するシーンとなったシャンパンタワー

 

定番以外にも複数ある個性派シャンパン!

ーー先ほどうかがったモエ・エ・シャンドンを代表する、モエ アンペリアル以外にも複数のラインナップがありますね。

 

吉田 はい。まず、スタンダードのモエ アンペリアルの兄弟のようなシャンパンで、「モエ・エ・シャンドン ロゼ アンペリアル」というシャンパンがあります。辛口のシャンパンなのですが、赤身のお肉、ローストビーフのように火が入りすぎていない低温で調理されたものや、サーモンや海老などのカルパッチョなどと相性が抜群です。色もかわいくて、近年特に人気が高まっているシャンパンです。

↑「モエ・エ・シャンドン ロゼ アンペリアル(750ml)」8470円(税込)。初めて発表した際には、「白のシャンパンに赤ワインを少し加えただけでは?」と誤解されたそうですが、モエ・エ・シャンドンならではのロゼ シャンパンを造るために、徹底的に研究された製法が用いられています。ムニエの割合が多いことから、口に含むと丸みを感じさせてくれます

 

吉田 さらに氷を入れて楽しむタイプのシャンパンがありまして、それが「モエ・エ・シャンドン アイス アンペリアル」というものです。

↑「モエ・エ・シャンドン アイス アンペリアル ロゼ(750ml)」9735円(税込)。写真のロゼの他に白もあるそうですが、いずれも氷を入れて飲むことを前提としたシャンパンです

 

吉田 開発経緯としては、前述の醸造最高責任者のブノワ・ゴエズがバカンスで南フランスに行った際、現地でワインやシャンパンに氷を飲んでいる人たちを多く見かけたことがきっかけだったようです。「だったら、氷を入れて飲むための専用のシャンパンを作ったほうが良いな」と考え、「アイス アンペリアル」が誕生しました。氷が溶けてシャンパンの風味とよく調和するように作られています。氷を入れないまま飲んでも、美味しいのですが、ちょっと個性が強く出てしまうシャンパンですね。なので、やはり氷を入れることで初めて完成する商品です。

 

ーーワインには年代物のヴィンテージがありますけど、シャンパンにもあるのでしょうか。

 

吉田 モエ・エ・シャンドンでは、特別に作柄が良かった年だけに、その年のブドウのみを使って造るヴィンテージ シャンパンを用意しています。最近のもので言うと、「モエ・エ・シャンドン グラン ヴィンテージ ロゼ 2012」というシャンパンになります。

↑「モエ・エ・シャンドン グラン ヴィンテージ ロゼ 2012(750ml)」1万1990円(税込)。定番のアンペリアルの口当たりの良さに対し、このヴィンテージでは、作柄が良かった年のブドウの個性を強く引き出した味わいです

 

吉田 最初に言ったブランドを代表するシャンパン、モエ アンペリアルは世界中いつどこで飲んでも同じスタイルとクオリティで、親しみやすい味わいですが、「グランヴィンテージ ロゼ 2012」はその年のブドウの強い個性を引き出した味わいです。毎年作られるというわけではなく、醸造最高責任者の自由な発想と芸術性で判断され、とりわけブドウの出来が良かった年にのみ造られるものですので、より貴重なシャンパンであると言って良いと思います。

 

また、少しユニークなラインナップとしては、「モエ・エ・シャンドン ネクター アンペリアル ロゼ ドライ」というシャンパンもあります。

↑「モエ・エ・シャンドン ネクター アンペリアル ロゼ ドライ(750ml)」9295円(税込)。ナイトシーンで映えるよう、ボトルが光る仕様。贅沢なフルーティーさと、濃厚で強い味が特徴で、女性的というよりは元気で力強い風合いです

 

吉田 ナイトシーンなどで楽しんでいただけるように作られたもので、ボトルが光る仕様になっており、味わいは個性的です。夜を輝かせながら、力強い風合いなので芳醇でエレガントなシャンパンを求める方には最適な1本となると思います。

 

これらがモエ・エ・シャンドンのラインナップなのですが、他のシャンパンブランドと比べてみても多いほうだと思います。それだけモエ・エ・シャンドンは様々なシーンに対応できるシャンパンを生産しているという自負もあります。

 

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